心アミロイドーシス

心アミロイドーシスとは

アミロイドーシスはアミロイドと呼ばれる異常な蛋白質がさまざまな臓器に沈着し障害を引き起こす疾患です。アミロイドの沈着は、神経・心臓・腎臓・消化管・呼吸器・骨・関節などさまざまな臓器にみられ、そのうち心臓に沈着し心機能の異常や不整脈などを来すものを心アミロイドーシスと呼びます。
アミロイド蛋白は現在30種類以上が同定されており、そのうち心アミロイドーシスを来す主な病型はALアミロイドーシスとATTRアミロイドーシスに大別されますが、症状や検査所 見は病型によらず共通点が多く見られます。心アミロイドーシスは従来比較的稀と考えられていましたが、近年では日常診療においてさほど稀な疾患ではないことが明らかになってきました。
さらに近年治療も進歩しており、適切な診断を行うことが重要です。心アミロイドーシスを疑う症状としては、心不全症状(息切れやむくみ)、めまい、失神などが挙げられます。これらの症状は他の心疾患でもよく見られる症状であり、各種検査所見を考慮の 上、総合的に判断し最終的な診断を確定することが重要です。

当センターでできる検査・治療

循環器内科では十分な説明を行いながら、下記のような検査を行い診断に努めています。また、アミロイドーシスはさまざまな臓器に障害を来す全身疾患であり、複数の診療科と協力・連携をしながら診断および治療を行なっています。

診断

・心電図検査
最も基本的かつ簡便な検査であり、心電図の異常が心アミロイドーシスの診断の入口となることも少なくありません。さまざまな異常がありますが、いずれもこの病気に特徴的ではなく進行具合や重症度によっても異なり、早期には心電図異常がないこともあります。

・心臓超音波(心エコー)検査
心電図と並び基本的かつ重要な検査です。心臓の機能や形態を確認することができます。心臓にアミロイドが沈着すると、さまざまな程度の心機能障害、心筋の肥厚(心肥大)や輝度の上昇、心膜液の貯留(心臓の周りに水が貯まる)などが見られます。特に 心肥大はこの病気を疑う重要な手がかりとなる所見です。

・心臓MRI
心臓の形態や機能評価、ガドリニウム造影剤を使用することによりアミロイドの沈着と心筋のダメージなどを評価することもできます。心臓MRIは肥大型心筋症やファブリー病といったアミロイドーシスと類似する他の疾患の鑑別にも有用です。

・核医学検査
99mテクネシウムピロリン酸シンチグラフィは心アミロイドーシスの中でも特にATTRアミロイドーシスを診断する能力に長けています。99mテクネシウムピロリン酸投与1時間後もしくは3時間後に撮影を行います。ATTRアミロイドーシスでは99mテクネシウムピロリン酸が心臓に集積して見えることがあります。

・心臓カテーテル検査
心アミロイドーシスの確定診断は心筋生検によって行います。心筋生検とは、専用のカテーテルを用いて心筋組織の一部を採取し、顕微鏡で観察したりする検査です。心筋にアミロイドが沈着していることが証明できれば確定診断となります。アミロイドの沈着を認めた場合にはさらに詳しい分析を行い、ALアミロイドーシスやATTRアミロイドーシスといっ た病型を確定します。

治療

アミロイドーシスの病状進行を防ぐ治療として、ALアミロイドーシスでは化学療法や自家末梢血幹細胞移植など、ATTRアミロイドーシスでは2019年に保険適用となったタファミジスという薬剤などがありますが、前者は当センターの血液内科で、後者は学会で認定された施設及び医師のみが行なっております。循環器内科では心アミロイドーシスに合併する心不全や不整脈に対する治療を行なっております。心不全に対する薬物治療を中心に、頻脈性(脈が早くなる)不整脈に対するカテーテルアブレーションの適応検討、徐脈性(脈が遅くなる)不整脈に対する心臓ペー スメーカ植込み、心室頻拍や心室細動といった致死的不整脈を来した際には植込み型除細動器 (ICD)の植込みなども行なっております。

当センターでの実績

2018年1月~2020年12月

・心筋生検:15件(1件で心アミロイドーシスと診断)
・心臓ペースメーカ植込み:82件(心アミロイドーシス:3件)
・植込み型除細動器植込み:22件(心アミロイドーシス:3件)
・心臓再同期療法(CRT/CRT-D):3件