視神経脊髄炎

視神経脊髄炎とは

多発性硬化症とされる方の中に以前から視神経炎と脊髄炎を同時期にきたす症例があり視神経脊髄炎と呼ばれていました。このような症例には中枢神経特異的な抗体(NMO-IgG)が血清中に存在することが2004年に発見され、その後NMO-IgGはアクアポリン4(AQP4)という分子に対する抗体であることが判明しました。さらに抗アクアポリン4抗体陽性ではあるが従来の視神経脊髄炎の診断基準を満たさない症例をふくめて視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)という疾患概念が提唱されています。
症状は視神経炎による視力障害や脊髄炎による運動麻痺、排尿障害、感覚障害などがみられますが、時に嘔吐や吃逆(しゃっくり)といった延髄の障害に起因する症状を呈する場合があります。 視神経脊髄炎は、もともと多発性硬化症の一亜型と考えられ、急性期のステロイドパルス療法も共通していますが、再発予防の治療方針は全く異なります。多発性硬化症と視神経脊髄炎を区別することがこれらの疾患の治療方針決定のキーポイントとなります。

当センターでできる検査・治療

検査

MRI、誘発電位、髄液検査が行われますが、血清や髄液の抗APQ4抗体や抗MOG抗体の検討が非常に重要です。
視神経炎の評価では眼科との連携で視力、視野だけでなく、フリッカーテストやRADPと呼ばれる瞳孔反応などをしらべます。

治療

従来型の多発性硬化症はリンパ球などの細胞性免疫の果たす役割が多いのですが、視神経脊髄炎は特異的な抗体が存在する事から液性免疫が主体と考えられます。症状悪化時にステロイドパルス療法を行うことは従来型の多発性硬化症と共通していますが、効果がみられない場合は積極的に血漿交換といわれる血液中の抗体を取り除く治療法を腎臓内科と連携して行っています。通常週2~3回、計7回まで治療がおこなわれます。
視神経脊髄炎では慢性期にステロイド内服治療が行われますが、再発のリスクを考慮して慎重な減量が必要となります。アザチオプリンなどの免疫抑制剤はステロイド減量による再発をきたした例で使用されていますが、最近になり再発予防にエクリツマブ、サトラリズマブといった分子標的薬による治療が認可されました。有効性の高い治療法ですが、高価なため症例を選んで導入しています。

当センターでの実績

2019年度

・視神経脊髄炎
外来:13例(ステロイドのみ内服7例、ステロイド+免疫抑制剤6例)
入院:5例(全例でステロイドパルス療法、血漿交換1例)