耳鼻咽喉科の特色

特色

「安全性」「最小限の術後ケア」「入院日数短縮化」の三つに配慮しています。
耳、鼻、首の周囲は重要な臓器や神経組織と接しています。例えば、耳の周辺には顔面神経や内耳、頭蓋底など、鼻の周囲には眼窩(眼球が入っている頭蓋骨のくぼみ)や視神経、頭蓋底、血管など、首の周辺には顔面神経や声帯を動かす反回神経があり、手術ではこれらの神経の損傷を防ぐことが重要です。そのため当センターでは、大学病院での指導や研修に加え、各種の手術訓練コースへの参加や、手術中にナビゲーションシステムや神経モニタリングシステムを活用するなどして、手術の安全性の向上に努めています。

ナビゲーションシステム

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神経モニタリング

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鼓室形成術

以前行っていた耳周囲の剃毛は行いません。中耳真珠腫では耳後切開を行いますが、慢性中耳炎では多くの症例で耳内法で行いますので、耳後部に傷がつきません。3-4日の入院期間で行い、社会的な負担を減らしています。術後のパッキング素材は吸収性のものを主体に用いているため、抜去時の痛みは少ないです。 鼓膜形成術は成人症例では日帰りで可能です。

鼻内内視鏡手術

現在、上顎洞前方の病変、乳頭腫などの腫瘍性病変を含め鼻副鼻腔手術は内視鏡で行います。鼻の手術は目のそばや脳の下を触らなければならないので、目や脳の合併症の報告が散見されますが、こういった合併症を避けるためには副鼻腔の構造をCT画像から三次元的に理解することが必要です(下記参照)。また、術後再発症例など開放に困難が予想される場合などは前述のナビゲーションシステムを併用しています。耳手術と同様に術後のパッキング素材は吸収性のものを主体に用いているため、抜去時の痛みは少ないです。入院期間は約5日間です。

鼻内内視鏡手術 イメージ01 鼻内内視鏡手術 イメージ02

前頭洞(frontal sinus)からの膿の流出経路は1~4の篩骨蜂巣の間を通る。このため、これら篩骨蜂巣を開放していけば安全に前頭洞を開放できる(頭蓋底損傷、髄液漏のリスクを減らす)。

耳下腺・甲状腺手術

耳下腺手術では耳下腺の中央を通っている顔面神経を温存しながら腫瘍を摘出します。 甲状腺手術では声帯を動かす反回神経を温存しながら腫瘍を摘出します。当科ではこの操作に神経モニタリング装置を使用し、神経の同定とともに神経周囲の操作をより愛護的に行うことで術後の顔面神経麻痺(片側の顔の動きが悪くなり、目が乾いたり口角から食べ物がこぼれたりするなど)、反回神経麻痺(声がかすれるなど)を起こさないように配慮しています。

扱う疾患

慢性中耳炎

症状や原因:耳漏(耳だれ)、難聴、耳鳴を起こします。小児期の中耳炎や、その後の鼓膜のチューブ留置、外傷性鼓膜穿孔が治癒しなかったものが原因になっているものがほとんどです。
治療:点耳などの保存的治療で完治することは稀で手術加療が必要です。当科では3-4日という比較的短期入院で手術加療を行います。顕微鏡・内視鏡ともに用いますが、病変が軽い場合は耳後切開を行わず、耳内切開で行うことが可能です。 感染がない鼓膜穿孔であれば、リティンパ®を使用した鼓膜形成術(トラフェルミンを用いた鼓膜再生療法)も行っています。

中耳真珠腫

症状や原因:耳漏(耳だれ)、難聴、耳鳴、進んだ場合はめまいや顔面神経麻痺を伴います。慢性中耳炎と成因はほぼ同様ですが、鼻をすする癖が原因になっている場合があります。
治療:手術加療が主体です。中耳真珠腫は再発が多い疾患ですが、術後MRIにて再発の確認を行い、すべての症例で二期的手術(2回目の手術で真珠腫再発の有無の確認とともに音を伝える仕組みを作り直す手術を行う)は避けています。真珠腫の状態によっては1回目の手術で真珠腫を取り除き、2回目の手術で伝音再建(真珠腫再発の有無の確認とともに音を伝える仕組みを作り直す手術)を行うこともあります。入院期間は慢性中耳炎手術と同様です。

耳硬化症

症状や原因:外耳や中耳から内耳に音を伝える耳小骨の一部や内耳が脱灰と再石灰化を繰り返すことにより耳小骨の動きが硬くなる伝音難聴や病変が内耳に進んだ場合の感音難聴、その両方(混合難聴)を来します。
治療:伝音難聴が主体であれば手術加療の適応になります。手術では動きが不良になったアブミ骨の代わりにテフロンピストンを使用し、90%以上の方が聴力は改善します。手術加療を希望しない場合は補聴器の適応になります。 内耳に病変が及ぶ感音難聴ではその治療は困難です。

滲出性中耳炎

症状や原因:小児では急性中耳炎罹患後に耳管機能障害により中耳に浸出液が貯留し、数か月以上に渡り持続することがあります。アデノイド増殖がある場合もこの滲出性中耳炎を起こしやすくなります。成人では航空性中耳炎罹患後、または加齢変化による耳管機能障害により滲出性中耳炎を起こすことがあります。小児ではほとんど症状はなく、成人では聴力低下や耳閉感(耳が詰まる感じ)、自声強聴(自分の声が響いて聞こえる)が起きます。
治療:3-4か月以上貯留液が持続する場合、鼓膜の病的変化(内側に陥凹するなど)を伴う場合、難聴を伴う場合は鼓膜チューブ留置の適応です。アデノイド増殖を伴う場合はアデノイド切除も同時に行うことがあります。 成人症例では鼓膜切開や鼓膜チューブ留置を外来で行います。また、上咽頭に腫瘍性病変がないかをチェックすることも必要です。

耳管解放症

症状や原因:通常は圧調整のために開閉をする耳管が長期間に開放された状態になり、耳閉感(耳が詰まる感じ)、自声強聴(自分の声が響いて聞こえる)、呼吸音聴取(自分の呼吸の音が聞こえる)のために話しにくくなるなどの症状が起きます。聴力低下は伴いません。急激な体重減少、妊娠などが原因になることがあります。 これらの症状を解除するために鼻すすりを無意識に行う場合がありますが、習慣的な鼻すすりは滲出性中耳炎や中耳真珠腫など耳の病気の原因となります。鼻すすりの癖がある場合は受診をお勧めします。また、症状はこれと似ていますが、半規管裂隙症候群による耳閉感の場合もあり、鑑別が必要です。
治療:水分摂取(脱水の予防)、生理的食塩水点鼻、漢方薬の内服、鼓膜切開や鼓膜チューブ留置などを行います。当科では耳管ピンは行っていませんので、必要な方は他院に紹介させて頂きます。

突発性難聴

症状や原因:生来健康で耳の病気を経験したことのない人が、明らかな原因もなく、あるとき突然に通常一側の耳が聞こえなくなる病気をいいます。2001年の調査では、全国受療者数は推定、年間35,000人で、人ロ100万人対で275.0人の罹患があります(難病情報センターホームページ)。ウィルス罹患、内耳循環障害などが原因として考えられていますが、はっきりした原因は不明です。突発性難聴は再発しないことが一つの特徴とされており、突発性難聴が再発するようであれば、外リンパ瘻(ステロイド治療中に難聴が増悪する症例も外リンパ瘻を疑う必要があります)、メニエール病、聴神経腫瘍など他の疾患の除外が必要です。
治療:ステロイド内服または点滴(入院加療)が主体です。症例により鼓室内ステロイド注入を併用します。 難聴が改善する場合には、治療後難聴は急速に改善し、徐々にプラトーに達するような回復過程を示しますが、治療開始後より少しずつ回復する場合や全く改善しない場合もあり、様々です。発症後2週間以上を経過した症例、発症時平均聴力レベルが90dB以上の高度難聴例、回転性めまいを伴う症例、高齢者などは予後不良と言われています。

特発性感音難聴

症状や原因:特発性両側性感音難聴の原因は未だ不明です。進行する両側性感音難聴のうち原因不明のものを特発性両側性感音難聴と呼んでいます。(特発性難聴と診断する前に血管炎などの特殊な炎症が原因となる難聴の除外が必要です) 中でも若いころから難聴が進む場合は遺伝子変異が原因になっている場合があり、採血で難聴に関わる遺伝子変異の有無を知ることができます。遺伝子変異が見つかった場合に治療につながることは現在は稀ですが、他の疾患と関連することもあり、有用な情報が得られることがあります。希望される場合は担当医に相談してください。
治療:現時点では特発性進行性感音難聴の治療には他の感音難聴と同様に血管拡張剤、代謝賦活剤、ビタミン製剤などが用いられています。これらの治療薬も難聴の治療を目的とするよりも、進行防止を期待して用いられています。また、難聴の急性進行期にはステロイド剤が用いられています。一般的に特発性感音難聴の進行は緩徐であるため、突発性難聴に比較しても薬剤への反応は不良、または効果判定が困難であることが多いです。

加齢性難聴を含む感音難聴

純音聴力検査にて40dB以上の難聴がある場合は補聴器を使用し、聞き取るようにリハビリを行うことが勧められます(ヒトの話している声は60‐70dB程度の大きさで、これを聞き取るためには30dB程度の聴力が必要です)。また、難聴を放置せず補聴器使用することが認知症予防になるとも言われています。一方で、補聴器はつけたらすぐに聞き取れるわけではなく、補聴器には時間をかけて慣れることが必要になります。購入したらなるべく補聴器をして人と会話する、テレビを字幕に頼らず聞き取る、などのリハビリが必要になります。補聴器は医療保険にカバーされませんので、購入には補聴器相談医による補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)を提出することで医療費控除の適応になります。担当医にご相談ください。

慢性副鼻腔炎

症状や原因:感冒、アレルギー性鼻炎、アトピー素因、または鼻中隔彎曲などの解剖学的な閉塞性素因を原因として副鼻腔に炎症を起こし、慢性化します。鼻がつまる、嗅いがしない、粘り気のある黄色い鼻汁が出る、あるいは鼻汁がのどの方に流れる、頭が重いなどの症状が一般的です。副鼻腔炎を原因として中耳炎を起こしたり、気管支炎を起こすこともあります。
治療:通常各副鼻腔は鼻腔への出口(膿の排出経路)があります。CTでこの状態を評価し、この出口が開いている場合は保存的治療(内服や点鼻)の効果がある程度期待できます。数回の外来治療にて軽快させることは困難で、内服は通常長期になります。鼻茸(ポリープ)があり、副鼻腔の出口を塞いでいる場合、真菌(カビ)が炎症の原因となっている場合は内視鏡手術が必要です。歯性炎症(虫歯)が原因となる場合は歯科治療と並行し、副鼻腔炎の加療(内服や内視鏡手術)が必要になります。また、乳頭腫など副鼻腔腫瘍が疑われる場合も手術が必要になります。 副鼻腔手術は現在内視鏡手術が主体となっており、術後に顔が腫れたりすることはほとんどありません。症例によりナビゲーションシステムを使用するなど、頭蓋内合併症(髄液漏など)や眼窩内合併症(視力低下や複視など)が起きないように配慮しています。

好酸球性副鼻腔炎

通常の副鼻腔炎とは少し異なり、喘息などのアレルギー体質と関係が深い副鼻腔炎と考えられています。鼻茸(鼻のポリープ)が再発しやすく、嗅覚障害(においがわからない)を合併しやすいことが特徴です。内視鏡手術後も鼻茸が再発する場合は難病申請後生物学的製剤を使用することがあります。こういった製剤の登場により以前より予後は改善してきています。

鼻中隔彎曲症

症状や原因:鼻中隔は薄い軟骨と骨で構成され、頭蓋骨と上顎骨の成長に押され、成長の過程である程度彎曲するのが通常です。人によってはこれが原因となり、内服や点鼻で軽快しない鼻閉を起こします。鼻中隔の彎曲はCTにて評価します。
治療:内視鏡手術により彎曲した部分の骨を切除します。以前の手術では軟骨も大きく切除する手法がとられていましたが、現在は彎曲していない部分の軟骨や骨はなるべく保存しており、鼻の支えとしての構造を弱くしないように(鼻が低くなるなどの合併症が将来起きないように)配慮しています。

アレルギー性鼻炎

症状や原因:鼻水、くしゃみ、鼻閉がアレルギー性鼻炎の症状です。何がアレルギーの原因になっているかは血液検査を行うことにより分かります。 治療:抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤内服、ステロイド点鼻を使用します。薬剤によって症状が軽快しにくい場合、内服や点鼻を減らしたい場合は、レーザーなどによる鼻粘膜焼灼(局所麻酔手術)、下甲介切除(全身麻酔)、後鼻神経切除(全身麻酔)があります。鼻中隔湾曲症の手術と同時に下甲介手術や後鼻神経切除を行うことが多いです。 またスギ花粉症では抗体製剤の使用や、スギ花粉症とハウスダストアレルギーに対しては舌下免疫療法を使用することがあります。

鼻出血、難治性鼻出血

症状や原因、治療:鼻中隔前方にあるキーゼルバッハ部位という場所に血管が多く集まっており、粘膜上に血管が露出することで鼻出血を生じます。この前方からの出血が多く、前方の血管は外来で焼灼止血が可能です。前方からの出血ではない場合は鼻内をガーゼなどで圧迫止血したり、全身麻酔下に奥の血管(蝶口蓋動脈や前篩骨動脈)をクリッピングすることで止血します。

涙道閉塞症

症状や原因:涙の排出がうまくいかずに、目がうるむ感じや涙があふれ出る(流涙症)、涙が停滞することにより目やにが増えるなどの症状が出ます。原因としては涙道内に老廃物が蓄積してきてしだいにふさがってくることが多いようです。涙嚢内で感染が生じると涙嚢炎といって目がしらの所が赤く腫れることがあります。
治療:眼科での涙道通水試験や当科での造影検査(CT)により実際の閉塞の有無や閉塞部位を確認します。また稀ですが、副鼻腔炎や副鼻腔腫瘍により涙道閉塞を起こすことがあり、確認が必要です。涙道閉塞がある場合(特に涙嚢から鼻涙管に閉塞がある場合)は内視鏡手術により鼻内への涙嚢の開放とシリコンチューブの留置を行います。このチューブは2-3か月留置します。

顔面神経麻痺

症状や原因:循環障害、外傷、腫瘍による圧迫により顔面神経麻痺を生じますが、もっとも多いものは単純ヘルペスウィルス(Herpes Simplex1)による神経の炎症と考えられています。中には帯状疱疹ウィルス(Herpes Zoster)により顔面神経麻痺が起こることがあります。この場合、難聴やめまいが同時におきます(ハント症候群)。通常の顔面神経麻痺では90%以上が軽快しますが、ハント症候群では70%程度と予後が悪いことが知られています。
治療:炎症により顔面神経が側頭骨内で腫脹することにより、顔面神経麻痺が進行したり、これにより治癒の遅延、病的共同運動(口を動かす動きで同時に目が閉じてしまうなど)が起きやすくなります。これを防ぐために経口または点滴でのステロイド投与と抗ウイルス薬の投与を行います。 予後判定のためにENoG(筋電図検査)を施行しています。この筋電図の値によりある程度の神経麻痺回復に要する期間や、回復の程度の予測が可能です。ENoG値<10%の症例では神経麻痺の回復に4か月以上かかり、かつ完全に治癒しないと予想されるため、顔面神経管開放術の適応があります。この手術により顔面神経麻痺の回復を改善したり、病的共同運動の出現を予防することができます。 高度麻痺の症例では発症後4‐6か月してから病的共同運動(食事中や会話中、口を動かす時に閉眼してしまう)が出現することがあります。この場合はボトックス注を行うことでこの症状や顔のこわばりが軽減します。

メニエール病

症状や原因:回転性めまい、難聴、めまい、耳閉感を反復します。体格では健康な人と比べて肥満者の割合が少ない、性格は几帳面・神経質と答える割合が高い、精神的・肉体的疲労、ストレス、睡眠不足などの状態の人に起こり易い傾向があるといわれています。メニエール病の原因は不明ですが、内リンパ水腫を起こすことでこれらの症状が起きると考えられています。
治療:内リンパ水腫を軽減するための利尿剤、ビタミン剤、末梢血流改善剤などを使います。しかし、薬による治療でめまい発作を止めることができず社会生活に支障をきたすような場合や、聴力が段々悪化して行くときには中耳加圧療法、鼓室内へのステロイド注入、内リンパ嚢手術による内リンパ嚢の開放を行うこともあります。

良性発作性性頭位眩暈症

症状や原因:耳性めまいで最も多いめまいです。臥位で頭の向きを変えるとき、臥位から起き上がるとき、臥位になるとき、下のものを拾うなどの頭位の変換により30秒程度の回転性めまいを生じます。耳石器(前庭)の炭酸カルシウムの結晶が後半規管や外側半規管に脱落することで、頭位変換時のめまいを生じます。頭部外傷後や長期臥床、前庭神経炎や突発性難聴などの耳の病気の合併症として起きることもありますが、半分程度の方で誘因はありません。
治療:数日から数カ月程度で自然軽快することが多いです。頭位変換眼振検査にてこの疾患と診断できた場合は頭位変換療法が有効で、症状の軽快を早めることができます。薬物療法は対症的に用いられます。

前庭神経炎

症状や原因:一側の前庭機能が低下し、激しいめまい、嘔吐、患側への転倒傾向が出現し、立位の保持や歩行は困難になります。この症状は1日以上持続します。難聴や他の神経症状は伴いません。温度眼振検査にて一側の前庭機能低下を確認します。通常めまい発作は1回のみですが、小さなめまいを繰り返すことがあります。
治療:一側の前庭機能低下は中枢の代償や健側の前庭神経との神経調節により回復していきます。通常2-3日で立てないほどのめまいは回復、70%の方は1週間以内に症状は軽快します。この間は鎮暈剤、制吐剤などを対症的に用います。ステロイドを使用することもあります。前庭代償を促すためになるべく動くするようにすること(リハビリ)が必要です。

ガマ腫

症状や原因:口腔底にできる、痛みがない腫れ(舌下型)として見つかります。ときに顎の下の腫れ(顎下型)として見つかることもあります。唾液が口腔底粘膜下に漏れ出ることが原因と考えられています。 診断のために腫れている部分に針を刺して、唾液が吸いとれることを確認したり、超音波検査やMRI検査で他の疾患と見分ける必要があることもあります。
治療:針で内溶液を吸いだしたり、ガマ腫の中に薬剤を注入します(OK432)。 ガマ腫の中に入っている唾液は舌下腺からと考えられており、腫脹を繰り返す場合には舌下腺を口腔内から摘出する手術を行います。

耳下腺腫瘍

症状や原因:耳の下にある唾液腺(耳下腺)内にできる腫瘍です。痛みを伴う場合、急速に大きくなる場合、顔面麻痺を伴う場合は悪性腫瘍の可能性もあります。 超音波検査やMRIの検査を行い、腫瘍の形や大きさ、耳下腺内を通っている顔面神経と腫瘍との位置関係を確認します。腫瘍の良性悪性の診断のために、腫瘍に針を刺す検査(細胞診)を行います。
治療:腫瘍の摘出手術を行います。良性腫瘍の場合、耳下腺内を通っている顔面神経を保存して腫瘍を摘出します。当科では神経モニタリング装置を使用しており、術後顔面神経麻痺(一過性のものを含む)は少ないです。

顎下腺唾石症

症状や原因:食事の際の痛みと唾液腺の腫れが主な症状で、唾液腺を圧迫すると膿が口の中に排出されることがあります。 唾石は、唾液腺(顎下腺、耳下腺、舌下腺、小唾液腺)内や唾液腺から口腔に至る管の内にできます。唾石の98%は顎下腺にできます。
治療:石が顎下腺から出ている管の中にあり、口の中から石を触れることができれば、口の中に小さい切開をおき、唾石を摘出できます(口内法による摘出)。 石を口の中から触れることができない場合や、石が顎下腺内にある場合は、顎下腺を摘出する手術を行います。

顎下腺腫瘍

症状や原因:顎の下の腫れとして見つかります。 MRIやCTを行います。腫瘍の良性悪性の診断のため、超音波下に針を刺して細胞を検査します。
治療:腫瘍ごと顎下腺を摘出します。顎下腺直上に唇を動かす神経が通っているため、神経を保存しての手術に努めています。

甲状腺腫瘍

症状や原因:のど仏の左右もしくはやや下の腫れとして見つかります。唾を飲み込む時に上に動く腫れは甲状腺腫瘍が疑われます。 超音波検査を行い、腫瘍が確認できれば、針で細胞を採取する検査を行います。必要に応じてMRIやCTで周囲組織や血管との関係も確認します。
治療:腫瘍がある程度の大きさであったり、悪性腫瘍が考えられる場合、腫瘍がある側の甲状腺を摘出する手術を行います。甲状腺の背中側には声帯を動かす神経(反回神経)が走っています。反回神経が機能しなくなると、声がれやむせがおきます。当科では手術の際に専用の声帯の動きを確認できる全身麻酔挿管チューブを使った神経モニタリング装置を使用して神経麻痺の予防に努めています。悪性腫瘍症例では再発時にマルチキナーゼ阻害薬の他に遺伝子変異に対する薬剤使用が可能な症例があります。このため、悪性腫瘍症例では手術で摘出した組織から遺伝子変異検査(オンコマインDx)を行うことがあります。

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