ファロー四徴症

ファロー四徴症とは

ファロー四徴症とは①心室中隔欠損、②右室流出路狭窄、③右室肥大、④大動脈騎乗の4つの特徴を有する病気です。
右室流出路狭窄の程度が強く、血液中の酸素飽和度が低下するとチアノーゼが見られ、唇や顔の色が紫色になります。右室流出路狭窄の程度によりチアノーゼが見られない方もいます。激しい啼泣などによりチアノーゼが急激に悪化することがあり、無酸素発作と呼ばれます。
治療は基本的には手術が必要です。手術はチアノーゼの程度や体格により1回の手術(一期的根治手術)か、複数回の手術(段階的根治手術)かに分かれます。
根治手術を受けた方の予後は良好ですが、遠隔期の合併症が認められることがあるため、術後長期間にわたっての外来での定期的な観察が必要となります。

当センターでできる検査・治療

ファロー四徴症を始めとした先天性心疾患は、出生直後から治療介入を必要とすることがあります。また、何度も手術が必要な場合や、手術を受けた遠隔期に心臓の機能が低下する場合や合併症が起こる病気もあるため、長期間にわたるフォローアップが必要になります。そのため、お母さんのお腹の中にいる時(胎児期)から成人に移行するまでの長期間にわたりさまざまな検査を行い、患者さんが元気に成長できるお手伝いをさせていただいています。
当センターで行なっている検査・治療については下記のとおりです。

胎児心エコー

産科医によるスクリーニング検査や地域のクリニックなどで先天性心疾患が疑われた母体に対し、胎児心エコー検査を施行しています。赤ちゃんの心臓に病気がみつかった場合、産科、新生児科、小児科、必要な時は心臓血管外科や麻酔科も含め出生前から治療方針を話し合い、赤ちゃんが適切な治療を受けられる取り組みを行なっています。

心臓超音波検査

診断、手術前後の評価、外来でのフォローアップに欠かせない検査です。当センターではNICU、ICU、小児科病棟のどこに入院していても小児循環器専門医による心臓超音波検査を受けられる体制を整えています。

心臓カテーテル検査・カテーテル治療

心臓カテーテル検査は手術の適応評価や術後評価のための検査です。心臓や血管に直接カテーテルという細い管を入れ、血管内の圧力測定、血流バランスの評価、心臓の大きさや機能評価、血管の形態評価を行います。また、検査だけでなくカテーテル治療も行なっています。
①経皮的心房中隔裂開術
完全大血管転位症や単心室症など、生きていくために心房中隔(右心房と左心房の間の壁)を開けておく必要がある病気に対して行います。
②コイル塞栓術
単心室症を始めとしたチアノーゼ性心疾患(慢性的な低酸素の状態につながる心疾患)では体肺側副血管と呼ばれる異常血管が発達することがあります。これらは弁膜疾患の増悪、心不全、手術後の循環動態の悪化の原因になることもあるため、適切な時期に金属のコイルで血管を塞栓します。
③経皮的血管形成術・ステント留置術
手術の影響などにより遠隔期に血管が狭窄し、循環動態に影響を及ぼすことがあります。その場合は風船付きのカテーテルを用いて、狭窄した血管を血管の中から広げる治療を行います。風船治療で効果が乏しい場合は血管内にステントという金属製の筒を留置することもありますが、成長過程にあるお子さんの場合はステント留置ができないことも多く、適応を慎重に考えて行なっています。

その他

CT検査、MRI検査、肺血流シンチ、運動負荷心電図などを行い、術前術後評価、不整脈疾患の有無などの評価も行なっています。

当センターでの実績

2019年度

・新規診断例
ファロー四徴症:7例

・胎児心エコー(総数):63件 (外来50件、入院13件)
・小児科心臓超音波検査(総数):2652件 (外来1992件、入院660件)
・心臓カテーテル検査(総数):検査107件、治療:23件
ファロー四徴症:検査10例、治療:経皮的血管形成術2例 ステント留置術1例