当科のご紹介

2007年4月に、肝胆膵外科領域の世界的権威である幕内雅敏先生が当センターの院長に就任したのと同じ時期に、当センターの外科診療を行う科は、臓器別の診療科に分科しての診療を開始しております。当科は、専門性の高い診療、肝胆膵領域の外科診療を行う専門科として、「肝胆膵外科」という名称の元に診療を開始しております。当科では、肝臓、胆嚢・胆管、膵臓などにできた悪性腫瘍に対する手術治療を中心に診療を行っておりますが、胆石症などの良性疾患に対する治療も行っております。また、2009年からは生体肝移植を開始しており、その後、科の名称を「肝胆膵・移植外科」に変更しております。
積極的な治療を求めて全国から集まる患者さんに対して安全かつ高度な外科治療を提供するとともに、地域がん診療連携拠点病院として、消化器内科・化学療法科・放射線科など関連する科と連携しながら、地域の皆様の肝臓がん、胆嚢がん・胆管がん、膵臓がん診療に対して万全の体制を整え、最良の医療を提供しております。
2017年に幕内雅敏先生が退職されたのちも、以前と同じスタッフにて同じ水準の治療を継続しています（なお、肝移植に関しては、当センターにて肝移植を行った患者さんの外来での診療は継続しておりますが、2017年以降、新たに肝移植の治療を行うことは控えております）。
肝胆膵領域は、複雑な機能を果たしている臓器の集まりであり、そこに生じる疾患に対する対応は繊細さを要求されます。特に手術治療を必要とする疾患に関しては、手術そのもののみでなく、手術前後の管理にも細かい処置・対応が要求されます。当科では、他院では手術困難とされた患者さんに対して難易度の高い手術を行った経験も多く、肝胆膵領域を扱う外科としても特に専門性の高い治療が行えることが当科の特色の一つです。
また、手術における3Dシミュレーションの積極的な使用も当科の特色の一つとして挙げられます。現在では、術前のCT画像を三次元で解析するいわゆる「肝切除における3Dシミュレーション」は、肝胆膵外科領域では必須の手技となっておりますが、当センターでは、まだ「肝切徐術における画像支援ナビゲーション」が先進医療として認められる前の2000年代後半から、3D解析ソフトウエアの開発に協力してきた経緯があります。当センターは、いち早く「肝切徐術における画像支援ナビゲーション」が行える先進医療施設として2010年4月に認定されており、その後も3Dシミュレーションが必要となるような高度な肝切徐術の実績を積み重ねております。ちなみに、この技術は2012年に保険収載されており、現在は保険診療内で実施可能です。肝切除における3Dシミュレーションが最も有用である治療の一つは、多発の転移性肝がんに対する積極的な手術治療です。当センターでは、10個以上の大腸がん肝転移の患者さんにも積極的に手術治療を行ってきた経験があり、その経験を生かして現在も同じ手術適応基準での積極的な肝切除を行っております。
患者さんに負担の少ない手術として、肝切除や膵切除に対する腹腔鏡手術を開始しました。単発の肝腫瘍に対する肝切除や、良性腫瘍に対する膵体尾部脾切除など、複雑でない手術に対しては、積極的に腹腔鏡手術の実施を検討しています。

扱う疾患

手術の対象疾患

• 原発性肝癌（肝細胞癌、肝内胆管癌など）
• 転移性肝癌（大腸癌、胃癌、神経内分泌腫瘍などからの転移）
• 良性肝腫瘍（血管腫など）
• 肝内結石
• 胆管癌
• 胆嚢癌
• 胆石・総胆管結石
• 胆嚢ポリープ
• 膵癌
• 膵腫瘍（IPMN、膵NETなど）
• 後腹膜脂肪肉腫

このような症状のかたを診察いたします

腹痛（主に上腹部、右上腹部や左上腹部）、背部痛（主に左背部痛）、黄疸、褐色尿、白色便

主な検査

消化器内科と連携しており、主に検査は消化器内科にて行っております。
ICG検査、腹部超音波検査

主な実績