単身室症

単身室症とは

単心室症とは、右心室か左心室のどちらかが非常に小さい、もしくは痕跡程度にしか認めず、血液を送り出すポンプとして機能できない場合を指し、左心低形成症候群、三尖弁閉鎖をはじめとした様々な病気があります。
一つの心室機能が不十分なため、残りの心室を全身に血液を送る心室として機能させるために段階的に手術を行う必要があります(単心室治療)。
単心室治療では最終的には肺への血流は心臓を介さずまかなうことになりますが、そのために、グレン手術、フォンタン手術を段階的に行う必要があります。
グレン手術は上半身の血液を直接肺動脈へ流す手術で、通常生後三か月~六か月以降に行います。フォンタン手術は下半身の血液を人工血管を介して肺動脈へ流す手術です。体が大きくなっても人工血管の取り替える必要が無い様に、当院では体重12kgを目標にフォンタン手術を行っています。
グレン手術やフォンタン手術を行う前には、心臓カテーテル検査を行い、肺動脈の状態や発育の程度、心機能や弁の逆流の評価などを行い、適応の有無を評価します。

当センターでできる検査・治療

単身室症を始めとした先天性心疾患は、出生直後から治療介入を必要とすることがあります。また、何度も手術が必要な場合や、手術を受けた遠隔期に心臓の機能が低下する場合や合併症が起こる病気もあるため、長期間にわたるフォローアップが必要になります。そのため、お母さんのお腹の中にいる時(胎児期)から成人に移行するまでの長期間にわたりさまざまな検査を行い、患者さんが元気に成長できるお手伝いをさせていただいています。
当センターで行なっている検査・治療については下記のとおりです。

胎児心エコー

産科医によるスクリーニング検査や地域のクリニックなどで先天性心疾患が疑われた母体に対し、胎児心エコー検査を施行しています。赤ちゃんの心臓に病気がみつかった場合、産科、新生児科、小児科、必要な時は心臓血管外科や麻酔科も含め出生前から治療方針を話し合い、赤ちゃんが適切な治療を受けられる取り組みを行なっています。

心臓超音波検査

診断、手術前後の評価、外来でのフォローアップに欠かせない検査です。当センターではNICU、ICU、小児科病棟のどこに入院していても小児循環器専門医による心臓超音波検査を受けられる体制を整えています。

心臓カテーテル検査・カテーテル治療

心臓カテーテル検査は手術の適応評価や術後評価のための検査です。心臓や血管に直接カテーテルという細い管を入れ、血管内の圧力測定、血流バランスの評価、心臓の大きさや機能評価、血管の形態評価を行います。また、検査だけでなくカテーテル治療も行なっています。
①経皮的心房中隔裂開術
完全大血管転位症や単心室症など、生きていくために心房中隔(右心房と左心房の間の壁)を開けておく必要がある病気に対して行います。
②コイル塞栓術
単心室症を始めとしたチアノーゼ性心疾患(慢性的な低酸素の状態につながる心疾患)では体肺側副血管と呼ばれる異常血管が発達することがあります。これらは弁膜疾患の増悪、心不全、手術後の循環動態の悪化の原因になることもあるため、適切な時期に金属のコイルで血管を塞栓します。
③経皮的血管形成術・ステント留置術
手術の影響などにより遠隔期に血管が狭窄し、循環動態に影響を及ぼすことがあります。その場合は風船付きのカテーテルを用いて、狭窄した血管を血管の中から広げる治療を行います。風船治療で効果が乏しい場合は血管内にステントという金属製の筒を留置することもありますが、成長過程にあるお子さんの場合はステント留置ができないことも多く、適応を慎重に考えて行なっています。

その他

CT検査、MRI検査、肺血流シンチ、運動負荷心電図などを行い、術前術後評価、不整脈疾患の有無などの評価も行なっています。

当センターでの実績

2019年度

・新規診断例
単心室症:3例

・胎児心エコー(総数):63件 (外来50件、入院13件)
・小児科心臓超音波検査(総数):2652件 (外来1992件、入院660件)
・心臓カテーテル検査(総数):検査107件、治療:23件
単心室症:検査12例、治療:経皮的血管形成術1例、経皮的大動脈弁形成術1例

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