
「 正しい知識と実践で体調を整える。
その力を、チームで一緒に身につけましょう 」
こんな症状、見逃していませんか
☑ 咳や痰が長く続いている(1か月以上)
☑ 痰に血が混じる(血痰)
☑ 体重が減ってきた
☑ 階段や坂道で息切れしやすい
☑「経過観察」と言われているが不安がある
▶ これらの症状は、必ずしもNTM・気管支拡張症とは限りませんが、
気になる症状が続く場合、上記複数該当する場合は、早めにかかりつけ医にご相談いただくことをおすすめします。
当センターは紹介制・予約制です。
まずはかかりつけ医にご相談ください。
【受診の流れ】
① かかりつけ医を受診
② 紹介状を作成
③ 当センターへ予約
④ 初診外来受診
【持ち物】
・紹介状
・健康保険証
・お薬手帳
・CTなどの検査結果
第1章 センターのご案内
コンセプト・設立背景・3本柱
はじめに
咳や痰が長く続いていませんか?
NTM(非結核性抗酸菌症)や気管支拡張症と診断されたとき、「薬を飲み続けるしかないのか」「経過観察と言われたけど、何もしなくていいの?」と不安になる患者さんは少なくありません。
実は、NTMと診断されても、すぐに薬物療法が必要とは限りません。軽症の方や安定している方の多くは、まず「注意深い経過観察(Watchful Waiting)」から始まります。
しかし、経過観察中だからといって「何もしなくていい」わけではありません。正しい呼吸法・排痰の習慣・適切な栄養管理を身につけることで、体調を安定させ、病気の進行を緩やかにできる可能性があります。
NTM・気管支拡張症包括ケアセンター コンセプト
「正しい知識と実践で体調を整える。その力を、チームで一緒に身につけましょう」
・ 薬物療法の有無にかかわらず、全ての患者さんの「生活の質」を支えます
・ 呼吸リハビリ・排痰指導・栄養管理を、入院中に集中的に学びます
・ 多職種チームが連携し、退院後も自宅で続けられる力を身につけます
・ かかりつけ医と連携し、地域での継続ケアを支えます(二人主治医制)
センターの3本柱

第2章 NTM・気管支拡張症を知る
疫学データ・病気の基礎知識・診断・治療方針
1.増加し続けるNTM ━━ 疫学データ
非結核性抗酸菌症(NTM)は、近年急速に患者数が増加しており、今や日本における主要な慢性呼吸器感染症のひとつとなっています。
▶ 罹患率・有病率の推移(主要データ)
本邦における肺NTM症罹患率の年次推移1)

1)Hamaguchi Y, et al. ERJ Open Res. 2025; 11: 00337-2024. Reproduced with permission of the © ERS 2025.
結核およびNTM感染症の死亡者数の推移2)(2006~2024年)
2)厚生労働省. 人口動態調査/人口動態統計確定数死亡 (2025年10月10日 閲覧)より作成
NTMは今や「珍しくない」病気
・ 2014年の全国調査で、NTMの罹患率(14.7/10万)が初めて菌陽性結核(10.7/10万)を上回りました
・ 2020年には、NTMによる死亡数が結核による死亡数を上回りました(厚生労働省 人口動態統計)
・ 有病率は年12〜22%のペースで増加しており、今後もさらなる増加が予測されます
・ 特に中高年女性での増加が顕著で、世界的にも日本は最も高い罹患率水準にあります
(出典:Namkoong H, et al. Emerg Infect Dis 2016 / 国立感染症研究所 IASR Vol.46 2025年3月号)
2.非結核性抗酸菌症(NTM)とは
NTM(非結核性抗酸菌症)は、約150〜200種類存在するとされる抗酸菌の中で特に結核菌とらい菌を除いた菌種によって起こる感染症です。
土壌・水系(水道水、貯水槽、風呂場など)・塵埃など、私たちの身の回りの自然環境に広く生息しています。
▶ 結核とNTMの決定的な違い
| 比較項目 |
結核 |
NTM |
| 感染性 |
人から人へうつる(空気感染) |
人から人へはうつらない |
| 隔離の必要性 |
あり(結核病棟) |
なし(一般病棟・外来) |
| 届出義務 |
あり(感染症法) |
なし |
| 菌の存在場所 |
人体内のみ |
自然環境に常在(土・水など) |
| 治療期間 |
原則6か月 |
1.5〜2年以上(難治性) |
| 治療開始 |
診断即治療 |
診断確定 ≠ 即治療開始 |
▶ 主な症状
•
慢性的な咳・痰(3か月以上続く)
•
階段や坂道での息切れ・動作時の呼吸困難
•
血痰(気管支壁の慢性炎症による)
•
体重減少・食欲低下
•
疲れやすさ・倦怠感
•
発熱(微熱が続く場合も)
▶ かかりやすい人
以前は既存の肺疾患(COPD・結核後遺症など)を持つ高齢男性に多く見られましたが、近年は基礎疾患のない中高年女性(やせ型・脊柱変形を伴う方)への増加が顕著です。
「Lady Windermere症候群」と呼ばれるように、礼儀正しく咳を我慢する傾向のある方が気道に分泌物を貯留させ、NTM感染を招きやすいとも言われています。
▶ 病型(2種類)
| 病型 |
結節・気管支拡張型 |
空洞型 |
| 好発 |
中高年・やせ型女性(背景疾患なし)
|
高齢男性(COPD・結核後遺症など)
|
| 進行スピード |
慢性的(月・年単位)
|
比較的速い(週・月単位)
|
| 主な菌 |
MAC(M. avium, M. intracellulare) |
MAC + M. kansasii など
|
3.診断について
肺NTM症の診断には、以下に示す臨床的基準と細菌学的基準の両方を満たす必要があります。
また、日本独自の診断基準も実際の現場では活用されることがあります。
▶ 診断基準(2024年改訂版)
【臨床的基準】
① 胸部CT:結節影・小結節・分枝状陰影・気管支拡張・空洞のいずれかを認める
② 他の疾患(肺結核、肺がんなど)の除外
【細菌学的基準】(以下のいずれかを満たす)
① 2回以上の異なる喀痰検体で培養陽性
② 1回以上の気管支・肺胞洗浄液で培養陽性
③ 組織学的所見+組織または喀痰の培養陽性(1回以上)
【暫定的診断基準(日本独自)】
臨床基準 + 喀痰培養陽性1回 + 抗GPL-core IgA抗体(タウンズ)陽性
4.治療方針:「診断 ≠ 即治療」
NTMは診断されても、すぐに薬物療法を始めるとは限りません
・ 薬物療法は1.5〜2年以上の長期にわたる多剤併用療法(副作用リスクも伴います)
・ 軽症・安定例では「注意深い経過観察(Watchful Waiting)」が選択されることも多い
・ 治療開始の判断は:症状・画像変化・菌量・年齢・副作用リスクを総合的に判断
・ 治療開始基準の目安:空洞を伴う場合/画像の明らかな悪化/大量排菌を認める場合
第3章 「経過観察中」だからこそ、できることがある
Watchful Waiting とセンターの役割
1.「経過観察」は「放置」ではない
NTM患者さんの中で、診断当初から薬物療法を開始するのはごく一部です。
研究によると、軽症〜中等症のNTM患者さんの約86%が、診断後まず「注意深い経過観察(Watchful Waiting)」の期間を経ることが報告されています(中央値:約4.8か月)。
この期間は「放置」ではありません。定期的な画像検査・培養検査で病状を監視しながら、患者さん自身が自分の体を守るための知識とスキルを身につける、大切な時間です。
📌Watchful Waiting(注意深い経過観察)とは
【行うこと】
・ 定期的な胸部CT・培養検査(3〜6か月ごと)
・ 体重・症状の変化を自分でモニタリング
・ 悪化のサインを見逃さないための教育
【悪化のサイン ─ こうなったら医師に相談】
・ 咳・痰の量や性状の変化(増加・黄色化)
・ 血痰の出現・増加
・ 体重の減少(1〜2か月で1kg以上)
・ 労作時息切れの増悪
・ 微熱の持続
・ 画像上の悪化(CT・レントゲン)
2.センターが果たす役割
当センターは、経過観察中・薬物療法中・副作用で治療が続けられない方など、すべてのNTM・気管支拡張症患者さんに対し、非薬物的なアプローチも含めた包括ケアを提供します。
プログラム概要
| 対象となる患者さんの状況 |
センターが提供するサポート |
経過観察中(Watchful Waiting)
|
正しい排痰・呼吸法・栄養管理を学び、体調の安定を目指す |
薬物療法に抵抗感がある
|
非薬物的ケアで症状をコントロールする方法を一緒に考える
|
副作用で薬物療法が続けられない
|
薬以外のアプローチで生活の質を維持する
|
積極的治療は不要だが不安がある
|
多職種チームが包括的に評価し、安心して生活できる体制を整える
|
栄養やリハビリの知識が不十分
|
正しい知識と実践力を7泊8日で集中的に習得する
|
第4章 教育入院プログラム(7泊8日)
4本柱の詳細:リハビリ・栄養・服薬・看護
プログラム概要
| 入院期間 |
7泊8日 |
| 対象 |
NTM・気管支拡張症の患者さん(かかりつけ医からのご紹介)
|
体制
|
医師・看護師・理学療法士・薬剤師・管理栄養士による多職種連携
|
| 目標 |
退院後に自宅で継続できる「セルフケア力」を身につける
|
| 退院後 |
二人主治医制:かかりつけ医への継続治療+当センター専門外来フォロー
|
入院スケジュール(一例)
平日の中日である水曜日前後での入院開始となります。
7泊8日のプログラムで、病気と上手に付き合うための知識と技術を身につけていただきます。
※患者さんの病状、検査状況などにより内容は多少変更があります。
| 日程 |
曜日 |
主な内容 |
| 1日目 |
水曜日 |
入院・オリエンテーション
・入院手続き、病棟案内
・栄養指導
・初診、問診
・血液検査、レントゲン検査 |
2日目
|
木曜日
|
各種検査(必要に応じて)
・胸部CT検査
・呼吸機能検査
・喀痰検査
・病気に関する基礎知識の説明 |
3日目
|
金曜日 |
呼吸リハビリテーション実技(重点項目)
・呼吸法(口すぼめ呼吸、腹式呼吸)の習得
・排痰法(ハッフィング、体位ドレナージ)の実践
・筋力トレーニング
栄養指導(重点項目)
・個別栄養評価
・免疫力を高める食事の説明
・献立作成のポイント
※家族(食事を作る方)も一緒に参加できます
※退院後も外来で栄養指導のフォローが可能です |
4日目
|
土曜日
|
服薬指導
・薬の効果と副作用の説明
・服薬スケジュールの確認
・副作用発現時の対応
※内服薬がある患者のみ対象
呼吸リハビリの復習
|
5日目
|
日曜日
|
看護師による生活指導
・日常生活での注意点
・感染予防の方法
・環境整備のポイント
家族面会
・家族の協力ポイント
・質疑応答 など |
6日目
|
月曜日
|
リハビリの復習と確認
・自宅で続けられる運動の確認
・運動日誌のつけ方
|
7日目
|
火曜日 |
総合復習
・学んだ内容の振り返り
・質疑応答
・退院後の生活計画
・最終確認
|
| 8日目 |
水曜日
|
退院時
・退院後の通院スケジュール確認
・処方箋の発行(必要な方)
・退院 |
①:リハビリテーション(呼吸リハビリ・排痰指導) 担当:理学療法士
「出せる、動ける、続けられる ~息切れと調和し、あなたらしい生活をいつまでも~」
NTM(非結核性抗酸菌症)や気管支拡張症は、慢性的な咳・痰、息切れ、疲れやすさが続き、日常生活や社会生活に長く影響を及ぼす病気です。薬物治療だけでなく、身体機能の維持・向上を支えるリハビリテーションは、長期管理において重要な役割を担います。リハビリテーション部門は、「病気を治す」だけでなく“生活を続ける力”を支えることを目的にしています。
▶ なぜリハビリが重要か
薬物療法だけでは対処できない「痰の貯留」「体力低下」「息切れの悪循環」を、リハビリテーションで改善することができます。特に気管支拡張症では排痰が感染予防の鍵となります。
「動くと苦しい → 動かない → 体力が落ちる → さらに苦しくなる」という悪循環を、リハビリで好循環に変えることが目標です。
▶ こんな症状・困りごとはありませんか?
☑ 咳や痰が多く、日常生活がつらい
☑ 階段や坂道で息切れしやすい
☑ 体力や筋力が落ちてきた気がする
☑ 動くと苦しくて、運動を避けてしまう
☑ 呼吸法や痰の出し方がよく分からない
→ これらは適切なリハビリテーションで改善・軽減できる可能性があります。

包括ケアセンターの呼吸リハビリテーションで「悪循環から好循環」へ
▶ 初回のリハビリテーションの流れ(1回/40分程度で実施しています)
1. 呼吸・体力・咳の強さ・日常生活動作の評価・アンケート
2. 症状・特徴に合わせた個別プログラムの作成
3. 呼吸法・排痰・筋力トレーニング・有酸素運動の指導
4. 自宅でのエクササイズ方法の指導
5. 定期的フォロー
身体機能評価、運動耐容能評価、呼吸機能評価を基に、医学的根拠に基づいたプログラムを設計します。
▶ 主なリハビリプログラムの内容(1回約40分)
| プログラム内容 |
詳細 |
呼吸法指導
|
口すぼめ呼吸・腹式呼吸など、楽に呼吸するための技術を習得 |
排痰指導
|
体位ドレナージ・ハフィングなど、痰を効果的に出す方法を習得 |
筋力トレーニング
|
四肢・呼吸筋を含む全身の筋力強化(個人の体力に合わせて設定)
|
有酸素運動
|
歩行・自転車エルゴなど、生活パターンに合った運動処方
|
日常生活動作の指導
|
着替え・入浴・階段昇降など、日常の楽な動き方
|
自宅エクササイズ指導
|
退院後も継続できる自主練習プログラムの作成・指導 |
▶ リハビリを始めるタイミングはいつが良いか?
「まだ大丈夫」と思っている今こそが、始める良いタイミングです。
☑ 咳や痰が増えてきた
☑ 最近、階段が辛くなった
☑ 入院をきっかけに体力がなくなった
☑ 痰がうまく出せない
▶ 当センターのリハビリの特徴
疾患特性を理解した専門的な呼吸リハビリテーションの提供
NTM・気管支拡張症の病状を踏まえ、個別性の高いリハビリを提供します。

「咳・痰・呼吸困難」への直接的アプローチ
筋力トレーニング:四肢と呼吸筋を含む全身の筋力強化プログラム
有酸素運動:生活パターンに合った運動処方をご提供
☑ 「どう動けば楽か」「どうすれば痰が出やすいか」を、
生活の場面に落とし込んで指導します。
☑ 「無理をしない」ではなく、
“安全に続けられる運動”を一緒に見つけることを大切にしています。
☑ 多職種チーム医療との連携
医師・看護師・薬剤師・栄養士などと連携し、
包括的な視点から患者さんを支えるリハビリを行います。
▶
なぜ当センターが選ばれるのか?
NTM・気管支拡張症に特化した呼吸リハビリテーション
呼吸理学療法・心臓リハビリテーション・集中治療を背景にした評価力
排痰・呼吸・運動を一体で考える包括的アプローチ
医師・多職種と連携した継続的フォロー
▶
「教育」と「継続」を重視しています
NTM・気管支拡張症は長く付き合う病気です。そのため当センターでは以下を重視しています
・なぜリハビリが必要なのか
・どこに気をつければ悪化を防げるのか
・自分でできるセルフマネジメント
これらを説明し、「自分で管理できる力」を育てることを重視しています。
▶
こんな方におすすめです
・NTM・気管支拡張症と診断された方
・咳・痰・息切れに悩んでいる方
・運動や日常生活に不安がある方
・呼吸リハビリテーションを一度も受けたことがない方
・呼吸リハビリテーションを受けてみたい方
私たちは「症状を我慢する生活」から、「自分で調整できる生活」へと導きます。
▶
よくある質問
Q1. 苦しくても運動して大丈夫ですか?
A. 症状や状態を評価したうえで、安全な範囲で行います。無理な運動は行いません。
Q2. 咳や痰が多い日でもリハビリは受けられますか?
A. その日の体調に応じて内容を調整します。無理に運動するのではなく、排痰や呼吸法中心に切り替えることもあります。
Q3. 自宅でも続けられますか?
A. はい。ご自宅で実践できる内容を丁寧にお伝えします。また最終的にはご自身で出来るようになることが目標です。
▶ 担当理学療法士の専門資格
・呼吸理学療法 専門理学療法士
・呼吸認定理学療法士
・3学会合同呼吸療法認定士
・呼吸ケア指導士
・心臓リハビリテーション指導士
・集中治療理学療法士
🍽 ②:栄養管理・栄養指導 担当:管理栄養士
「NTM治療を支える"からだづくり"」
▶ なぜ栄養管理が重要か
NTMは慢性的に体力を消耗しやすい疾患です。体重減少や栄養不足が続くと、免疫力が低下し、治療の継続や体調の安定に影響します。研究では、低栄養状態はNTMの進行リスクを高めることが示されています。
当センターでは管理栄養士による専門的な栄養指導を治療の一環として重視しています。入院中・外来通院中のいずれでもご利用いただけます。
▶ こんな方におすすめします
•
医師から栄養指導を勧められた方
•
体重が少ない、または最近体重が減ってきた方(目安:1〜2か月で1kg以上の減少)
•
食事量が少ない、何を食べればよいか分からない方
•
ご家族が食事づくりに不安を感じている場合

図.体組成測定器
▶ 栄養指導の流れ
| ステップ |
内容 |
① 問診
|
食事内容・生活習慣・食欲の状態などを詳しくお聞きします
|
② 栄養状態の確認
|
体組成計で体重・筋肉量・脂肪量・水分量を測定(ペースメーカーの方は除く)
|
| ③ 食事のご提案 |
オリジナル資料「からだサポート食」を用いて実践的な食事の工夫をご提案
|
④ 栄養補助食品のご案内
|
食事で不足する場合、体調に合わせた栄養補助食品をご紹介
|
⑤ 食事準備のサポート
|
調理が難しい場合は宅配食など、生活スタイルに合わせた方法を一緒に検討
|
▶ 栄養指導の特徴
•体組成測定による筋肉量・体脂肪量の評価
•呼吸器疾患の栄養療法に精通した管理栄養士が担当
•当センターオリジナルの「からだサポート食」の提案
「体重を増やすこと」だけでなく、筋肉量の維持と体力の安定を大切にしています。
▶「からだサポート食」とは
当センターオリジナルの食事コンセプトです。
地中海食の考え方を参考に、野菜・果物・豆類・魚・全粒穀物・オリーブ油などを積極的に取り入れた、抗炎症作用を意識した栄養バランスの食事です。
目的は、
「
すこしずつ、からだをささえる」こと。
慢性的な炎症と向き合いながら、筋肉量の維持と免疫機能の安定を支える“ベースづくり”を目指します。
食事
|
献立例 |
朝食
|
ご飯、白身魚の甘酢あん、
おくらの胡麻和え、金時豆、
ナッツ、ヨーグルト
|
| 昼食 |
もち麦ごはん、鶏肉の塩麹焼き、
里芋の煮物、豆サラダ、キウイ
|
| 夕食 |
もち麦ごはん、麻婆豆腐、大根の煮物、
もやし炒め、ぶどう
|
▶ 費用・頻度
| 項目 |
内容 |
| 初回 |
約30分 / 780円(3割負担、2026年1月現在)
|
| 2回目以降 |
約20分 / 600円(3割負担)
|
| 頻度 |
対象疾患がある場合:原則 月1回(保険診療)
|
| 継続受診 |
3〜6か月ごとの継続受診を推奨
|
体重減少や食事の悩み、不安を一人で抱えず、主治医やスタッフへ気軽にご相談ください。患者さんとご家族と一緒に、治療を支える体づくりを考えていきます。
③ 服薬指導 担当:薬剤師
•
薬の正しい飲み方・タイミングの指導
•
副作用の見分け方・対処法の説明(視力・聴力・肝機能など)
•
薬が続けられない場合の相談対応
•
他院処方薬との相互作用チェック
•
リファンピシンによる他剤への影響(ホルモン薬など)の説明
④ 看護ケア・生活指導 担当:看護師
•
自宅での排痰ケア・吸入指導
•
感染予防の生活習慣(シャワーヘッド清掃・環境整備)
•
体調管理・セルフモニタリングの方法(悪化サインの察知)
•
患者・ご家族の不安への対応
•
在宅療養を見据えた日常生活の工夫
🔗退院後のサポート(二人主治医制)
・ 退院時に診療情報提供書を作成し、紹介元のかかりつけ医にお戻しします
・「二人主治医制」:継続治療はかかりつけ医が担当、当センターは専門的サポートを継続
・ 専門外来で定期フォローアップ
・ 担当医:日本結核・非結核性抗酸菌症学会 認定医
第5章 診療チーム
多職種の役割と専門資格
| 職種 |
主な役割 |
特記事項 |
| 医師 |
診断・治療方針の決定・教育入院の総合管理
|
日本結核・非結核性抗酸菌症学会 認定医
|
| 看護師 |
在宅療養支援・排痰ケア・生活指導・変化の察知
|
セルフケア支援の中心的役割
|
| 理学療法士 |
呼吸リハビリ・排痰指導・運動療法
|
呼吸専門資格複数保有
|
| 薬剤師 |
服薬管理・副作用対応・相互作用チェック
|
長期多剤療法への対応
|
| 管理栄養士 |
栄養評価・体組成測定・食事指導・からだサポート食
|
NTM・呼吸器疾患に幅広く対応
|
第6章 対象となる患者さん
セルフチェック・ご利用の流れ
こんな患者さんにご利用いただけます
☑ NTMや気管支拡張症と診断されているが、どう生活すればよいか不安な方
☑ 「経過観察」と言われているが、自分でできることを学びたい方
☑ 薬物療法に抵抗感があったり、副作用で薬が続けられない方
☑ 積極的な薬物治療は必要ないが、栄養・リハビリの知識を正しく身につけたい方
☑ 痰がうまく出せず、感染を繰り返している方
☑ 体重が減ってきたり、息切れが気になる方
☑ 呼吸リハビリや排痰の正しい方法を専門的に学びたい方
☑ 栄養管理や生活習慣について包括的に見直したい方
※ ご紹介元からのご紹介が必要です。まずはかかりつけ医、お近くのクリニックにご相談ください。
▶ ご利用の流れ
| STEP1 |
かかりつけ医への相談 |
「NTM包括ケアセンターを受診したい」とお伝えください
|
| STEP2 |
かかりつけ医への相談
|
紹介状(診療情報提供書)を作成していただきます
|
STEP3
|
当センター専門外来の受診 |
初診・問診・評価を行い、教育入院の計画を立てます
|
STEP4
|
教育入院(7泊8日)
|
多職種チームによる集中プログラムを受けていただきます |
STEP5
|
退院・かかりつけ医への引継ぎ
|
診療情報提供書を作成。二人主治医制でサポートを継続します
|
第7章 日常生活での注意点
感染リスク・生活の心得
NTM菌が潜んでいる可能性のある場所・行動
NTM菌は自然環境に広く存在します。以下は感染リスクが高いとされている場所・行動です。
過度に恐れる必要はありませんが、知識として知っておくことが大切です。
| 24時間風呂(旧式なもの) |
ほとんどM. avium |
| 室内での金魚・熱帯魚飼育 |
ほとんどM. avium |
| 室内外でのメダカ飼育 |
複数菌種 |
| 風呂・追い炊き(翌日再利用) |
ほとんどM. avium |
| スーパー銭湯・ジャグジー |
ほとんどM. avium |
| スポーツジムの温水プール・シャワー |
ほとんどM. avium |
| 非加熱式の加湿器 |
ほとんどM. avium |
| フェイススチーマー・エステ温水ミスト |
複数菌種 |
| ホットヨガ・岩盤浴 |
ほとんどM. avium |
| 園芸(腐葉土・堆肥・土) |
M. intracellulare |
| シャワーヘッド(定期清掃が必要) |
ほとんどM. avium |
| 木製フルート・オカリナ等の管楽器 |
ほとんどM. avium |
※出典:複十字病院 倉島篤行先生の研究より 一部抜粋
生活の心得
•
水回り(シャワーヘッド・浴槽)を定期的に清掃しましょう
•
人への感染はありません ── 通常の日常生活で特別な隔離は不要です
•
定期通院を続けましょう ── 症状がなくても悪化していることがあります
•
体重を定期的に測定しましょう ── 体重減少は病状悪化のサインです
•
悪化のサインを覚えておきましょう ── 咳・痰の変化、血痰、微熱が続く場合は早めに受診を
第8章 よくある質問(FAQ)
患者・ご家族の疑問に答える
Q1 NTMは人にうつりますか?
A. いいえ、NTMは通常、人から人へはうつりません。結核とは異なり、空気感染や接触感染の心配はありません。
家族や周囲の方への感染を心配せず、通常の日常生活を送っていただけます。
Q2 「経過観察」と言われましたが、何もしなくていいのですか?
A. いいえ、「経過観察」は「放置」ではありません。定期的な画像・培養検査を受けながら、正しい排痰法・呼吸リハビリ・栄養管理を学び、体調を安定させることが大切です。
当センターは、経過観察中の患者さんにこそ、積極的に活用していただける場所です。
Q3 薬を飲まなくてもよいですか?
A. NTMの治療方針は患者さんによって異なります。軽症・安定している場合は経過観察が選ばれることも多く、すぐに薬物療法が必要とは限りません。
薬に抵抗感がある方や副作用で続けられない方も、呼吸リハビリ・栄養管理などの非薬物的ケアで症状の安定を目指せる場合があります。
Q4 なぜ7泊8日の入院が必要なのですか?
A. 排痰法・呼吸リハビリ・栄養管理などのセルフケアは、一度説明を聞いただけでは身につきません。
1週間かけて集中的に学ぶことで、退院後に自宅で継続できる力を確実に習得していただきます。
Q5 体重が減ってきていますが、NTMと関係がありますか?
A. はい、関係があります。NTMでは菌との闘いで体力が消耗し、体重減少がみられることがあります。
当センターでは体組成測定を含む個別栄養評価を行い、体重維持・回復のための食事指導を行います。
Q6 排痰とは何ですか?なぜ重要ですか?
A. 排痰とは、気道に溜まった痰を効果的に体外に出すことです。気管支拡張症では痰が溜まりやすく、そこで細菌が増えて感染を繰り返します。
正しい排痰法を習得することで感染の繰り返しを防ぎ、症状の安定につながります。
Q7 リハビリは苦しくないですか?
A. 初回の評価結果をもとに、安全な範囲でプログラムを作成します。無理な運動は行いません。
体調が悪い日は内容を排痰・呼吸法中心に調整するなど、柔軟に対応します。
Q8 かかりつけ医がいますが、当センターに来ても大丈夫ですか?
A. はい、大丈夫です。当センターはかかりつけ医との連携を大切にしています(二人主治医制)。
教育入院終了後は継続治療をかかりつけ医にお戻しし、当センターは専門サポートを継続します。
Q9 退院後はどうなりますか?
A. 退院時に診療情報提供書を作成し、紹介元のかかりつけ医に戻って診療を継続していただきます。
患者さんの病状によって当センター専門外来でも定期フォローアップを行い、必要に応じて追加指導・再入院にも対応します。
当センターで習得した知識、習慣を自宅へ帰ってからも実践してください。
第9章 患者さんのご紹介
医療機関の先生方
💡 計画的な教育入院による安定した受け入れ
当センターでは、平日の中日を中心とした計画的な教育入院を実施しています。
これにより、安定した病床運営が可能となり、継続的に患者さんを受け入れることができます。
地域の医療機関の皆様からのご紹介をお待ちしております。
1. 外来
•
担 当 医:坂本 慶太(日本結核・非結核性抗酸菌症学会 認定医)
•
専門外来:毎週水曜 午前(完全予約制)
•
対 象:NTM(非結核性抗酸菌症)・気管支拡張症の患者さん(原則、かかりつけ医からのご紹介)
2. 医療機関から予約
かかりつけの医療機関から、当医療センターの「医療連携課」へ電話、またはFAXで予約連絡を入れていただきます。
医療連携課
TEL:03-3400-0471
FAX:03-3400-0193
(受付:平日8:30~17:00)
3. 予約日に来院
紹介状、画像データ(CD-ROM等)、保険証をお持ちになり、予約日時にご来院ください。
‣ かかりつけ医の先生方へのお願い
・定期的な診察と症状観察
・服薬アドヒアランスの確認
・副作用の早期発見(基本的には内服中の副作用チェックは当センターでも行う予定です。)
・病状変化時の速やかな連絡
‣ 逆紹介について
以下のような場合は、かかりつけ医での経過観察をお願いしております:
・治療方針が確定し、病状が安定している
・教育入院を終了し、自己管理が可能
・定期的な画像検査・検体検査は当センターで実施(年1〜2回)
・日常的な診察・処方はかかりつけ医で実施
患者さん・ご家族の方へ
まずはかかりつけ医にご相談いただき、当センターへのご紹介をお願いしてください。
スタッフより
「経過観察中だから仕方ない」と諦めないでください。
正しい知識と実践で、体調を安定させることができます。
私たちチームが、あなたとご家族の生活を一緒に支えます。