循環器内科の特色

①冠動脈疾患オーバービュー

冠動脈疾患とは

本邦では高齢者人口が世界に類を見ないスピードで増えつつあり、加齢に関連した疾患も急増しています。その代表的なものが、動脈硬化に起因する疾患です。
動脈硬化とは、動脈の血管の壁が厚くなって硬くなることです。血管の壁の内側にコレステロールを中心とした脂質が溜まり、血管が狭くなることによって起こります。症状が進むと、線維化や石灰化、さらに血流が悪くなる狭窄(狭くなること)や閉塞(閉じてふさぐこと)を生じ、時に動脈瘤を形成します。動脈硬化を招く危険因子には、生活習慣(喫煙、運動不足、ストレス)や基礎疾患(肥満、糖尿病、高血圧、高コレステロール)などがあり、加齢もその一つ。家族歴や性格も関係すると言われています。動脈硬化は頭、首、腹部、脚など全身の血管に起こる可能性があります。
このうち、心臓の動脈硬化の舞台となる血管を「冠動脈」といいます。(図1)冠動脈は心臓の筋肉(心筋)が働くために必要な酸素や栄養を供給する、心臓の生命線ともいえる血管です。この血管に狭窄や閉塞が起こり、心筋に十分な血液が届かなくなる病気が、狭心症や心筋梗塞に代表される「虚血性心疾患」(冠動脈疾患あるいは急性冠症候群も含まれる)です。日本人の死因第2位(1位はがん)となっている心疾患20万人のうち7万人が虚血性心疾患です(厚生労働省の2018年「人口動態統計」)。

当センターの治療

当センターでは種々の循環器疾患の診断、治療を行っておりますが、特にこの虚血性心疾患の診断、治療に力を入れております。当センターには様々な年齢層の方々が症状を主訴にあるいは近医や病院からの紹介、健康診断後の二次精査の為に来られます。狭心症の症状は様々で、典型的には歩いたり、階段を昇るときにおこる胸の締付け感で、休むと治ります。しかし、安静時におこる方、肩や腕、顎や喉に症状を感じるかたもおられ、人様々です。症状が無い場合や少ないこともあります。とくに症状が出にくく注意を要するのが糖尿病の方です。糖尿病では冠動脈疾患になりやすいにも関わらず典型的な症状が出にくいことがあるため注意が必要です。かかりつけ医に相談することが大切です。また、人工透析を長年受けられている方も動脈硬化の進行がみられることが多く、注意が必要です。とくに透析の方の冠動脈は石灰化が強く、通常の治療では歯が立たないことがあります。当センターでは、そのような症例の硬い冠動脈狭窄をドリルのような器具で開通させる治療を行うことができます。この装置は“ロータブレータ”(図5)とよばれ一定の基準を満たした施設でのみ使用可能です。多くの症例ではロータブレータを使用しなくても治療が可能です。これらの治療を“冠動脈形成術”と呼びます。
冠動脈が狭くなる狭心症に対して、冠動脈が突然詰まってしまうのが急性心筋梗塞です。こうなると激痛が現れ、ショックになったり、また心臓突然死の原因になります。激しい痛みが30分以上続いたり、断続的に続くときは急性心筋梗塞かもしれません。この場合は時間との勝負となりますのでできるだけ早く、救急車でもよりの大きな病院に受診する必要があります。当センターでも年間数十例の方が急性心筋梗塞で緊急来院されます。この場合には緊急で行う冠動脈形成術は大変に有効な治療手段となります。
冠動脈形成術の方法は、まず小さな風船で狭くなった部分の血管を押し拡げ、再び狭くなるのを予防する目的で、ステントと呼ばれる金属製の筒を冠動脈の中の狭い部分に置きます。(図4)ステントは一度留置すると取り除くことはできません。最近では、細胞の増殖を防ぐお薬を塗ったステントが主流となっています。当センターでは毎年300人以上の方にこの冠動脈形成術を行い98%以上の成功率をおさめています。

早めに受診を

狭心症と心筋梗塞は別々の疾患ではありません。狭心症は心筋梗塞の前段階であり、同じメカニズムで生じる一連の疾患です。ですから、狭心症の段階で治療できれば、死亡率が極めて高い急性心筋梗塞を未然に防ぐことができます。心筋梗塞で緊急入院された方の多くが、“そういえば一週間ほど前から階段で胸が苦しかった”などとおっしゃいます。疑わしい症状のある方は、できるだけ早く受診しましょう。

              【図1】

心臓の構造イメージ図
心臓の構造

動脈硬化を起こしている血管イメージ図
動脈硬化を起こしている血管

虚血性心疾患の原因と症状(図2)

狭心症

冠動脈が動脈硬化によって狭窄したり慢性的に詰まった状態になると、心臓の筋肉の血の巡りが悪くなり、胸を締め付けられるような痛みを感じます。これが狭心症です。
狭心症には3つのタイプがあります。階段の上り下り、荷物の上げ下ろし、入浴などの活動時に発症し、安静にしていれば改善する「労作性狭心症」、安静時に起こる「安静時狭心症」、急性心筋梗塞の前触れである「不安定狭心症」です。
まず労作性狭心症のメカニズムからみていきましょう。
体を動かして活動すると脈拍が増え、血圧が上昇して全身の骨格筋の血流が増すため、心筋は安静時以上に働かなくてはなりません。当然、心筋自体もより多くの酸素や栄養、すなわち血液を必要とします。正常な冠動脈なら、運動時に血管が拡大して安静時の3~4倍の血液を流せますが、動脈硬化で狭くなった血管は、需要に見合うほどの血液を流すことができません。そのため心筋の酸素が不足し、胸痛となって表れるのです。ほかに左肩や喉、左腕に痛みを感じることもあります。
安静時狭心症は、主な原因が冠動脈の痙攣であることから「冠攣縮性狭心症」とも呼ばれています。飲酒や喫煙、ストレスが誘因となります。日本人には安静時狭心症が多く、欧米人の3倍との報告もあります。一見すると正常もしくは軽い動脈硬化のある動脈が痙攣を起こして血流が途絶えます。明け方2~5時ごろに胸の痛みで目が覚めるというのが典型的な症状ですが、日中や活動時に症状が出現することもあります。お酒を飲んだ翌朝早朝におこりやすい傾向があります。
「不安定狭心症」は、その名のとおり不安定な状態にあり、症状のパターンが変化する狭心症のことです。いままでなかった狭心症の症状が出てきた、痛みがひどくなる、症状の出現回数が増える、安静時にも症状が出始めた、などの変化が表れた場合は、いつ急性心筋梗塞になってもおかしくない状態にあり危険です。病気が急速に悪化している恐れがありますので、直ちに治療する必要があります。

急性心筋梗塞

突然冠動脈が閉塞し、心筋が酸素不足・栄養不足に陥り、心筋の一部が壊死してしまう――これが急性心筋梗塞で、そのまま心臓が止まってしまうこともあります。
心臓病学会ガイドラインによれば、急性心筋梗塞の死亡率は約20%。うち14%は病院にたどり着く前の心停止、入院後の死亡率も7%になります。実に5人に1人が死に至る深刻な病気です。逆にみれば、突然死にはかなり割合でこの疾患が含まれていると考えられます。つまり多くの方が病院にたどり着く前に命を落としておられるということです。予防が肝心です。

典型的な症状は、冷や汗を伴う激しい胸痛が30分以上続きます。狭心症の治療薬ニトログリセリンを舌下しても治まりません。こうなると治療は時間との勝負です。すぐに救急車を呼び、一刻も早く体制の整った病院にたどり着かねばなりません。

高齢者や糖尿病患者さんは特に注意が必要です。痛みの感覚が弱くなっていることがあり、症状に気付かない可能性があるからです。発見が遅れると重症化しやすくなります。

         【図2】

<虚血性心疾患>
虚血性心疾患 冠動脈病変

検査と診断

狭心症の診断と検査は余裕がある場合には外来で行います。不安定狭心症や心筋梗塞が疑われる場合には、すぐに入院していただくこともあります。これは、ひとえに命を守るためといっても言い過ぎではありません。

初めて外来に来られた場合にはお話を聞き、どのくらい動脈硬化の促進因子をお持ちであるかを教えていただき、必要な検査を行っていきます。レントゲン、安静時心電図、血液、尿の検査、脈波の検査は基本的な検査ですが、動脈硬化の促進因子や現状を知る上で大変に重要な検査です。

上で述べたような動脈硬化の促進因子を複数お持ちの場合には特に念入りにその後の検査を進めていきます。促進因子が一つもない方では狭心症の可能性は低くなりますが、ゼロではありません。

冠動脈に重大な狭窄があるどうかを知るためにはさらにいくつかの検査を予定します。心エコー検査、ホルター心電図検査、運動負荷心電図検査、負荷タリウム心筋シンチグラム、または冠動脈CT検査です。心エコー検査、ホルター心電図検査、運動負荷心電図検査は簡易スクリーニングとして行う検査です。さらに疑わしい場合やはじめから疑わしい場合には負荷タリウム心筋シンチグラム、または冠動脈CT検査を行い、最終的に確定診断をつけるためには入院していただき冠動脈造影という検査を受けていただきます。なぜ、回りくどい検査をいろいろ行うかといえば、冠動脈造影検査をはじめから行えば確定診断はすぐにつくのですが、なにぶんにもこの検査には入院(当センターでは二泊三日)が必要であること、動脈に針をさして細い管を心臓に管を入れる検査で、いわゆる侵襲的な検査であること、必要以上に無用な入院や検査をできる限り減らすために外来での検査を優先しています。しかし、不安定狭心症が考えられるような場合には時間的余裕がありませんので、直ちに入院していただき速やかに冠動脈造影を行うこともしばしばです。それぞれの検査について簡単に説明しましょう。(下図)

  1. 心エコー検査:30分ほどで終わる超音波検査です。心臓の大きさ、動き、構造を診断できます。心筋梗塞があると心臓の壁の一部分の動きが悪くなります。
  2. ホルター心電図検査:一日24時間分の心電図を記録する検査です。胸に電極を貼り心電図を記録する装置をとりつけ帰宅、翌日に再度来院していただき機器を外します。24時間分の心電図変化をコンピュータにより解析します。狭心症では脈拍が速くなったときに心電図が変化することがよく認められます。
  3. 運動負荷心電図検査:ベルトの上で歩いていただき心電図変化を記録します。10分以内のことが多いですが、脈拍が目標値まで上昇するまで負荷をかけますので汗をかく検査です。膝や腰が悪いかたでは困難な検査です。
  4. 負荷テクネシウム心筋シンチグラム:放射性同位元素という薬を注射して心臓の筋肉の血液の流れのバランスの悪い場所を探します。詰まりかかった冠動脈の場所の推定も可能です。15分間のスキャンを3−4時間の休憩をおいて二度行いますので、午前中半日かかりとなる検査です。可能であれば自転車をこいでいただき、喘息がなければ、薬物負荷テストを追加します。足腰の悪い方でも安心して検査が受けられます。
  5. 冠動脈CT検査:冠動脈の状況を入院せずにある程度検査することが可能な検査です。この検査で動脈硬化が軽度であれば、まずそれ以上の検査は必要ありません。しかし、石灰化が強い場合や不整脈、冠動脈形成術後の方はこの検査のみでは診断がつきにくいため、入院のうえカテーテル検査による冠動脈造影が必要となることがあります。
  6. 心臓カテーテル検査は専用のカテーテル検査室で行います。術者は手術と同じ清潔操作でガウン、マスク、帽子などを着用します。検査は1時間以内で終わることが通常ですが長くかかることもあります。冠動脈の入り口までカテーテルと呼ばれる細い管をいれ、動脈の中に造影剤を流し込みながらレントゲンで撮影します。動脈硬化で細くなった冠動脈が認められた場合には、結果を説明の上、日を改めて冠動脈形成術により治療を行うのが一般的です。
  • ホルター心電図写真
    ホルター心電図
  • 運動負荷心電図写真
    運動負荷心電図
  • 64列マルチスライスCT写真
        マルチスライスCT
  • 心エコー写真
    心エコー

最新カテーテル治療

冠動脈形成術とはどんな手術か

冠動脈形成術は冠動脈造影の延長線上にあります。基本的には診断検査と同じ方法で、手首や腕または足の付け根の動脈から細い管(カテーテル)を心臓まで入れます。診断検査と異なり、治療の場合には冠動脈の入り口からさらにその奥の冠動脈内まで道具を入れていくことになります。冠動脈の血管の直径は2−4mm程度、冠動脈内に入れてゆくカテーテルの太さは1mm程度のものとなります。いかに細かい作業かがお分かりいただけると思います。心臓の治療ですので細心の注意が必要であることは言うまでもありません。治療をうける方はベッド上に仰向けになっていただき、局所麻酔のみを使用し目は覚めた状態です。術者は声かけをしながら治療を進めていきます。まず、ガイドワイヤと言われる髪の毛のようにほそい金属製のワイヤを挿入して狭くなった、あるいは詰まってしまった冠動脈の病変部を通過させます。このワイヤを伝わらせて風船やステントといった道具を冠動脈の中に持ち込み、狭いところを拡張していきます。(図3、4)かかる時間は病変の手強さによります。一時間以内に終わる場合から、時には何時間もかかることもあります。

【図3】

  • バルーン形成術
    バルーン形成術 イメージ図
  • ステント留置術
    ステント留置術 イメージ図

症例(手術の前・後)

最新型アンギオCTの優れている点

当センターの320列冠動脈CTは冠動脈の撮影用に開発された機種です。以前の機種にくらべて、なによりも画像が改善され、また撮影にかかる時間も短縮されました。台の上で息こらえをする時間も短くなり、検査全体でも30分くらいで終わります。入院なしにこれで済ませられればこんないいことはありません。ただし、造影剤を注射しますので、造影剤アレルギーや喘息のある方は要注意です。

薬剤溶出ステントとは何か

<メリット・デメリット、適・不適など>最近開発された冠動脈用ステントには細胞の増殖を抑える薬を染み込ませたいわゆる“薬剤溶出性ステント”といわれるものがあり、当センターでも多用しています。ステントは植え込み後は増殖する細胞に覆われて血管の壁の一部となっていきます。金属製のステントは縮むことはないのですが網目から増殖した細胞でステントの内側、つまり血管の中が再び狭くなる現象が起こることがあります。これを“再狭窄”と呼びます。したがって、退院の後、6−8ヶ月後に再狭窄検査のために再入院していただきます。この再狭窄をできるだけ抑えるように作り出されたのが薬剤溶出性ステントです。このステントは再狭窄を半分以下にすることができます。しかし、金属がいつまでたってもむき出しのままの部分があると血栓症を起こしかねないため、二種類の抗血小板薬をより長く服用していただく必要があります。したがって、これから手術を控えている、あるいは手術を受ける可能性が高い場合には抗血小板薬の中断が必要のため、そのような症例では薬剤なしのステントを使うこともあります。

【図4】

  • ステント写真03ステント写真02
  • ステントイメージ

ロータブレータの説明

当センターはロータブレータ使用の施設基準を満たしております。この装置は基本的に歯医者さんのドリルと同様のものです。先端にダイヤモンドの粉をつけた直径1.25−2.5mmのドリルバーを高速20万回転/分で回転させて硬い病変を削る道具です。通常の風船が通過しないあるいは広げられない硬い病変で威力を発揮します。ロータブレータで処理をした後に風船で拡張し、ステント留置することが一般的です。

【図5】

  • ロータブレータ写真
  • ロータブレータによる治療イメージ

先生の技術のここがスゴイ!

ロータブレータは役に立つ道具ですが反面、使い方では危険な道具です。熟達した冠動脈形成術専門医の手による治療が必要となります。当センターでは必要な症例では積極的にロータブレータを用いた治療を行っております。

救急で運び込まれた場合の対応について

冠動脈疾患もご他聞に漏れず早期発見、早期治療が原則です。万が一、激しい発作に見舞われた場合には一刻も早い治療の開始が迫られます。まずは、大至急病院に来院していただくことが第一です。救急車の利用がよいでしょう。24時間対応していますので、夜中でも大至急行動することが大切です。来院されれば専門のスタッフが必要な処置をはじめ、必要であれば90分以内に心臓カテーテル検査を開始します。

予後と2次予防のための薬物療法のこと

我々が冠動脈形成術で治療可能なのは、冠動脈の一部の詰まりかかった部分のみです。そのほかの大部分の冠動脈は狭窄が強くなければ治療しません。しかし、動脈硬化は冠動脈全体で進行してゆき、またいつか別の部分に詰まりかかるような病変を生じます。このような進行を防ぐ手だてを予防、あるいは二次予防と呼びます。これは、カテーテルでは行えません。まさに、一人一人の生活習慣と通院内服による治療が大切となります。具体的には、禁煙、減量、運動の励行、血圧、コレステロール、糖尿病のコントロールなどが動脈硬化を進めないための根本的治療と言えるでしょう。

②不整脈の治療

不整脈の種類

不整脈には大きく2種類あります。脈が早くなりすぎてしまう「頻脈性不整脈」と脈が遅くなりすぎてしまう「徐脈性不整脈」です。

「頻脈性不整脈」には主に①心房細動、②心房粗動、③発作性上室性頻拍、④心室頻拍/心室細動があります。そのうち①心房細動、②心房粗動、③発作性上室性頻拍はそれぞれ血栓塞栓症や心不全、動悸や胸苦しさなどの原因となるため適切な治療が必要になります。適切な薬物療法に加えて、カテーテルアブレーション(経皮的カテーテル心筋焼灼術)による根治が可能です。また④心室頻拍/心室細動はほとんどの場合、発症してすぐに心肺停止となる極めて危険な不整脈であり、突然死の原因となります。一次予防あるいは二次予防として適切な薬物療法に加え、植込み型除細動器(ICD)の移植術および症例によってはカテーテルアブレーション(経皮的カテーテル心筋焼灼術)を行います。

「徐脈性不整脈」には主に①洞不全症候群、②房室ブロックがあります。いずれも心臓(心筋)内の電気の活性が低下したり、電気の伝わりがブロックされたりすることによって心拍数が極端に低下し、めまいやふらつき,失神や心不全を引き起こします。放置すると突然死のリスクもあります。これら徐脈性不整脈に対してはペースメーカーの移植術を行います。一般のペースメーカーの場合、皮下に植え込んだ500円玉ほどの本体から1ないし2本の電線を心臓の中へ通し、心臓に適切な頻度で電気刺激を送ることで、心拍数を正常化するものです。また近年は症例によってはリードレスペースメーカーという従来のペースメーカーとは全く異なるペースメーカーも使用できるようになりました。これは小指の先ほどの大きさのペースメーカーで、カテーテルを用いて直接心臓のなかに植え込むものです。従来のペースメーカーの弱点であった電線(リード)の損傷や感染のリスクが低下し、手術の傷跡も残りません。すべての施設で使用できるものではありませんが、当センターではこのリードレスペースメーカーを植え込み可能な医師が複数在籍しており、適応を慎重に検討した上で積極的に実施しております。

            

カテーテルアブレーション(経皮的カテーテル心筋焼灼術)

カテーテルアブレーションの方法には複数ありますが、当センターで一般的に実施しているのは高周波(ラジオ波)を用いたアブレーションです。これはカテーテルの先端から発生させた高周波電流により生じた熱によって心筋組織を焼灼することにより、異常な電気信号の伝わりをブロックして不整脈を発生させないようにするものです。不整脈の種類によって焼灼すべき心筋の場所は異なります。通常は右足の付根の静脈から3本、右首の静脈から1本のカテーテルを心臓の中へ通し、心臓の中で発生している電位を確認しながら、1点1点丁寧に焼灼します。治療は静脈麻酔(不整脈の種類によっては浅い鎮静のみの覚醒)下で行い、概ね2-3時間で終了します。治療の前日あるいは当日午前中に入院し、治療翌々日には退院となります。

  

血管からのSOS! 不調に気付いたら循環器内科を受診しよう

胸痛発作

階段、上り坂を昇るときに胸、肩、喉のつかえが起こり、休むとなおる。夜中に胸の痛みで目が覚める。胸の痛みは胸全体からやや左のことが多い。

呼吸困難

体を動かすと息切れがする。体重が増えて足や顔が浮腫んできた。よるベッドに横になると咳が出て苦しいが、体をおこすと比較的楽になる。

背部痛

体を動かしたときに胸の前の痛みと同時に背中も痛くなる。激しく引き裂かれるような痛みが突然出現し、下から上、あるいは上から下に移動する。

間けつ性跛行

一定の距離を歩くと片足または両足の一部が痛くなり、しばらく休んでいると軽快する。足の先が冷たい、紫色、黒色になる。皮膚に潰瘍ができて痛い。

むくみ

足のすねを押すとへこんで戻らない。体重が増加した。手足や陰嚢、顔面がはれる。朝起きてもむくみが改善していない。

腹部拍動

おなかに拍動するものを触れる。だんだん拍動するものが大きくなる。おなかの痛みが現れる。

動悸、めまい、失神

労作時の動悸を感じる。予告なしに気が遠くなる。気を失うことがある。脈が突然に早くなり、突然もとにもどる。脈の感覚がバラバラになることがある。

動脈硬化を予防しよう

動脈硬化は生まれたときから始まるといわれています。動脈硬化の進み具合は、手足の血圧の測定、頚動脈の超音波検査、眼底検査などからある程度判定できます。

狭心症や心筋梗塞を予防するためには、血圧や血中コレステロールを下げる、糖尿病を治療する、禁煙する、肥満を解消するというように、動脈硬化を進める危険因子を減らす努力が必要です。また、卵の黄身、バター、ラード、マヨネーズ、魚卵などのコレステロールを多く含む食品はできるだけ控えるようにしましょう。

最近ではマーガリンのように水素化という方法で人工的に固体化した油(トランス脂肪酸)も動脈硬化を促進すると言われており、欧米では使用が制限され表示が義務づけられています。日本ではファーストフードショップなどでも多用されていますが、中には使用を自粛するところも出始めております。魚の脂は動物の油よりも動脈硬化を起こしにくいと言われています。いわしなどの光り物の切り身にはEPAやDHAなどの有効成分が豊富に含まれています。

循環器内科 医師

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