胃・食道外科の特色

食道がんに対する胸腔鏡下での根治手術

当科では2014年度より胸腔鏡下食道悪性腫瘍手術が保険収載されたのを受けて、2015年より胸腔鏡下食道がん根治手術を導入しました。低侵襲で術後の回復が早く、従来の開胸手術に比較して合併症が減り、術後在院日数も短縮しました (術後平均在院日数22日)。現在はほとんどすべて胸腔鏡下で手術を行っております。医療機器や画像の進歩に伴い、手術創の縮小という位置づけから、より安全で精度の高い手術により治療成績の向上を目指すという段階に入っています。

  
胸腔鏡下食道がん手術

胃がん、胃粘膜下腫瘍に対する根治手術

早期胃がん、胃粘膜下腫瘍を中心に完全腹腔鏡下手術を行っております。根治性はもちろん、安全で過不足のない手術を提供しております。進行胃がんに対しては、開腹手術を基本としていますが、腹腔鏡手術の適応範囲を徐々に広めています。術後平均在院日数は胃がん12日、胃粘膜下腫瘍7日です。

  
腹腔鏡下胃がん手術           皮膚切開

  
胃GISTに対する腹腔鏡下局所切除術

腹腔鏡下ヘルニア根治術

鼠径ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニアに対して低侵襲、早期社会復帰を目指した腹腔鏡手術を行っています。

食道がん、胃がんに対する集学的治療

切除可能な進行食道がんに対しては、手術単独ではなく術前に抗がん剤治療を行うことで治療成績が良くなることがわかっています。この抗がん剤治療を術前補助化学療法と呼んでいます。当科では、化学療法から手術まで継続した診療ができる体制をとっております。

  
進行食道がん化学療法前        化学療法後(がんは縮小)

また手術を希望されない方や手術リスクが高い方には放射線専門医師と連携をとり根治的化学放射線療法を行っています。
近年の化学療法の進歩により、診断時にすでに転移して根治切除不可能と思われた胃がんが、化学療法が良く効いて切除可能になることを経験するようになりました。これをコンバージョン手術と呼んでいます。
当科では、手術単独での治療はもちろんのこと、化学療法や放射線治療とタッグを組んで治療を行います。

  
  
化学療法前              化学療法後

胃がん化学療法が著効してコンバージョン手術が可能となった例