当センターでは、多職種(※)での緩和ケアに関する抄読会を行っています。
これまでの抄読会で取り上げた内容の一部をご紹介します。
※化学療法科・緩和ケア科・放射線治療科の医師、緩和ケアチーム看護師および薬剤師 など
2024/01/25
がんおよびがん治療による神経障害性疼痛に対するデュロキセチンの効果発現時期の検討
(リンク:http://jpps.umin.jp/wp-content/uploads/post/journal/1502_04.pdf)
日本緩和医療薬学誌 VOL.15 No.2:53-60 (2022)
後ろ向き解析
P(患者):がんおよびがん治療による神経障害性疼痛を有する患者。
I(介入):デュロキセチンの投与(投与量は規定なし)。
C(比較):単アーム
O(結果):Receiver Operating Characteristic解析では投与開始後21日であった。タキサン系では58.3%(14/24)、白金製剤では50.0%(16/32)で改善を認めた。
結語:効果発現まで副作用を予防することで、より多くの患者の神経障害性疼痛を緩和できると報告した。
コメント:前向き試験の結果でもデュロキセチンの効果は3週ぐらいから出現しており、合致する結果となっていた。傾眠の有害事象を上手にマネジメントすることで、神経障害性疼痛に対して、期待する効果が得られる可能性がある。
2024/01/10
Randomized Double-Blind Placebo-Controlled Study of Olanzapine for Chemotherapy-Related Anorexia in Patients With Locally Advanced or Metastatic Gastric, Hepatopancreaticobiliary, and Lung Cancer(リンク:https://ascopubs.org/doi/abs/10.1200/JCO.22.01997)
J Clin Oncol. 2023;41(14):2617-2627.
PMID:36977285
P(患者):局所進行または進行がんに罹患した食欲不振のある患者さん。
I(介入):低用量オランザピン(2.5mg)の連日投与。
C(比較):プラセボ群
O(結果):12週間後に5%を超える体重増加を示した患者の割合は、OLZ群60%、プラセボ群9%、体重減少した患者の割合はOLZ群14%、プラセボ群59%であり、腫瘍評価項目を達成した。
結語:化学療法を開始する患者への低用量オランザピンは、食欲増進と体重増加を引き起こし、安価で忍容性が高い治療であることが実証された。
2023/09/27
Cancer aggravation due to persistent pain signals with the increased expression of pain-related mediators in sensory neurons of tumor-bearing mice
PMID:36737827