眼科の特色

扱う疾患

白内障

加齢やその他の原因で水晶体が濁ることを白内障といい、治療は手術によって人工のレンズに置き換えます。乱視が強い方には乱視を軽減させるレンズの使用も可能です。
当センターでは片眼ずつ日帰りでの手術を行っています。全身状態や当センターへのアクセス状況によっては、入院での手術も可能です。多焦点眼内レンズも取り扱っています(先進医療)。

緑内障

視神経の障害によって視野(見える範囲)が障害されます。40歳以上の日本人の17人に1人に緑内障があるといわれています。失われた視野を治すことはできませんので、早期に発見し、治療によって進行を遅らせることが重要です。原因はいろいろありますが、眼圧を低く保つことが共通した治療目標になります。一般的には点眼による眼圧下降を図りますが、点眼のみで十分な眼圧下降が得られない場合は手術によって眼内の房水を眼外(結膜下)に漏出させることで眼圧下降を図ります。手術は「線維柱帯切除術」を行いますが、複数回手術をしている方や、血管新生緑内障などの難治の緑内障に対しては「チューブシャント手術」という人工の器具を設置して房水の排出を持続させる手術を行います。

網膜剥離

網膜が剥がれることにより、視力・視野が障害され失明に至る疾患です。原因となる網膜裂孔を閉鎖させることが治療の目標になりますが、その手段として硝子体手術や輪状締結術が行われます。硝子体手術での治療の場合、術後は一時的に眼内を膨張性のガスに置き換えますので数日間の下向きの姿勢を要します。

黄斑前膜

網膜の中心を黄斑といいますが、その表面に薄いセロハン様の膜が張ることがあります。程度が軽く、自覚症状に影響しないようなものは治療の必要はありませんが、膜による網膜牽引が増強し、歪視(ゆがみ)などの自覚症状が進むような方は硝子体手術による膜の除去が必要になります。

黄斑円孔

眼内の硝子体の牽引により黄斑部の中心に孔があいてしまう疾患です。硝子体手術により高い確率で円孔の閉鎖が得られています。この手術も術後数日の下向き姿勢を要します。

糖尿病網膜症

網膜にはたくさんの細かい血管が走行しており、糖尿病による血流障害によって網膜症を生じます。軽度の変化では血糖コントロールの改善で網膜症が良くなることがありますが、ある段階を越えると血糖の状態に関わらず、進行していきます。病態の是正のためには網膜光凝固(レーザー)が行われます。さらに進行して眼内の出血や増殖膜などを生じるような場合は硝子体手術による治療が必要になります。糖尿病から起きる合併症ですので、治療の際には糖尿病内科やかかりつけのクリニックと連携し治療にあたります。進行した糖尿病網膜症は失明の原因にもなり、軽度~中等度の網膜症では自覚症状に乏しいことが多く、定期的に診察を受けることで重症化を防ぐことが大切です。

未熟児網膜症

未熟児網膜症は網膜血管が充分に発達していない部分から新生血管を生じる疾患で、網膜剥離に至る場合があります。通常、児の成長とともに自然経過で改善していきますが、定期的な診察が必要です。病状が進行する場合には網膜光凝固(レーザー)で血管の発達していない部分に照射していく必要があります。当センターでは新生児科と連携し治療にあたります。

加齢黄斑変性

視力の重要な部分である黄斑部に変性を来します。出血や浮腫(むくみ)を生じる滲出型加齢黄斑変性に対して、当センターでは抗VEGF抗体の硝子体内注射によって病態の鎮静化を図ります。加齢黄斑変性の治療は永続的であり、進行の抑制や発症の予防も重要です。喫煙は加齢黄斑変性のリスクファクターの一つです。

角膜疾患

角膜が感染、複数回の眼内手術によって角膜に混濁を生じ、点眼治療で回復できないと判断された場合、角膜移植術が必要となります。角膜移植術には、角膜全部を交換する全層角膜移植術(PK)と角膜混濁が一部に対してはその部位別にパーツ移植(表層移植術、深部表層移植術、角膜内皮移植術)を行っています。