卵巣について
卵巣は子宮の左右に1個ずつあり、靱帯を介して子宮とつながっています。月経のある女性は通常3~4cmの大きさですが、時期によっては6cm程度まで大きくなることもあります。閉経後には2cmほどに小さくなります。
卵巣がんの症状
腹痛や腹部の違和感・膨満感がありますが、初期には軽いことが多く、見過ごされることがあります。
腫瘍が大きくなったり腹水が溜まってきたりすると、お腹の膨満感が強くなります。がんが進行すると腹水や胸水のために呼吸が苦しくなることもあります。
お腹が出てきた女性は、運動やダイエットをなさることが多いようですが、お腹「だけ」が出ている場合は、卵巣がんの症状かもしれません。
卵巣がんリスクが高い患者さん
年齢が上がるにしたがって卵巣がんのリスクは高くなります。
初経が早い、閉経が遅い、出産経験がない人はそうでない人と比べて卵巣がんの頻度が少し高くなります。
遺伝性乳がん卵巣がん症候群やリンチ症候群などの遺伝性腫瘍の家系の方は卵巣がんが多いことが知られています。
子宮内膜症は類内膜がんや明細胞がんという組織型の卵巣がんの発生母地となります。子宮内膜症性卵巣嚢胞は大きいものほど卵巣がんになりやすいことが知られています。
予防と検診
経口避妊薬や授乳は卵巣がんのリスクを下げることが知られています。
遺伝性乳がん卵巣がん症候群と診断された方には予防的卵巣卵管摘出術が勧められます。
卵巣がんは、お腹の中の小さい臓器に発生するため、発見しにくいだけでなく、がんが小さい段階でもお腹の中に広がりやすいという厄介な特徴があります。現在、有効な卵巣がん検診法はなく、開発が待たれます。