白血病とは
白血病はいわゆる血液のがんで、白血球系細胞が無限に増加する病気です。白血球は主に血液中に存在し、体内に侵入した病原微生物を排除することによって感染症を防いでくれています。しかし白血球は単一の細胞ではなく、骨髄球系細胞(好中球、単球など)やリンパ球系細胞(Bリンパ球、Tリンパ球等)など形態や機能の異なる細胞の集合体です。ですからがん化した細胞の種類により、骨髄性白血病、リンパ性白血病などに分類されます。また白血病細胞の増殖が非常に速い急性白血病と増殖が遅い慢性白血病に分類されます。これらの分類法を用いると、白血病は①:急性骨髄性白血病、②:慢性骨髄性白血病、③:急性リンパ性白血病、④:慢性リンパ性白血病の4種類の病型があることになります。今回は急性白血病に関してさらに詳しく説明します。
急性白血病の白血病細胞は分化・成熟能力を失った未熟な細胞であり、未分化なまま骨髄内で分裂を繰り返します。骨髄内で白血病細胞が増加すると骨髄で正常の白血球、赤血球、血小板の産生が低下し、これらの血球が減少してきます。その後骨髄から白血病細胞が末梢血に出現し、血液検査でも白血病細胞が確認される状態になります。
白血病の症状
症状としては、貧血による疲れやすさ・顔色が悪い・めまい・息切れ・頭痛、発熱、白血球減少による肺炎・敗血症(血液中で細菌が増殖する状態)、血小板減少による歯肉出血・鼻出血・皮下出血などの出血症状などの症状がみられます。急性白血病は白血病細胞の増殖が速いため週単位で病状が進行し、診断・治療開始が遅れると症状が重篤化するため、適切な治療が早期に開始できなくなる場合もあります。
白血病のリスクが高い患者さん
日常生活に関連することで、急性白血病になりやすいリスクは報告されておりません。
高齢者に多い骨髄異形成症候群という疾患では、早期に急性白血病を発症する群や、貧血や血小板減少に対する治療が中心になる群もおります。骨髄異形成症候群と診断された方は、定期的に病院を受診する必要があります。
予防と検診
一般的には貧血、出血傾向や感染症の症状が出現し、病院を受診して診断されますが、年に1回の健康診断で血液検査異常を指摘されて診断される場合もあります。貧血や白血球減少を検診で指摘され、当科受診時は末梢血に白血病細胞は存在せず、骨髄穿刺を行って急性白血病と診断された患者さんもいます。このように健康診断で自覚症状がない段階で診断される場合もありますので、年に1回は健康診断で血液検査を受けることをお勧めします。