当科のご紹介
神経内科という診療科は実は一般の方にはあまりなじみがないものですが、脳、脊髄、末梢神経、筋肉の病気を扱う内科の専門家と考えていただければよいと思います。脳神経系の構造は複雑で障害部位、病態によって、実にさまざまな症状を呈することから、時に診断は困難を極め、熟達した専門医が必要とされます。脳の病気のうち外科的な治療が必要な疾患は脳外科、また脊髄や末梢神経の疾患で外科的な治療が必要な場合は整形外科、うつ病や統合失調症などの精神疾患はメンタルヘルス科が診療していますが、脳卒中、てんかんなど複数の科が診療にあたっている疾患もあります。
特色
当科は3人の常勤神経内科専門医と3人の非常勤の神経内科専門医が脳卒中、認知症、パーキンソン病など神経疾患全般の診療にあたっており、神経内科の教育施設に認定されています。認知症や神経系の難病患者さんの診療は外来を中心としたものですが、合併症などに対し適宜入院の対応を行っています。
近年、高齢化社会における認知症患者の増加が問題となっており、当科では物忘れ外来などで、地域と連携した認知症の診療にあたっています。
また脳神経疾患診断のために重要な検査として電気生理検査がありますが、これはギランバレー症候群などの診断のためには必須の検査で、最新の磁気刺激検査を含めて地域の神経内科や整形外科など専門家からの依頼を受けております。
アルツハイマー型認知症
「アミロイド PET検査」とは
アルツハイマー型認知症は、発症する前から脳内にアミロイドβと呼ばれる異常蛋白が沈着することで進行すると考えられています。
アミロイド PET は、このアミロイドβの脳内沈着を可視化する画像検査です。
保険適用で検査を行う際は、MMSE22点以上など、レカネマブ投与基準のいくつかを満たしている方が対象となります。
「レカネマブ(レケンビ®点滴静注)」とは
アルツハイマー病の原因に働きかけて病気の進行自体を抑制する薬としては、国内で初めて承認された薬です。
アルツハイマー病による認知症が軽度である時期、および、アルツハイマー病による軽度認知障害の方が治療対象となり、検査(脳脊髄液検査またはアミロイドPET検査)により脳にアミロイドβがたまっていることを明らかにする必要があります。
他にも認知機能検査や遺伝学的検査などで、レカネマブで治療可能かを決定します。
主な疾患
- 脳血管障害(脳梗塞・脳出血)
- 神経変性疾患:パーキンソン病、パーキンソン症候群(進行性核上麻痺・皮質基底核萎縮症)、筋委縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症(MSA)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体変性症(DRPLA)、ハンチントン病など
- 認知症:アルツハイマー病、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、嗜銀顆粒性認知症
- 神経筋接合部疾患:重症金無力症、Lambert-Eaton症候群
- 頭痛:片頭痛・群発頭痛、筋緊張性頭痛、その他の原因による頭痛
- 免疫性神経疾患:多発性硬化症・視神経脊髄炎・MOGAD・自己免疫性脳炎など
- てんかん
- 末梢神経疾患:ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経根炎(CIDP)など
- 筋疾患:皮膚筋炎・多発筋炎・ミオパチーなどの筋疾患
- 神経感染症:肺炎・脊髄炎、クロイツフェルト・ヤコブ病
- 他の内科疾患に伴う神経症状
- 遺伝性神経・筋疾患
- 不随意運動:片側顔面痙攣・眼瞼痙攣・ジストニア
- 機能性疾患:むずむず脚症候群
神経内科で実施している難治性疾患
このような症状の方を診察いたします
しびれ、頭痛、ふるえ、物忘れ、運動麻痺、ろれつ障害
主な検査
画像検査(CT、MRI、脳血流シンチ、MIBG心筋シンチ、DATスキャン)、PET(抗アミロイド抗体薬投与を前提としたアミロイドPET)
生理検査(脳波、ビデオモニター脳波、筋電図、磁気刺激検査、神経伝導検査、誘発電位)
髄液検査、タップテスト、神経筋生検
主な実績
診療実績(2024年度)
入院
延患者数 |
新患者数 |
1日平均患者数 |
3,554 |
190 |
9.7 |
外来
延患者数 |
新患者数 |
1日平均患者数 |
8256 |
687 |
34.0 |