(ア)専門性と多職種による患者支援を備えた、日本でも数少ない間質性肺炎専門センターです
【間質性肺炎センターの特徴】
● 東京都心に立地する、全国でも希少な間質性肺炎専門センター
➤ 北海道から沖縄まで全国からご紹介いただいており、入院患者数は年々増加傾向です。
● 初診時から入院による迅速かつ網羅的な検査体制(クリニカルパス導入)
➤ 初診の方は基本的に入院していただき詳細な検査や治療方針を検討していきます。
● 呼吸器内科医、放射線科医、病理医などによる多職種診断カンファレンス(MDD)を定期開催
➤ より正確な診断、より適切な治療方針を決定します。
● 看護師・薬剤師・リハビリスタッフ・管理栄養士・ソーシャルワーカーを含む包括支援チームによる集学的治療・患者支援
➤ 患者さん毎に適切な医療を提供していきます。
● 間質性肺炎の方は(疑いの方も)どなたでもご受診いただけます。
➤ 紹介元医療機関からの紹介状が必要となります
息切れ、咳──その背後に「間質性肺炎」という疾患が潜んでいることがあります。この病気は進行性で難治性の場合があり、早期の正確な診断と専門的な治療介入が予後を左右します。
間質性肺炎は患者さん毎に原因や進行度、治療法も異なりますので専門施設での診療が必要ですが、専門医による診断・治療に至るまでには時間がかかってしまっているのが現状です。そこで、間質性肺炎が疑われる方、間質性肺炎と初めて診断された方、間質性肺炎と診断はされているが治療方針にお困りの方などの患者さんの不安に応え、なるべく早期に専門医を受診できるよう設立いたしました。
東京都内のアクセス至便な立地にあり、全国でも数少ない間質性肺炎センターとして、初期診療から専門医療まで一貫した医療を提供しています。

※2025年は4月上旬までの患者数です。
主な対象疾患名と検査・治療法
主な疾患名(このほかにも多数の間質性肺炎があります)
特発性間質性肺炎(特発性肺線維症Idiopathic Pulmonary Fibrosis:IPFなど)
特発性間質性肺炎は原因不明の間質性肺炎であり、その中でもIPFの臨床経過は個々の患者さんで様々です。IPFの診断には臨床経過、血液検査結果、胸部X線、CT所見、肺機能検査、病理検査など様々な情報が必要であり、呼吸器内科医、放射線科医、病理医を中心とした多職種での協議が重要とされています。
過敏性肺炎
家庭や職場などにおいて吸入した抗原が肺内でアレルギー反応を起こすことで発症する疾患です。カビを抗原とする夏型過敏性肺炎や、鳥抗原を原因とする鳥関連過敏性肺炎が多いと考えられており、患者さんやそのご家族などからの吸入抗原の問診が重要となります。
膠原病関連間質性肺炎
膠原病では疾患を問わず呼吸器疾患を合併する頻度が高く、その中でも間質性肺炎は生命予後へのインパクトが最も大きい合併症です。そのため、呼吸器内科医、膠原病科医を中心にチーム医療で診断、治療などを行っていく必要があります。
進行性線維化を伴う間質性肺疾患(Progressive Fibrosing Interstitial Lung Disease:PF-ILD)
間質性肺炎には上記以外にも様々な疾患が含まれますが、原因によらず呼吸機能の低下、胸部CTでの線維化の進行、呼吸器症状やQOLの悪化を認める予後不良の疾患群です。
検査
当センターを受診された際には、以下の検査などで間質性肺炎の状態を評価いたします。
患者さん毎に必要な検査は異なりますので、診察時に詳細をご説明いたします。
・血液検査
・胸部X線、CT
・肺機能検査
・気管支鏡検査(クライオバイオプシー)
・外科的肺生検(診断のための手術)
多職種によるカンファレンス(multidisciplinary discussion:MDD)
呼吸器内科医、放射線科医、病理医、膠原病内科医などの専門医によるカンファレンスであり、診断の精度を向上させ治療方針を決定する上でも重要なプロセスです。MDDを実施している施設は少ないですが、当院では定期的に行っております。

治療法(呼吸リハビリテーションと栄養療法は下部ページにて詳細にご紹介しております)
● 抗原回避:過敏性肺炎の原因となるアレルゲンや刺激物を可能な限り特定し、その暴露を避けることが重要です。職業的な暴露の場合、労働環境を改善することが必要です。
● 薬物療法(抗線維化薬):間質性肺炎の進行を遅らせるために使用される薬物です。
● 薬物療法(抗炎症薬):特に膠原病関連間質性肺炎や過敏性肺炎などに対してステロイドや免疫抑制剤が使用される場合があります。
● 酸素療法:肺機能が低下している場合、酸素療法が必要な場合があります。
● 肺移植:症状が重度で、他の治療法が効果的でない場合、肺移植が検討されることがあります。
➤ 肺移植は当院では施行できないため、肺移植実施施設へご紹介いたします。
● 緩和ケア:間質性肺炎患者さんには発症からの全経過を通じて多職種による支援が必要であり、それは多職種による早期からの緩和ケアと位置づけられています。
専門医による多職種カンファレンスで治療方針を検討し、看護師、理学療法士、管理栄養士、ソーシャルワーカーとも連携し患者さん毎に集学的治療を行います。
他院で治療困難といわれた場合でも当院では治療可能な場合もありますのでご相談ください。
呼吸リハビリテーション
【特徴】
①当院オリジナルの呼吸リハビリテーションを実施
②個別に身体機能を評価し、各患者さんに合ったプログラムを作成
③呼吸リハビリテーション専門資格を持ったスタッフが対応します
(呼吸理学療法専門理学療法士, 認定呼吸理学療法士, 3学会合同呼吸療法認定士)
【対象】
✓提供する運動療法は「呼吸状態」が安定していることが条件となります
✓間質性肺炎センターでは図の「軽症」の方を主な対象としています
※中等症、重症の方もプログラムを変更して行っています
✓「週4〜5日」の入院プログラムと「週1回」の外来プログラム(希望者のみ)
※外来プログラムは2025年1月から開始予定です
呼吸ケア・リハビリテーション学会 呼吸リハビリテーションに関するステートメント(2018)より抜粋
【主な内容】
①1回の提供時間は40分です
②定期的な身体機能評価を実施し、状態に合ったプログラムをご提供します
栄養療法
栄養療法(栄養管理)は間質性肺炎患者さんにとって体力低下、体重減少予防のために大切な治療の一つです。
【特徴】
①当院オリジナルの呼吸ケア食を実施
②現在の栄養状態を体組成計にてチェック
③個別に食生活、栄養状態を評価し、各患者さんに合った栄養指導、食事指導計画を作成
④栄養補給療法について説明
⑤呼吸器疾患の栄養療法経験を持つスタッフが対応します
(病態栄養専門管理栄養士、栄養サポートチーム専門管理栄養士、静脈経腸栄養認定管理栄養士)
【対象】
✓栄養指導はすべての方に行っています
✓呼吸ケア食による栄養療法や栄養補給療法は体重が少ない方や体重が減ってきてしまった方を主な対象としています
【栄養指導の内容】
①問診:栄養指導は食生活アンケートを用いて問診を行い、患者さんの嗜好、食習慣、食事内容などを教えていただきます
②栄養状態を体組成測定機器によって確認し、目標とする体重を一緒に設定します。
③食事計画:リーフレットを使いながら呼吸ケア食、MCTオイルを中心に、個別生活にムリなく調整できる食事についてお話いたします。
④栄養補給療法:リハビリ後など日常生活の中に栄養補助食品を取り入れる栄養補助食品をご紹介いたします。
⑤栄養指導は1回あたり初回概ね30分、2回目以降概ね20分としております。
⑥栄養指導は定期的に受けていただくことができます(保険診療では原則1ヶ月に1回となっています。栄養療法の効果を見るためには3ヶ月毎などの受診をお勧めしています)
栄養療法とは?
普段のあなたの食事にMCTオイルと栄養補助食品(1日200kcalほど)を加えることです。あなたの食事を整えながら栄養補助食品を取り入れることが大切です。
呼吸ケア食とは?
病院食において基準となる常食(1600kcal)という食事に、昼食および夕食のご飯150gに対してMCTオイル小さじ1杯(約6g)をまぜたご飯及びリハたいむゼリー1日1袋(100kcal、たんぱく質10g)によってエネルギー、たんぱく質を強化した食事のことです。
*糖尿病や腎臓病などで食事制限されている方は、医師や管理栄養士によって個別に栄養補給量を調整させていただきますのでお申し出ください。
(ウ)専門外来
・間質性肺炎センター初診外来
担当 呼吸器内科医師 猪俣稔
毎週月曜日午後
①13:30-14:30、②14:30-15:30、③15:30-16:30の各1枠(完全予約制となります)
(エ)予約方法
●当院に継続受診している方、当院の健診で指摘された方
主治医や健診医に御相談いただき間質性肺炎センター外来を予約してください。
●当院に通院歴がない方
紹介元医療機関から当医療センター
医療連携課へご連絡ください。
※通常の診察申し込みと同様に電話もしくはFAXにて受付いたします。
医療連携課
電話 03-3400-0471(直通) FAX 03-3400-0193(直通)
受付 平日8:30-19:00