子宮頸部について
子宮は、下側(出口側)1/3を占める子宮頸部と上側(奥側)2/3を占める子宮体部からなります。子宮頸部の先端は腟の奥から少し突き出ています。この部分に発生するがんのことを子宮頸がんといいます。
子宮体部に発生する子宮体がんとは、原因や治療法が異なるので、別の病気として扱われます。
子宮頸がんの症状
初期の子宮頸がんは自覚症状がないことがほとんどです。進行がんでは性交時の出血や月経以外の性器出血が起こりやすくなります。さらに進行したがんでは腹痛、腰痛、神経痛などの痛みや腎不全で発見されることもあります。
子宮頸がんリスクが高い患者さん
子宮頸がんのほとんどはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染がきっかけとなって発生します。そのためHPVに感染しやすくなる状態、たとえば初交年齢が若い、性交の相手が多いなどは子宮頸がんのリスクを高めます。
免疫機能が悪くなる病気や免疫抑制薬の使用はHPV感染が治りにくくなるために子宮頸がんのリスクを高くします。
喫煙は、他のがんと同様に、子宮頸がんのリスクを高めることが知られています。
予防と検診
子宮頸がんにならないためにはHPVワクチン接種と子宮頸がん検診が有効です。禁煙も、ほかのがんと同様に子宮頸がんの発生率を低下させます。
子宮頸がん検診では、子宮頸部から採取した細胞を顕微鏡で観察して、異常細胞を検出します。異常が見つかったら組織診を行って確定診断します。これによって、がんを早期のうち、あるいはがんになる前の段階で発見できます。
子宮頸がんの原因であるHPV感染を予防するワクチンは子宮頸がんを減らすことが証明されています。HPVワクチンは日本でも2009年から使用できるようになりましたが、ワクチン接種率はとても低くなっています。先進国では、子宮頸がんの罹患率・死亡率が低下しているのに対して、日本では逆に上昇傾向にあります。