国際救援

国際医療救援部の紹介

国際医療救援部長よりメッセージ

国際医療救援部長

丸山 嘉一(まるやま よしかず)

「人道」
この瞬間にも、世界中いたるところで、紛争や自然災害、感染症などで多くの人々が苦しんでいます。191の国や地域に広がる世界的ネットワークを持つ赤十字は、さまざまな「苦痛や死と闘う」人道活動を行っています。各国の赤十字社はそれぞれ自国の人々を救うために、さらには他国の人々を救援するために派遣され、赤十字の旗のもと共に活動しています。

「国際医療救援部」
日本赤十字社医療センターの国際医療救援部は、赤十字活動を行うために設置された専門の部署であり、国際救援や開発支援の要員の人材育成・研修、派遣、安全・情報管理などを行っています。私たち国際医療救援部は国際活動で得られた知見と人材を生かして、国際救援に限らず、平時における日本の地域医療・保健を守る中核病院としての役割にも貢献を続けます。

日本赤十字社の国際活動

日本赤十字社は、赤十字国際委員会(ICRC)国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)、各国赤十字社・赤新月社のネットワークのもと、海外における紛争の犠牲者や災害の被災者の救援を行う国際救援活動、開発途上国の保健衛生状態の改善などを行う開発協力事業などの人道的活動を展開しています。
日本赤十字社は91の赤十字病院を有しており、こうした国際的な人道活動に医師や看護師、助産師、薬剤師などの医療専門職員を派遣できるという特徴をもっており、世界の赤十字・赤新月社の中でも類を見ません。

国際医療救援拠点病院とは

平成12年12月15日に、こうした日本赤十字社の利点を生かして国際救援活動を効率的、効果的に進めるために、その活動の拠点とすることを目的として当医療センターをはじめ、全国で5施設が国際医療救援拠点病院として指定を受けました。
各拠点病院には災害や紛争での緊急援助や、開発や保健などの長期的な援助に対応できる人材の養成・確保と体制の確立、その経験や知識の蓄積などを行うために国際医療救援部が設置されています。また、当医療センターは都道府県支部に属する他の赤十字病院とは異なり日赤本社に直接に属しており、その本社直轄病院としての役割と、国際医療救援拠点病院としての役割とがあり、国際医療救援部の役割も幅広いものとなっています。当部は医師や看護師、助産師、薬剤師、事務職員らで構成されており、各自の専門性を生かしながら国際救援の進歩に貢献しています。

国際医療救援部の役割

派遣要員の養成・派遣

派遣要員の養成とは、英語能力や国際人道法などの教育を中心とし、赤十字国際委員会(ICRC)国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)の派遣要件を満たす要員を育成することを目的としています。また、すでに要員登録された職員の専門技術の向上と、より高度の救援資格を獲得させることも含まれています。

シェアの会

 
シェアの会

これから国際救援に参加しようと思う方や興味を持つ方々と国際救援活動の報告や経験を分かち合い、またPrimary Health Care(PHC)やエボラウイルス病などの国際保健における専門的な知識をわかりやすく紹介する集まりです。原則として毎月第4木曜日の午後6時30分より8時まで開催しております。
どなたでも参加できますので、詳細はimrd@med.jrc.or.jpまでお問い合わせください。

派遣要員の支援

派遣要員の支援は当センターが本社直轄であるうえで重要な役割であり、当センターからの派遣要員だけでなく、嘱託の要員を含めた日赤から派遣されるすべての要員を支援することです。

派遣前の支援

健康診断・予防接種と個人携行医薬品の支給と情報提供(ブリーフィング)、ストレス・マネージメントのレクチャーを行い、要員が安全で健康な活動ができるように支援します。

派遣中の支援

24時間対応の電話及びメールによる健康相談を行い、派遣要員が現地で病気になったり、健康に問題が生じたときに相談に乗り、必要があれば現地に行って支援、緊急帰還を行います。

派遣後の支援

派遣後の健康診断およびストレスマ・ネージメントを行います。特にストレス・チェックで問題のあった方には個別で支援をおこないます。

国際救援・開発の研究

国際救援・開発の研究は日赤の国際活動の中の医療・保健分野における救援・開発協力が対象で、主なものとして災害医療、難民救援医療、熱帯病治療、栄養プログラム、母子保健、衛生プログラムなどがあります。その中でも国際赤十字の保健プログラムの日本国内への導入は、本社直轄施設としての当センターの重要な役割となっています。

こころのケア(心理社会的支援)事業

当部は日赤の代表として国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)の心理社会的支援センターのロースター・メンバーとして国際赤十字の心理社会的支援を国内に導入し、日赤のこころのケア事業を進めています。また、東日本大震災でのこころのケア活動の経験や知識を連盟(IFRC)に提供するとともに、1993年には東アジア赤十字心理社会的支援ネットワーク(eARPS)を提唱し、北京でネットワーク発足の会議と研修会を開催しました。

メドログ(MedLog)

 
薬品の管理について現地スタッフと協議する
小林映子薬剤師(バングラデシュ南部避難民救援事業)

メドログはメディカル・ロジスティクスの略で、医薬品等の医療に必要な物品の購入、輸送、保管、管理を行うことを意味し、国際救援において医療チームが活動をするうえで重要であり、裏方的な分野です。当部は薬剤師を日赤の代表として連盟(IFRC)のメドログの発展に貢献しています。

私たちの救援ストーリー

あるボランティアの話(フィリピン保健医療支援事業)
看護部 冨澤真紀

Aさんはある日、ボランティアをやめたいと言い出しました。私たちは、彼女がなぜ突然そう言い出したのか、じっくりと話を聞くことにしました。最初は、「ボランティア活動が面倒くさいから」という理由を言っていた彼女は「私は高校も卒業していないし、みんなが私の話をちゃんと聞いてくれないと思う」と明かしました。フィリピンの文化では他の多くの国同様、学歴、肩書がいろいろな場面で強く影響します。そのため、人前でメッセージを伝える役割を担うには分不相応だというのです。

彼女の思いを受け入れてから、私は、「ねえ、Aさん、私をみてよ。わたしさ、カラヌヤ語(現地語)も話せないし、タガログ語(国語)だって上手にできないんだよ。誰にでも弱みと強みはある。あなたは、カラヌヤの言葉を話すし、なによりも地域のことを本当によく知っている。こういう山の中で病気を予防するのがとても大切な中、あなたが地域の人に健康のことを伝えるというのは『この地域をあなたが守っている』ということだと思うよ」と伝えました。

 
 

彼女の表情は次第に明るくなり、その後も活動に参加してくれました。しかも、チームの中で一番堂々と保健教育をすることができたのです。彼女にとって、誰にでも弱みと強みがあることを実感できたこと、そして、赤十字のボランティアとして地域を守っていると思えたことで、学歴という彼女のコンプレックスを乗り越えて活動に前向きになってくれたのではないかと思います。

私たちの事業に関わるボランティアの多くは女性です。子育てをしながら、農業をし、そして赤十字活動も行う。それを支え、モチベーションを維持していくためには、ボランティアさんがそれぞれに認められているという居心地のよさをつくることが大切なのだと実感した場面でした 。

私服姿の看護師たち(インドネシア・スラウェシ島地震救援)
看護部 看護師長 兼 国際医療救援部 苫米地則子

 

2018年9月28日、インドネシア中部スラウェシ島を震源とするマグニチュード7.5の地震が起きました。そのあとも続いた余震で、建物の崩落、地滑り、液状化に加え、数メートルの津波が発生。これまで死者2113人、避難者は22万人以上にのぼりました(2018年10月20日現在 インドネシア国家防災庁発表)。

日本赤十字社からは、インドネシア赤十字社が行う仮設診療所展開のサポートや、緊急保健活動の技術指導のため、海外救援に経験豊富な医師・看護師を医療保健アドバイザーとして津波被害を受けたパルなどに派遣しました。

精力的に活動している現地の看護師たちは私服姿でした。制服を着ないのか?と尋ねたら「家が崩壊していてナース服も取り出せない。家のことは全然手をつけられていないの。けれど、今頑張らなくて、いつ頑張るの」と。支援している彼女たちも、被災者の一人でした。

 
 

また、インドネシアならではの事情として、伝統医療に対する民間信仰があげられます。民家を巡回しながら目の当たりにしたのは、負傷した箇所をなでる、呪文を唱える、といった行為で傷口が治癒するという信念を持つ人々の存在。伝統医療を信じる人は少数派ではなく、手術が必要な状態なのに放置され手遅れになりそうなケースも見受けられました。家を訪ねて被災者の方々の様子を実際に自分の目で確かめる、巡回の重要性を改めて実感しました。
(抜粋 赤十字ニュース№943)

当センターの国際救援活動の実績

2000年以降を紹介します。
※末尾に(PDF)とあるものは、クリックすると派遣者からの事業報告(PDF文書)が別ウィンドウで開きます。

2016年7月~12月 フィリピン保健医療支援事業(PDF)                         助産師1名
2016年2月~7月 フィリピン保健医療支援事業                                  看護師1名
2015年10月~2016年3月 ウガンダ北部医療支援事業                                  医師1名
2015年4月~8月 ネパール地震救援事業 看護師2名、薬剤師1名、臨床工学技士1名
2014年9月~12月 ウガンダ北部医療支援事業
個別配薬システムの導入 イメージ
(c) JRCS 個別配薬システムの導入
薬剤師1名
2014年6月~7月 シリア難民救援事業(ヨルダン)
病院ERUでのメドログ活動 イメージ
(c) JRCS 病院ERUでのメドログ活動
薬剤師1名
2014年6月~11月 ウガンダ北部医療支援事業 看護師1名
2014年5月~2015年5月 フィリピン中部台風復興支援事業 看護師1名
2014年1月~2月 フィリピン中部台風救援事業
ERUで活動する看護師 イメージ
(c) JRCS ERUで活動する看護師
看護師2名
2013年4月~6月 北イラク・クルド地域における戦傷外科実地研修
JRCS 外科手術を担当する医師 イメージ
(c) JRCS JRCS 外科手術を担当する医師
医師1名
2012年12月~2013年4月 赤十字国際委員会(ICRC)フィリピン南部台風災害救援事業
薬局を担当する看護師 イメージ
(c) H.Makabe/ICRC 薬局を担当する看護師
看護師1名
2012年2月~6月 赤十字国際委員会(ICRC)パキスタン北部紛争犠牲者救援事業 看護師1名
2011年8月~2013年7月 ハイチ大地震被災者支援事業
手洗い指導 イメージ
(c) fuminori.sato/JRCS 手洗い指導
看護師1名
2011年2月~3月 ニュージーランド地震邦人被害者支援事業 医師1名
2010年8月~2011年3月 ハイチ大地震被災者支援事業 助産師1名 薬剤師2名
2010年3月~7月 ハイチ大地震災害救援事業 看護師1名 薬剤師1名 事務1名
2010年3月 チリ大地震救援事業 看護師1名
2010年1月~2011年2月 ウガンダ赤十字社母子保健事業 看護師1名
2009年11月 中国四川大地震復興支援調査 医師1名
2009年10月 スマトラ島沖地震災害救援事業調査 医師1名
2009年8月~2010年2月 アフガニスタン病院支援事業 看護師1名
2009年6月~7月 タンザニア難民キャンプ支援事業 医師1名
2009年2月~5月 インドネシア保健医療支援事業 薬剤師1名
2008年12月~2009年3月 ジンバブエ・コレラ禍救援事業 薬剤師1名 事務1名
2008年11月~2009年6月 フィリピン赤十字社保健医療支援事業 看護師1名
2008年10月~2009年3月 アフガニスタン医療復興支援事業 医師1名
2008年9月~2009年12月 スマトラ島沖地震・津波災害救援/復興支援事業(インドネシア) 助産師1名
2008年6月~7月 フィリピン台風災害救援事業(PDF) 事務1名
2008年5月~6月 インドネシア保健医療支援事業(PDF) 医師1名
2008年5月(PDF) ミャンマー・サイクロン災害救援事業 医師1名
2008年3月~12月 アフガニスタン医療復興支援事業 薬剤師1名
2008年1月~7月 フィリピン赤十字社保健医療支援事業(PDF) 看護師1名
2007年11月 インドネシア赤十字社・フィリピン赤十字保健支援事業調査 医師1名
2007年8月 ケニア赤十字社保健支援事業調査 医師1名
2007年5月~11月 タンザニア赤十字社難民支援事業(PDF) 助産師1名
2006年12月~2007年6月 タンザニア赤十字社難民支援事業 看護師1名
2006年12月~2007年2月 ケニア洪水救援事業(PDF) 医師2名
2006年10月~2007年4月 フィリピン地滑り災害復興支援事業(PDF) 事務1名
2006年5月~6月 ジャワ島中部地震救援事業(PDF) 医師1名 看護師2名
2005年12月 インドネシア赤十字社保健医療支援事業 医師1名
2005年11月 スマトラ島沖地震・津波災害復興支援事業現地調査 医師1名
2005年10月~2006年8月 スマトラ島沖地震・津波復興支援事業(PDF) 医師1名 事務1名
2005年10月~2006年4月 パキスタン北部地震被災者救援事業(PDF)
JRCSパキスタンで医療活動を行う医師 イメージ
(c) JRCSパキスタンで医療活動を行う医師
医師2名 看護師3名 薬剤師2名
2005年10月 タンザニア難民支援事業にかかる職員派遣 医師1名
2005年9月~2006年1月 インドネシア赤十字社保健医療支援事業 医師1名 看護師1名
2005年6月 インドネシア赤十字社支援事業調査 看護師1名
2005年5月 ジンバブエ赤十字社HIV/AIDS支援事業中間評価 医師1名
2005年3月~9月 連盟東アジア地域代表部保健事業(PDF) 事務1名
2004年12月~2005年5月 スマトラ島沖地震津波医療救援事業(PDF)
スマトラ島沖地震・津波被災のつめあと イメージ
スマトラ島沖地震・津波被災のつめあと
医師2名 看護師5名
2004年12月 モンゴル赤十字、診療所支援事業調査 医師1名
2004年8月 インドネシア赤十字社に対する保健医療支援事業の事前協議及び調査 医師1名 看護師1名 薬剤師1名 事務1名
2004年5月~11月 ジンバブエ赤十字社HIV/AIDS支援事業(PDF)
ジンバブエ赤十字社の支援による給食配給に集まった子どもたち イメージ
ジンバブエ赤十字社の支援による給食配給に集まった子どもたち
看護師1名
2004年2月 アフガニスタン医療復興支援事業中間評価 医師1名
2003年12月~2004年4月 イラン南東部地震救援事業(PDF) 医師3名 看護師3名 技術員1名
2003年11月~2004年6月 ジンバブエ・HIV/AIDS支援事業(PDF) 薬剤師1名
2003年9月~2004年6月 アフガニスタン医療復興支援事業(PDF) 看護師1名
2003年7月 インドネシア、東ティモールの支援事業にかかる視察・協議 医師1名
2003年5月 イラク戦争救援事業現地病院状況調査(PDF) 看護師1名
2003年3月~5月 イラク人道危機医療救援事業 医師1名
2003年1月 イラク人道危機救援活動調査 医師1名
2002年11月 南部アフリカ地域のHIV/AIDS支援事業計画策定 医師1名
2002年10月~ 2003年1月 アフガニスタン医療復興支援事業 医師1名
2002年7月 中国における洪水視察調査 医師1名
2002年5月~7月 アフガニスタン地震被災者救援 看護師1名
2002年4月~5月 連盟チェルノブイリ人道支援・復興事業評価活動 医師1名
2001年10月~11月 アフガニスタン及び周辺諸国における人道上の危機救援(パキスタン) 医師1名
2001年1月~3月 インド地震被災者救援 医師2名 看護師2名 薬剤師1名
2001年1月 インドネシア・ムラピ山噴火調査 医師1名
2001年1月 エルサルバドル地震被災者救援 看護師1名
2000年6月~9月 東ティモール紛争犠牲者救援 看護師1名
2000年6月 インドネシア・スマトラ島地震救援 医師1名
2000年1月~4月 東ティモール紛争犠牲者救援 看護師1名

(1999年以前は省略)

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