糖尿病性足病変

糖尿病性足病変とは

糖尿病性足病変には、血管障害と神経障害のふたつの側面があります。血管障害は、主に動脈硬化による狭窄や閉塞のことです。糖尿病性の神経障害には、知覚神経障害による感覚消失や運動神経障害による足部内在筋の萎縮などさまざま側面があります。 半数以上の糖尿病患者さんが、やがて下肢の動脈硬化を合併していきます。下肢の血行の評価は、皮膚の毛細血管の血流のSPP(皮膚灌流圧)を測定して評価する方法と造影CTや血管造影などによって下肢の血管の狭窄部位を画像的に評価する方法を組み合わせて行います。一般的に、SPPが40mmHgより大きいと皮膚の傷(潰瘍)は塗り薬で治りますが、30mmHgより小さい場合は、血管バイパス術や血管内治療などで血流を回復させる手術が必要と考えられます。また、知覚神経障害があると火傷が重症化したり、細菌感染がおこっても重症化するまで気が付かないで手遅れになったり、運動神経障害による筋の萎縮が起こり、足が変形し、靴擦れや魚の目が治りにくくなります。

当センターでできる検査・治療

・SPP(皮膚灌流圧)
皮膚の毛細血管の血流を評価する方法
・ABI
手首、足首の血圧を比較することで、動脈硬化の状態をおおまかに推定する方法
・MRI、CT
画像検査で、血管の狭窄の程度や部位を評価する方法
・血管造影
カテーテルを血管内に刺入し、造影剤を流しながら、血管の狭窄の程度や部位を評価する方法。検査を行いながら、ステント等を用いた血管内治療を同時に行うことも可能。

治療

・血管内治療
血管造影を行いながら、狭窄している血管をPOBAあるいはステント術を用いて拡張する方法。当センターでは、主に放射線科医により行われます。
・血管バイパス術
主に、血管内治療で治せない高度の血管狭窄(閉塞)に対して、狭窄(閉塞)部位をバイパスする手術。当センターでは、血管外科医により行われます。
・歩行用装具の作成
専門の義肢装具士により、足に負担の少ない靴や中敷きをオーダーメイドで作ることにより、足のトラブルを繰り返すことなく、長く健康に歩き続けることができます。
・重症の糖尿病性足病変に対しては入院での血糖管理を行いながら、感染部位の切開・排膿、壊死部位のデブリードメント、血管内治療などによる血行改善、陰圧閉鎖療法や植皮などの手術を行い、早期の社会復帰を目指します。軽症の糖尿病性足病変に対しては歩行用装具作成や血行改善術を行いながら、重症化を防ぎます。

当センターでの実績

創傷ケア外来

毎週火曜日午後に、皮膚科外来にて創傷ケア外来を行っています。
専門の義肢装具士による歩行用装具の作成、メインテナンスも同時に行っています。当センターの創傷ケア外来は、2005年1月に開設され、以来15年以上の間、糖尿病性足病変や足の傷の患者さんを数多く診察してきました。

外来患者数

【2020年1月~3月】
・創傷ケア外来患者数:229名
・靴外来受診者数:79名

また、当センターでは、放射線科医(放射線血管内治療科)により、下肢の動脈硬化の評価や血管内治療が盛んに行われています。また、血管外科医による下肢の重症動脈硬化に対する血管バイパス術が選択される場合もあります。血液透析患者に対する腎臓内科医や心臓のトラブルに対する循環器内科医の対応が充実していることは、総合病院ならではの強みです。

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