アレルギー・リウマチ科の特色

関節リウマチ

関節リウマチの診療は治療薬の進歩によってこの10年で大きく進歩してきました。メトトレキサート(MTX)と生物学的製剤(バイオ製剤)を適切に使用することによって、関節破壊を防ぎ、日常生活での不自由さを免れることができるようになってきています。リウマチであること忘れて生活できるくらいに回復することを「寛解」と呼びます。今日のリウマチ治療は「寛解を目指す治療」と呼んでも良いでしょう。
早期リウマチの方でも、長期間患ってきた方でも寛解を目指すことは可能です。しかし残念ながら一旦破壊され変形してしまった関節を薬の力で元どおりに戻すことはできません。そのため、早く診断して、関節破壊が進んでしまう前に早期治療を行うことの重要性がますます高まってきています。

関節エコー検査

関節リウマチをはじめとする関節炎疾患の診断において非常に役に立つのが関節エコー(超音波)検査です。関節エコー検査ではリウマチの本態である「滑膜炎」を直接観察することができます。レントゲンを撮って「骨には異常ありません」という状態であっても、エコーで見ることで関節炎の有無や程度を知ることができます。活動性の滑膜炎があると、ドプラ法でまさに「燃えている」ように映し出されます。また、レントゲンでは見えにくい早期の骨破壊(小さな骨びらん)もエコーでは見つける事ができます。特に骨に食い込んでいる滑膜炎をドプラ法で認める時は、しっかりした治療をすることが望ましいでしょう。

関節エコー検査の図

関節エコー検査は、放射線被曝が無いなど体に優しい検査であることも大きな特徴です。痛む箇所に炎症やダメージが起こっているかどうかを調べることができます。様々な関節炎疾患を区別すること(鑑別診断)にも大いに役立ちます。またエコーを活用することで関節注射をより安全に行うことも可能です。

生物学的製剤(バイオ製剤)

生物学的製剤とは、炎症や免疫に関連する分子に特異的に作用するように作成されたモノクローナル抗体製剤あるいは結合タンパク製剤です。特に、関節リウマチの治療に高い効果を持っています。現在、7種類の製剤があり、いずれも関節リウマチの病状を改善させ、寛解へ導くために活用されています。3種類は点滴投与ができ、当センターでは化学療法室を利用して安全に治療を行えます。また6種類は皮下注射での投与ができ、通院で注射を受けることも、自宅に持ち帰って自己注射することも可能です。患者さん個人個人の病状に合わせて製剤を選択しています。病状が十分に落ちつけば、バイオ製剤を中止しても再燃しない、いわゆる「バイオフリー寛解」を達成することも可能です。

バイオ治療前バイオ治療後の図

リウマチ診療ツールを用いたタイトコントロール

臨床的指標や画像的なデータに基づき、最適な治療をめざして薬剤をこまめに調節していくことをタイトコントロールと呼びます。当科ではiPadで入力できるリウマチ診療ツール=iRISを活用して関節リウマチの活動性を把握していく方針です。寛解基準の判定も行います。患者さんにも入力していただく場合がありますが、スタッフがお手伝いしますのでご協力をよろしくお願い致します。

リウマチ診療ツールの画面

全身性エリテマトーデス(SLE)

発熱、関節炎、皮疹(顔面の蝶々の形をした蝶形紅斑が有名です)とともに、腎臓、神経などの重要な内臓にも障害を引き起こす恐れのある代表的な膠原病です。20歳〜40歳代の女性に多く発症することが知られています。特徴的な免疫の異常については血液検査でチェックができます。症状の種類や程度は個人個人で様々ですので、病状にあった治療を行うことが何より大事です。中でも腎臓の障害は重要であり、ループス腎炎と呼ばれる腎障害に対しては腎生検を行って病型を確認し、その病型と程度に応じて治療を選択する必要があります。腎生検は、エコーで腎臓を映しながら針を刺して小さな検体を採取する方法が主流であり、当センターでは腎臓内科と連携して検査を行います。

ANCA関連血管炎

血管炎症候群は免疫の異常によって血管の壁に慢性炎症を生じる病気の総称です。大動脈から毛細血管まで、炎症を起こす部位が病気によって異なります。ANCA関連血管炎は毛細血管を主とする細い血管に強い炎症を起こします。血液検査でANCAという自己抗体が検出されることが診断の手がかりになります。顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症(ウェゲナー肉芽腫症)、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(チャーグ・ストラウス症候群)の3種類があり、この中では顕微鏡的多発血管炎の有病率が高く、高齢者で好発します。腎臓、肺、神経を障害するケースではステロイドと免疫抑制薬を用いた十分な治療が必要ですが、特に高齢者では感染症の併発をいかに防ぐか、治療の効果と副作用のバランスに留意することが大事です。

ステロイド・免疫抑制療法

膠原病、血管炎症候群などの治療には多くの場合、ステロイド(副腎皮質ホルモン製剤)と免疫抑制薬が用いられます。当科ではステロイドの副作用に十分留意し、予防対策を施します。ステロイドだけに頼らず、種々の免疫抑制薬を組み合わせることにより、副作用を少なく、効果を高く、再燃(再発)を防ぐということを目指しています。病気の種類や状態によってステロイドや免疫抑制薬の必要性は全く異なります。良いタイミングでうまく使用することが肝心ですので、ご理解いただけるように丁寧にご説明させていただきます。数種類の免疫抑制薬の使い分けや、ステロイドのスムーズな減量方法などに関して当科では豊富なノウハウを有しております。

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