多発性硬化症とは
中枢神経と視神経の脱髄により脱髄瘢や脱髄巣が多発する疾患です。
・中枢神経の至る所に炎症性の脱髄病変が発生:空間的多発性
・急性に再発しては寛解を繰り返す:時間的多発性が特徴とされています。
発症の好発年齢:20〜30歳前後で、男女比:1:2〜3とやや女性が多いです。
原因:不明ですが遺伝的な素因にウイルスや高緯度地域に多いことなどが報告されています。
症状
- 運動障害:手足の力が入らない、歩行困難、ふらつき
- 感覚障害:手足や顔のしびれ、ピリピリ感、細かい動作ができない
- 視覚障害:片方の視力低下、かすみ目、眼の痛みなど
- その他::めまい、排尿障害、認知機能障害、疲労感など
当センターでできる検査・治療
検査
- 頭部、頸髄〜腰髄にかけて, 造影剤を使用したMRI(活動性の病変を描出するため)で評価します。
- 脳脊髄液検査 髄液蛋白上昇, IgG indexの上昇, Oligoclonal bandなどが見られるため、MRIと並んで重要な検査です。
- MEP(経頭蓋運動誘発電位):脳細胞を磁気で刺激し、手足へ伝導する速度を測定します。これにより、運動神経の障害部位と程度を調べることができます。一般病院では施行できない場合が多いですが、当院では検査が可能です。
- SEP(体性感覚誘発電位):手足を小さな電気で刺激し、脳へ伝導する速度を測定します。これにより、感覚神経の障害部位と程度を調べることができます。
- VEP(視覚誘発電位):視覚刺激の神経伝導を測定することにより、視神経の障害の程度を調べることができます。
治療
活動期
急性期:ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1000mg×3日間) を投与します(最大3回行うことが可能です)。
再発予防
従来よりインターフェロンベータの筋注が使用されてきましたが, 内服薬としてフィンゴリモド, フマル酸ジメチル, グラチラマーアセテートなどやナタリズマブ(1回/4週の点滴投与)などの治療が開発されてきましたが, ナタリズマブではJCウイルスの再活性化に伴う進行性白質脳症(PML)の合併例なども報告されており、最近では抗CD20抗体であるオファツムマブ(1回/4週間の皮下注射), 2次進行型の方にはSP3抗体調整薬であるシポニモドなども用いられます。
当センターでの実績
・多発性硬化症
2024年度
外来:18例(再発予防薬:フィンゴリモド 7例、オファツムマブ 5例、フタル酸ジメチル 3例、インターフェロンβ 2例)