前立腺がんの治療法
転移がなく、がんが前立腺にとどまっている時期(早期)にみつかった場合は、手術、放射線、内分泌治療法のいずれかを選択することが出来ます。病巣が小さく進行が遅いと見込まれるがんの場合は、治療を急がず、経過に注意しながら治療を考える監視療法active surveillanceも選択肢の一つとなります。例えば、PAS値が10mg/ml以下、Gleason scoreが6、病巣もとても小さいと推測される場合です。
①手術
手術では、前立腺とその後ろにある精嚢を切除します。全身麻酔で約3時間かかります。2014年4月、我が国でも手術支援ロボットを用いる手術が、保険診療として認められました。立体視(3D)と視野拡大ができるカメラで術野を見ながら、人間の手首より可動性の良い鉗子を使って手術を行います。従来に比べて細かい作業が可能となり、根治率は高く、出血や合併症は少なくなりました。入院期間も10日くらいで済みます。もちろん当センターでも、ロボット支援前立腺摘出術を行っています。
②放射線治療
放射線治療は、強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy:IMRT)、ヨード125(I-125)密封小線源永久挿入治療、サイバーナイフを用いた定位放射腺治療などが行われています。サイバーナイフは、治療したい部位(前立腺)だけに放射線を集めることができる装置です。周囲の健康な臓器への影響が非常に少ないという利点があります。サイバーナイフを用いた治療は、当センターでも可能です。詳細は
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③内分泌療法
前立腺がんを進行させる男性ホルモン(アンドロゲン)を抑える治療を行います。精巣(睾丸)を切除してしまうか、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(Gonadotropin Releasing Hormone)を減らす薬剤を投与して、精巣からの男性ホルモンの分泌を抑えます。残っている男性ホルモンの作用でがんが進行する場合には、男性ホルモンそのものの作用を抑える薬を使います。これらの方法でがんの進行を留めることができます。
前立腺がんの治療実績(2020年)
ロボット支援前立腺摘除術:42件(病期2以下の断端陰性率98%)