腎臓内科の特色

腎臓の働きを知りましょう

腎臓のはたらき 腎臓は老廃物や余分な水分を排泄し全身のバランスを整える臓器です。
体に溜まった老廃物と余分な水を尿として排泄するという重要な役割の他にも体が過度に酸性に傾かないよう調節したり、赤血球を造るエリスロポエチンというホルモンを産生したり、カルシウムを腸から効率よく吸収する為に必要なビタミンDの活性化を行ったりと様々な機能を有しています。

どこにあるの?

そら豆のような形をした腎臓は脊椎(背骨)の両側、一番下の肋骨と腰骨の間にあります。右の腎臓はすぐ上に肝臓があるため、左の腎臓より少し低い位置にあります。大きさは正常で10~12cm×5~6cm程度です。(※体格や年齢による個人差あり)

尿をつくる仕組みとは?

腎臓の働き21つの腎臓にはネフロンという集合体が約100万個あり(2つで200万個)その1つ1つで尿が作られています。ネフロンは糸球体とよばれる毛細血管の塊とそれを包む部分(ボウマン嚢)、尿細管からなります。

糸球体でろ過された血液(原尿)は血液中の余分な水分と老廃物がこし取られます。その先の尿細管を通る間に必要な物質は再吸収され不要な物質は分泌されます。やがてこれらは腎盂という場所に集められ尿管を通り膀胱へと溜められます。ある程度尿が溜まると人は尿意を催し排尿を行います。これにより血液中の老廃物や不要物が余分な水分と共に排泄されるのです。

どんなときに腎臓病を疑って受診すればよいの?

  1. むくみ
  2. 血尿、タンパク尿、尿の泡立ち
  3. 血液検査異常(BUN CreGFR...)
  4. 高血圧

このような場合は塩分を控えて早めに受診してください。

心筋梗塞や脳梗塞などの原因 ”CKD”

CKD(Chronic Kidney Disease)とは

腎臓の働きが弱り徐々に低下していく病気が慢性腎臓病(CKD)です。
CKDは心臓や脳を含む血管の病気のハイリスクとなるため早めの対策が重要です。

定義:下記の1または2が3ヶ月以上持続する病態

  1. 検査で腎障害がある場合  ※検査:血液・尿・画像・組織(腎生検)
  2. 糸球体濾過量(eGFR)<60ml/min/1.73m2
病期 糸球体濾過(eGFR) 病態 行動計画
Action plan
1 ≧90 ほぼ正常のGFRを持つ腎障害 原疾患の診断と治療、 進行遅延の対策、心血管リスクの軽減
2 60~89 GFRの軽度低下 上記に加え、腎障害進行度の推定
3 30~59 GFRの中等度低下 上記に加え、合併症の評価と治療
4 15~29 GFRの高度低下 上記に加え、透析、移植の準備
5 <15 腎不全 尿毒症があれば、透析導入、移植

CKDはなぜ重要?

CKDステージと尿蛋白が生命予後に重要な心血管イベントリスク(心筋梗塞や脳梗塞など)に関連していることがわかっており早期の治療介入が重要だからです。重篤な腎不全に至るまでにはその前段階があり、早期の段階からの介入が大切となります。

CKDはなぜ重要?表CKDはなぜ重要?グラフ

CKDの原因は?

慢性腎臓病になる原因は大きく2つあります。1つは腎臓そのものに直接の原因がある場合です。例えば遺伝性や感染、特発性に起こる腎炎などがありどの年齢でも発症する可能性があります。もう1つは糖尿病や高血圧などいわゆる生活習慣病が背景に引き起こされる場合です。高血糖や高血圧は毛細血管の塊である腎臓にも大きな負担がかかります。近年、生活習慣病の増加とともに慢性腎臓病の患者数は増え続けています。現在推定1330万人、成人の8人に1人という多さから新たな国民病ともいわれています。

CKDの治療法は?

CKDの治療法は?イメージ図腎機能低下を防ぐには 1.塩分 2.蛋白尿 3.血圧 4.原疾患のコントロールが重要です。腎臓の働きはあるレベルまで低下すると元に戻りませんがCKDステージ1~3では腎生検(後述)や画像検査などを行い原疾患の診断・治療を行うことができます。そのため早いステージでの専門的介入が必要です。同時に禁煙、減塩・蛋白制限を含めた食事管理、血圧管理などが非常に大切です。過剰な塩分や蛋白質など負荷をかけ仕事量を増やすと残った糸球体を酷使することになるため働きの低下が早くなるのです。
そのため薬物療法のみで治療は完結せず、患者さん・ご家族と協力し共に治療を続けていく必要があります。

あなたの”今”を知る腎生検

腎生検とは

蛋白尿,血尿,腎機能低下のある患者さんにとって最良な治療法を決定するために腎臓の一部の組織をとり顕微鏡で評価することです。

腎生検の目的は

  1. 正確な組織診断を得ること
  2. 病気の見通しを予測すること
  3. 適切な治療法を決定することです。

腎生検を適応するときは

  1. 血尿が持続し,進行する慢性腎炎が疑われるとき
  2. 0.3〜0.5g/日以上の蛋白尿があるとき 
  3. 大量の蛋白尿、浮腫がみられるとき(ネフローゼ症候群など)
  4. 急速進行性腎炎(血尿,蛋白尿が存在し数週〜数カ月で腎臓が働かなくなる腎炎;早期診断が重要です) が疑われるとき
  5. 原因不明の腎不全でまだ腎臓が普通の大きさの場合

※日本腎臓学会、腎生検ガイドブックより

腎生検を行わない場合

  1. 長期間にわたる腎機能の低下がありすでに腎臓が縮小している場合
  2. 多発性のう胞腎の場合
  3. コントロールできない出血傾向、高血圧、腎および腎周囲の感染があるとき
  4. 腎生検中の指示や腎生検後の安静を守ることが難しいとき
  5. 患者さんやご家族のご了承やご協力が得られないとき

 ※日本腎臓学会、腎生検ガイドブックより

腎生検の方法

超音波ガイド下針腎生検:当科では4〜5日間程度の入院で行っております。

  1. 患者さんは病棟の検査室のベッドでうつぶせになります。血圧測定など準備をします。
  2. 超音波で腎臓をみながら検査をする位置を決定します。
  3. 消毒をし痛み止めの注射をした後細い針を刺します。
    ※腎臓には痛みの神経はありませんが表面や皮下組織は痛みの神経があるので局所麻酔を用います。
    麻酔をする際のみ痛みが生じますが個人差があります。
  4. 針が腎臓の上に達したところで息を止めていただきその瞬間に腎組織を採取し針を抜きます。
    この操作を数回行います。採取する腎組織は太さは鉛筆の芯くらいで長さは1〜2cm程度です。
  5. 終了すると5〜10分間圧迫して出血を止めます。仰向けになり半日(翌朝まで)のベッド上安静が必要となります。

【開放腎生検】
上記が困難な場合は「開放腎生検」を行います。
泌尿器科の先生が手術室で全身麻酔を使用し皮膚を切開し直接腎臓を確認して組織を採取、止血します。

腎生検の危険性は?

日本腎臓学会の統計によると全国で年間約1万人の方が腎生検を受けていますが軽い出血などの合併症が100人あたり2人、輸血や処置を必要とする方は100人あたり0.2人程度でありリスクが高い方でなければ比較的安定した検査法であることがわかっております。

腎生検に気をつけることは?

腎生検に気をつけることは? イメージイラスト血管の豊富な腎臓に針を刺した後は圧迫して出血を止めますがその後も安静が必要です。腹圧をかける動作(しゃがんだ姿勢での排便、重い荷物を持ち上げる)や激しい運動は2〜3週間はできるだけ避けてください。また血尿や痛みがあるときはご連絡下さい。

腎臓疾患の原因と治療方法

腎臓を障害する疾患には腎臓の機能低下のスピードで分類した急性腎障害、慢性腎障害(CKD参照)、進行した腎不全(後述)があり、またそれらの原因となりうる代表的なものとして【1】糸球体腎炎、【2】ネフローゼ症候群、【3】多発性嚢胞腎、【4】腎硬化症、【5】糖尿病性腎症、【6】その他(薬剤性、遺伝性、…)があります。

急性腎障害

数時間~数日の間に急激に腎機能が低下する状態で尿から老廃物を排泄できなくなり、体内の水分量を調節することができなくなります。尿量減少、むくみ、食欲低下、全身倦怠感等症状が出ることもありますが検査値異常のみの場合もあります。放っておくと命に関わる重篤な疾患ですので早急に原因を突き止め、その治療を行うと共に透析治療などで体のバランスを整える必要があります。原因として脱水や薬剤、感染、尿閉、腎炎など様々なものがあります。

糸球体腎炎

糸球体に何らかの原因で炎症が起こったもので原発性(1次性)と続発性(2次性)に分かれます。2次性とは全身性の疾患(SLEなど膠原病、紫斑病、アミロイド沈着症など)に伴う腎炎で原発性とは腎臓特有の腎炎です。原発性腎炎については下記のようなものがあり、腎生検にて診断します。

急性糸球体腎炎

急性糸球体腎炎を疑うサイン上気道炎などの先行感染(主にA群β溶連菌)の後10日程度の潜伏期間を経て血尿・蛋白尿、尿量減少、むくみ、高血圧などで発症する一過性の急性腎炎です。感染の改善に伴い尿所見、腎機能も回復することが多く比較的予後はよい疾患ですが時に尿所見異常、腎機能障害が残ることもあります。程度や状況に応じて腎生検を含めた入院加療を要します。

■治療
基本的には安静、感染症の治療

IgA腎症

IgA腎症を疑うサイン慢性糸球体腎炎の中で最も患者数が多く3割以上を占めています。本来は体を守るべき免疫グロブリンAという物質が糸球体に沈着し炎症を起こすことにより血尿や蛋白尿が出現する慢性の腎炎です。無症状ですが健康診断の検尿異常で発見されることが多いです。感冒や扁桃腺炎に肉眼的血尿となることがあります。蛋白尿は全く出ないものからネフローゼレベルまで様々です。予後も様々ですが20年で40%前後が腎不全に至るとも言われており、何より早期発見早期治療が重要となります。

■治療
腎生検にて診断が確定され、蛋白尿の量と組織学的な重症度から腎不全に至るリスクの総合的な評価(4段階)を行い治療方針を決定します。

【IgA腎症の治療方針】
  • 低リスク群
    減塩、腎機能に応じた蛋白制限など食生活の改善、血圧のコントロール、薬剤治療
  • 中等リスク群〜超高リスク群
    上記に加えて扁桃摘出術やステロイドの点滴・内服※
※桃摘出+ステロイドパルス療法

IgA腎症を起こす異常なIgAが扁桃腺等で産生されると考えられておりその原因を除去するために我が国独自で行われている治療です。またステロイドパルス療法は血中の異常IgAや糸球体に沈着しているIgAを抑え炎症を抑制する効果があります。様々な方法がありますが当センターでは海外の報告に倣い基本的には以下のようなスケジュールで行っております。(ご相談ください)

扁桃摘出+ステロイドパルス両方:約一年間
3日間連続でステロイド点滴を行い続く2ヶ月はステロイドを隔日で内服していただきます。ステロイド大量投与の3日間は副作用の観察も含め原則入院が必要ですが金曜日から日曜日までの入院も可能です。この2ヶ月を1コースとして計3コース行い(計6ヶ月)その後ステロイドの量を少しずつ減らしていき約1年間で治療は終了します。扁桃摘出術は耳鼻科にて全身麻酔で行い約1週間の入院が必要です。扁桃摘出を併用した方がステロイドパルス療法単独と比較して効果が高い、再発が少ないとする報告もありますがステロイドパルス療法単独でも効果は得られます。治療法についてはご相談ください。

その他

膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、巣状糸球体硬化症、急速進行性糸球体腎炎など

ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群を疑うサイン大量の蛋白尿が出る事によって血中の蛋白質が減少し全身のむくみが出るものです。

ⅰ)尿蛋白≧3.5g/日以上、ⅱ)血中アルブミン≦3.0g/dlで診断され、コレステロール高値やむくみを伴うことが多いです。むくみは血液中の蛋白質が減少することで血管内の水分が血管外に移動することで起こります。悪化すると肺(肺水腫)や胸腔(胸水)、腹腔(腹水)、心臓(心嚢水、心不全)や陰嚢(陰嚢水腫)にも水がたまります。逆に血管内は水分が減少することや各種物質移動のため腎不全、血栓症(肺梗塞、心筋梗塞、脳梗塞など)、感染症などを合併する危険性があります。

ネフローゼ症候群の原因は様々であり、腎生検を含めた検査と同時に加療を行います。多くの場合入院が必要となります。

■治療
安静、対症療法(安静・塩分制限・利尿薬)と原因治療(ステロイド薬など)

ADPKD(常染色体優性多発性嚢胞腎)

ADPKDグラフ嚢胞が多発し腎腫大を来す遺伝性の疾患です。加齢と共に嚢胞が次第に大きくなって正常な腎実質を圧排、嚢胞がある程度大きくなった40歳頃から腎機能が低下し始め70歳までに約半数が末期腎不全に至るとされます。日本では約3万人の患者さんがいるとされ、2015年1月より国の難病指定疾患に含まれるようになりました。

■治療
腎機能低下を防ぐため食塩制限を中心とした腎保護が必要です。また嚢胞増大の原因の1つにバソプレシン(抗利尿ホルモン)というホルモンがありそのホルモンの分泌を抑えるため水分をよく摂取していただくこともあります。
またこのホルモンを抑制する新規治療薬※が注目されています。ADPKDの合併症で有名なものとして高血圧、脳動脈瘤、心臓弁膜症、肝嚢胞などがあり、定期検査を行い必要に応じて治療を行います。

新規治療「トルバプタン」

1.効果
腎容積が既に増大しており増大速度が速いADPKDの進行抑制として世界で初めて日本で承認されました。バソプレシン分泌を抑制することにより嚢胞の増大を抑制し腎機能低下の進行を抑えます。多国間で行われた研究では腎容積の増大を年間50%、腎機能低下を年間30%抑制したとの報告があります。
効果グラフ

2.副作用
従来トルバプタンは利尿薬として心不全、肝性浮腫に適応があり7.5〜15mg程度の使用が一般的でした。しかしADPKD患者さんの開始用量は60〜120mgと大幅に異なります。ほぼ全ての患者さんに利尿作用が強く出てしまい、脱水や高ナトリウム血症といった副作用をきたす可能性があります。腎機能がすでに低下している方は脱水により更に腎機能低下する恐れもあります。脱水症状や口渇感には注意しこまめに水分を摂取していただく必要があります。高尿酸血症や緑内障・眼圧上昇といった副作用にも注意が必要です。また重大な副作用として肝機能障害(5%程度)が挙げられ定期的な診察を受けることが必要です。動物実験で催奇形性(胎児に奇形を引き起こす性質)が報告されており乳汁への移行も示されております。妊娠する可能性のある方は避妊を行っていただく必要があり服用中に妊娠が判明した方は医師に相談してください。

3.当センターでの使用~使用開始には入院が必要です~
上記のような注意点を有するため使用可能な施設は極めて限られておりますが、当センターでは2015年1月より使用を開始いたしました。特に投与初期に副作用が現れやすいため使用開始には原則入院が必要です。当センターでは下記のようなスケジュールで行い、基本的には2泊3日(金曜日から日曜日まで)を予定しております。そこで血清ナトリウム値や肝機能を含めた検査を行うと共に、血圧や飲水量、尿量の測定を行い、水分摂取やトイレのタイミングに慣れていただくのが主な目的です。

当院での使用

4.治療費や助成について
トルバプタンは30mgで1錠4000円近くの費用がかかる非常に高額なお薬です。基本的にADPKDの方は30mg錠を1日2錠から4錠内服していただくため非常に高額な治療となってしまいます。ただ難病医療費助成制度が適応されたことより自己負担額は月2万円程度(個人差があります)に抑えられます。詳しく知りたい方は医師までご相談ください。

腎硬化症

高血圧が長く続くと糸球体へ血液を送る細い血管に圧力がかかり、血管内の細胞が増殖することで徐々に腎機能が低下するものです。また急激な血圧の上昇によって急速な腎機能悪化をきたす悪性腎硬化症というものもあります。尿所見に乏しく診断は他の腎疾患の除外が必要ですが長期間の高血圧歴、腹部エコーや腹部CT、眼底の動脈硬化像などが診断の補助になります。確定診断はやはり腎生検となりますがこれらの所見があり臨床経過にも合致する場合は行わずに診断します。治療は何より食塩制限と降圧薬による血圧管理が中心で、適切な降圧療法(血圧130/80mmHg以下)により腎機能障害の進行抑制を行います。

糖尿病性腎症

我が国では透析導入の原因疾患として1998 年より第1位となっており今後も増加が懸念されます。糖尿病の細小血管合併症の一つで糖尿病歴10〜20年以上の長期罹患の経過中に発症しますが検尿異常出現前より病変が作られます。
腎機能低下が出現してくるとその後の低下スピードは早いことが知られており早期の段階での血糖コントロールが重要です。糖尿病で引き起こされる大血管障害(脳梗塞・心筋梗塞・閉塞性動脈硬化症)の発症予防の観点からも必須です。また血糖同様に食塩制限による血圧コントロールも非常に重要で血圧が上昇すれば糸球体で濾し取られる尿蛋白量も増えるため更に腎障害が進む原因ともなります。糖尿病では動脈硬化が通常より早いスピードで進む事が知られており、定期的に心臓、脳血管、足の血管などを精査する事も重要です。
確定診断は腎生検ですが、明らかに疑われる場合は行われないこともあります。血尿の程度が激しい場合、糖尿病歴が短いにも関わらず腎機能低下が認められる場合、眼底所見や神経障害がない場合はその他の腎疾患の合併も否定出来ないため腎生検が推奨されます。

糖尿病性腎症

これからのあなたを支える、血液透析・腹膜透析・腎移植

腎不全とは

病気が進行して腎臓の働きが正常の30%を下回り体内の老廃物や余分な水分を排出できなくなった状態のことをいいます。老廃物が体内にたまると、むくみや食欲不振、疲れやすい、集中力低下などの全身症状が出てきます。(症状は慢性の場合自覚しにくく治療開始した後に「あの時は・・」と気づかれることも多いです)
そして、腎機能が15%以下で症状があるとき、症状がなくとも6%以下の場合はご自分の腎臓だけでは全身のバランスがとれなくなるため腎臓の機能を他で補う腎代替療法が必要となります。

腎代替療法(腹膜透析、血液透析、腎移植)について

腎代替療法には

  1. 自宅などで行う腹膜透析 (PD:Peritoneal Dialysis)
  2. 医療機関に週3日通って行う血液透析 (HD:Hemodialysis)
  3. 自宅で行う在宅血液透析 (HHD:Home Hemodialysis)
  4. 腎臓移植があります。

腎代替療法(腹膜透析、血液透析、腎移植)について

当センターでは全ての腎代替療法を提供いたします。日常的に生活の一部として行っていくため今後の生活をイメージし患者さんご家族で相談しできるだけ主体的に選んでもらいます。そのため治療の選択は医師のみでなく看護師や臨床心理士、状況に応じて先輩患者さんの声やDVDなど用いて何回も納得するまで行えるようサポートします。また一度どちらかで行っても体の状況や生活の状況に応じて変更することも可能です。ご相談ください。

腎代替療法の目的

【PDファーストとは?】

腎臓の機能が残っている(=尿が出ている)間はPDで腎臓を守りながら緩やかに透析を行い、尿がなくなったらHDとの併用もしくは切り替えを行うことです。PDは2013年末の日本透析医学会統計を見ても、透析治療をしている約31万4800人のうち腹膜透析は約9240人にしかいません。その最大の理由は実施している医療機関がHDに比べて圧倒的に少ないことですが、自宅でできるという点や残腎機能保持によるメリットのある方法なので当センターでは情報をきちんと伝えることを徹底しています。

PDファーストとは?

腹膜透析(PD)

おなかに透析液を入れ、腹膜を介して体内の老廃物や水分を取り除く方法です。日中に手動で透析液を交換するCAPD(交換数は残腎機能により1〜4回程度)という方法と、就寝中に装置を使って自動的に交換するAPDという方法があります。自分の腹膜を利用し連続して行えるので最も生体腎に近い治療法といえます。腹膜は肝臓、胃腸など内臓を保護する役割を担っていますが全体に毛細血管がありこれを利用して血中の老廃物や余分な水分が透析液に移行し、その液を体外に出すことで血液の浄化ができます。透析液の出し入れをするため一度チューブ(カテーテル)を簡単な手術によって腹部に埋め込みます。透析液を腹腔から排液し新しい液を注入することをバッグ交換と呼びます。バッグ交換は特別難しいことではなく医療スタッフの指導を受ければ誰でも行えます。高齢者や視力障害者、手先が不自由な方の場合はサポートを受けることができます。

腹膜透析(PD)

チューブに透析液をつなぐ注液には約10分かかり終わればチューブを外します。透析液が腹腔内に留まっている状態が貯留で貯留している間自由に活動することができます。貯留中に腹腔に移動した老廃物を含む液を体外に出す排液には約15分かかります。

PDは在宅治療が基本となるので、月に1~2回の通院で治療を行うことが可能です。そのため透析液の交換以外は今まで通りの生活を続けることができ、通学、就労、家事、旅行などが可能です。治療は生活に合わせて組みますのでご相談ください。

APDの1日

PDを良好に長く続けていくためのコツは?

PDができなくなる原因は主に
1.体液過剰
2.感染です。 

体液過剰は、塩分管理が重要で塩を摂り過ぎると喉が渇いて水を飲み過ぎてしまい(8gの塩で約1Lの水に相当)水分が増えると血圧も上昇し心臓に負担がかかります。
感染は、カテーテルの出口部を清潔に保ち感染予防に努めることが重要です。歯磨きや髭剃りのように日常の一部として慣れていくためのお手伝いをします。ご自分で難しい場合はご家族や訪問看護師にやっていただくことがありご相談ください。

当センターでのPD治療実績(2014年12月)

維持患者 118名(平均64歳 30~90歳) 導入25名/年 腹膜炎 0.093/1患者年

当センターでのPD治療実績

当センターでのPD患者数

多職種連携

CKD stage3までは原疾患の検査・治療、それ以降はそれに加えて進行をできるだけ遅らせることが必要です。そのために食塩を制限したり、生活の見直しをする必要があるのですが、これらは全て医師や看護師がすることではなく患者さん本人が行うことです。つまり治療の主体は患者さんですが一生付き合っていく病気なので長い間にはさまざまな変化が起こります。仕事の状況は?家族の状況は?どういう思いでこれまで生きてきてこの先どう過ごされたいのか?高齢で通院が大変な患者さん、それを支えるご家族。私たちは、患者さんやご家族のその時々の思いを受け止めながら最善の治療を提供していきたいと思い医師だけでなく看護師、心理士、栄養士、薬剤師、運動療法士など多職種で関わらせていただくことでより多面的な医療を目指しています。

多職種チーム医療は生命予後も改善

在宅地域医療連携

我が国の高齢者人口は平成26年統計で総人口の25.1%の3190万人となり過去最高、世界のどの国も経験したことのない高齢社会を迎えており、1施設で医療を完結することは不可能です。その先に安心して地域・在宅医療へ移行できること、また専門医療必要時には迅速に病院で対応できる可逆的なシステムが肝要であると考えています。通院困難や介護が必要なご高齢の方、遠方の方などには住み慣れた地域での往診医や訪問看護師、ケアマネージャー、クリニックや病院と連携して患者さんやご家族(介護負担にならないよう)を支えていく仕組みが必要と考えます。入院時は皆が集まってカンファランスを行い、顔のみえる連携を意識して双方向の有機的な連携を行い、住み慣れた地域で安心して治療が行える体制を意識しています。

宅地域医療連携拠点事業のイメージ

血液透析(HD)

腎移植

当センターでは2014年冬から全人的総合的腎不全医療(total renal care: TRC)の一環として生体腎移植を開始いたしました。

腎移植とは

失われた腎機能を提供された健康な腎臓によって取り戻す治療法です。特殊な治療のイメージをお持ちかもしれませんがHDやPDと同じようにあくまで腎臓の働きを補う治療、すなわち腎代替療法の1つです。腎移植は親族や姻族から腎臓の提供を受ける生体腎移植と、亡くなった方から腎提供を受ける献腎移植の大きく2つに分けられ、当センターでは生体腎移植のみ行っております。

泌尿器科・腎臓内科医師、看護師、移植コーディネーター、心理士、栄養士、薬剤師、ソーシャルワーカーなど含めた多職種で介入を行うことで保存期腎不全から移植後まで切れ目のない腎不全医療を提供することを掲げております。

腎臓の提供を受ける方をレシピエント、腎臓を提供する方をドナーと呼び、生体腎移植にはドナーからの腎提供の自発的な意思が必要です。そしてレシピエント、ドナーが医学的・倫理的に問題がないことを確認した上ドナーの腎臓をレシピエントに移植する手術を行います。腎移植後は腎機能が回復することが多いですが提供された腎臓はあくまで自己の腎臓ではないため拒絶反応を予防するための免疫を抑える薬(免疫抑制剤)を一生内服し続ける必要があります。腎移植では50-60%以上の健常人に近い腎機能を取り戻すことが可能なため規則正しい生活と内服を守っていただければ生命予後の面でも社会復帰、妊娠・旅行・スポーツなどほぼ制限なく行える面でも優れています。ただし免疫抑制剤を一生内服する必要があること、手術が必要であることが欠点です。レシピエント、ドナー共に4時間程度の手術ですが、特に健康なドナーに対してメスを入れる必要があることは、生体腎移植における最大の欠点であると言えます。

移植の条件

レシピエントは腎臓が悪いこと、ドナーは腎機能が良好であることが必要条件です。レシピエントは透析を行っている必要はなく近い将来腎代替療法の導入が必要と判断された時点で生体腎移植を受けることも可能です(先行的腎移植といいます)。
次にレシピエントとドナーの相性を確かめる検査が必要であり、拒絶のリスクが高いと判断された場合は移植を行うことができません。最近は免疫抑制剤の進歩によってABO血液型が異なっていても腎移植を行うことが可能です。
レシピエント・ドナー共に活動性の感染症や悪性腫瘍を有していた場合まずはそちらに対する治療が必要になるため術前に検査を行って医学的に移植が問題ないことを確認します。外来検査も可能ですが必要な検査は多岐にわたるため両者共に1週間程度の入院で全ての検査を行っていただくことも可能です。

生着率は?

生着率(移植した腎臓が機能している確率)は免疫抑制剤などの進歩によって年々上昇傾向です。

生着率

ドナーについて

生体腎移植では健常なドナーにメスを入れることになるため、その判断は極めて慎重に行う必要があります。医学的に問題がないことの確認はもちろん、心理士や精神科医師による自発的な腎提供の意思確認が不可欠です。ドナーの腎摘出術は基本的に腹腔鏡下で行い、従来の開腹手術と比較して疼痛や入院期間(1週間程度)、出血量が少なく抑えられます。手術自体は4時間程度かかりますが、手術による合併症は少ないとされております。またドナーは移植後片腎になるため残った腎臓に対する負荷が増大し高血圧や蛋白尿が出現しやすくなるため移植後はドナーも食塩制限を含めた腎保護に気をつけていただく必要があります。基本的にドナーの腎機能は良好に保たれるとされておりますが、移植後はドナーに対しても当科で経過観察を行っていきます。

患者さん・ご家族へのサポートについて

当院の腎不全診療の流れ

当センターではCKDステージ3以上で紹介受診を受け、まずは医師単独外来にて原疾患への検査・加療を行い腎機能悪化抑制を行います。

CKDステージが上がってくると医師のみの外来では不十分であるため上述したような多職種外来に移行しより多面的な継続性のある外来を目指しています。末期腎不全にて腎代替療法が必要になってくると導入まで療法選択を繰り返し、在宅医療連携が必要な場合は患者さん・御家族・医療者・在宅地域医師・看護師・ケアマネージャーなどでカンファランスを行い継続可能な連携を目指します。また集団教室として『腎臓教室くれあ』を開催しております。

腎臓教室「くれあ」とは?

主に保存期の腎臓病患者さん、ご家族を対象に月1回の集団教室を行っております。「腎機能が悪いと診断されたけれどいったいどんなことに気をつければよいんだろう」「腎臓のことをもっと知りたい」「おいしく食事をとるコツや薬のことをもっと知りたい」「社会保障についても知りたい」、そんな要望に答える場です。教室は主に講義形式で行い、毎回数十名の患者さんやご家族に参加いただいております。開催日時につきまして、患者さん向けのお知らせをご覧下さい。また、詳細について興味のある方はスタッフまでおたずねください。

療法選択支援について

腎不全が進行した際の腎代替療法(HD/PD/HHD/腎移植)に関する情報提供を行います。治療の説明だけではなく、それぞれの治療を十分に理解し、生きがいやライフスタイルを考慮して、患者さん・ご家族が主体的に治療を選択できるように繰り返し面談を行います。保存期の段階から早期に腎代替療法をイメージすることは、その後の前向きな生活にとても大切なことだと考えます。

また治療を選択し開始した後も、ライフスタイルの変化に応じ、その人らしく生活できるようお手伝いさせていただきます。

外来スタッフからのメッセージ

■外来担当医師より
当センターでは身体面、社会生活面、精神面の全人的医療を患者さん1人1人の個別性を持って提供できることを目指しています。生きがいを持って楽しく過ごせる・輝いて生きていけるように医療を通じて支援することができたらこれほど嬉しいことはありません。同時に学術報告によってより多くの患者さんがハッピーになれることが目標です。“Live longer-Live better”(長生きして、より良く生きる)!

■外来看護師より
慢性腎不全は長い経過のなかで進行する疾患で、日常生活や食生活の改善によりその進行を抑える事が可能といわれています。外来診療では医師の診察と共に看護師との面談をとりいれ、疑問や相談に個別的にお答えします。

■心理士より
辛い気持ちを話してもらうことや、何よりも患者さんが「自分の本当にやりたいことをやれるようになる」「価値を持って生きていける」ということをゴールとしています。それらの道のりは患者さん1人1人により異なります。長い慢性期疾患の中でそれらの道のりをどのように歩いていくのかを一緒にじっくりと考えていく。それが心理士の役割と考えています。ぜひ気楽にお話しください。

■運動療法士より
PD患者さんを対象に運動療法を実施しています。その方らしいよりよい生活を送るためには、動こうとする気持ち、動ける身体が大切です。ここでは患者さんに合った運動、体の動かし方をお伝えします。無理ない範囲で行いますのでお気軽に医師へご相談ください。

■医療相談室看護師より
病気を持ちながらもお一人お一人がその人らしい生活ができることを目標に、介護保険申請サポート、訪問看護や訪問診療、訪問介護などの調整、住環境調整、福祉用具調整などの相談をうけています。特に腎不全患者さんの保存期から療法選択、その後のフォローまで一貫して多職種が連携し、必要なときに必要なサービスを導入できるよう、外来、入院問わず早期から関わらせていただいています。

外来スタッフ一同お待ちしております

社会保障について

難病医療費等助成制度

腎臓内科が扱う疾患として国が指定している疾病(全身性エリテマトーデス、結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、ADPKD)と東京都が単独で指定している疾病(ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎、アレルギー性肉芽腫性血管炎)とがあります。各疾病の認定基準を満たしていること、各種健康保険の被保険者及びその扶養者であること、東京都が指定している疾病の場合は都内に住民登録されていること(外国人の方は外国人登録原票記載事項証明書発行されていること)が必要となります。

手続きには区市町村の保健所等、福祉担当窓口で行っていただく必要があります。申請から医療券・受給証の交付まで、約2か月間かかります。認定された場合、申請書を区市町村が受理した日から医療費が助成されます。

特定疾病療養受療証

透析治療に対してのみ有効で、複数の医療機関で治療を受けられた場合は医療機関ごとに自己負担限度額(1万円)を負担することになります。 ※70歳未満で透析を実施している慢性腎不全の自己負担限度額は上位所得者(国民健康保険の算定の基礎となる基礎控除後の所得金額などが600万円を超える世帯)の人は2万円となります。

医療費助成のための医療券の発行までには、1ヶ月程度かかります。医療券は申請書等一式をお住まいの区市町村の窓口に提出した日から有効になりますので、透析開始後速やかに申請してください。

医療費助成の申請をされると、東京都から「マル都医療券」を交付しますので、健康保険証、特定疾病療養受療証等と一緒に病院・診療所・保険薬局などの窓口に必ず提示してください。

<窓口>例

協会けんぽ:全国健康保険協会支部
組合健保:健保組合
国保:区役所国民健康保険課
後期高齢者医療:区役所高齢者医療窓口

※申請日の属する月の初日しか助成はさかのぼりませんのでできるだけ早く申請して下さるようご注意ください。

特定疾患医療助成制度(東京都のみ)

<窓口>

住所地の保健所等

※申請日から助成なので、できるだけ早く申請して下さるようご注意ください。

身体障害者手帳

<窓口>

住所地の区役所障害福祉課等

<申請書類>
  1. 身体障害者診断書・意見書(所定の用紙 腎臓用)
  2. 申請書
  3. 写真(3×4センチ上半身)
  4. 印鑑が必要です。
【身体障害者手帳の福祉サービス】

 社会参加するためのさまざまなサービスの例

  • 医療費助成
  • 手当金(年齢、所得制限あり)
  • 税金の控除 ・交通の割引(JR・都バス・民営バスの割引、タクシー1割引、タクシー券)
  • 都立公園等の入場料無料・駐車禁止規制の適用除外

※等級、地域によって、利用できるサービスは異なりますのでご注意ください。
※身体障害者手帳が交付されるまで1~2ヶ月かかりますので早めに手続きをして下さい。
※制度の内容は改正される場合がありますので、詳細は窓口にお尋ねください。

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