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肺がん

  • 基礎知識
  • 検査と診断
  • 治療法と実績

肺について

肺は肋骨に囲まれて厳重に守られた胸郭の中にあります。心臓を挟んで、左右にひとつずつあります。右は、上葉、中葉、下葉の3つに、左は、上葉、下葉の2つに分かれています。 肺の主な働きは、呼吸をして、空気から酸素を体に取り込んで、体内の二酸化炭素を体の外へ排出することです

肺がんについて

がんで亡くなる方のうち、肺がんで亡くなる方は、男性では5.3万人と最も高く、女性では2.1万人で、大腸がんに次いで多くなっています(厚生労働省「平成29年人工動態統計(確定数)の概況」より)。肺がんにかかる方は男女合わせて年間12万人ほどいますが、手術を受けた方はそのうち約3分の1程度にとどまっています。

肺がんのリスクが高い患者さん

肺がんの最大の危険要因が「喫煙」であることはよく知られています。たばこを吸う人の肺がん発生率は、吸わない人に比べて、男性では4.5倍、女性では4.2倍、高いといわれています。また、やめた人は吸わない人に比べて、男性では2.2倍、女性では 3.7倍に高くなっていました。このことから、肺がんになった人のうち、男性では68%、女性では18%が、たばこが原因と考えられています。
たばこを吸う人では、喫煙指数(一日の喫煙本数×喫煙年数)が増えるほど肺がんの発生率が増加していました。一方、たばこをやめた人では、やめてからの年数が長くなるほど肺がんになるリスクが減少し、肺がん発生率も、20年以上でたばこを吸わない人とほぼ同じになっていました。
また、直接たばこを吸うだけではなく、受動喫煙(周囲に流れるたばこの煙「副流煙」を吸うこと)も肺がんのリスクを2〜3割程度高めるといわれています。
たばこのほかに、大気汚染(特にPM2.5)やアスベストやシリカ、クロム酸、ヒ素、ラドン、クロロメチルエーテル、ニッケル、コールタール、ディーゼル排ガス、放射線などの暴露や被爆する環境にある人、ご家族に肺がんの方がいる人、年齢の高い人などが挙げられています。

予防と検診

①予防

肺がんを効果的に予防する方法はありません。一般的に、がん予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスの食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。
肺がんを予防するために、たばこを吸っている人は禁煙し、吸わない人はたばこの煙を避けることが大切です。

②検診

わが国では、厚生労働省の「がん予防重点健康教育およびがん検診実施のための指針(平成28年一部改正)」で検診方法が定められています。
40歳以上の方は1年に1回、肺がん検診を受けることができます。ほとんどの市町村では、検診費用の多くを公費で負担しており、一部の自己負担で検診を受けることができます。お勤めの職場や健康保険組合等でも実施している場合があります。
検診の内容は、問診、胸部エックス線検査、喀痰細胞診(50歳以上で、喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が600以上の方が対象)です。
肺がん検診の場においては、健康増進法に基づく禁煙個別健康教育を実施して、禁煙に関する指導を行っています。