高度変形および骨切り手術後の変形性股関節症

高度変形および骨切り手術後の変形性股関節症とは

変形性股関節症は股関節の痛みの原因となる疾患ですが、その変形は軽いものから高度なものまであります。高度な変形の原因はさまざまで小児期の脱臼や過去の骨切り手術などが影響していることもあります。
高度な変形をきたす関節症では、股関節の痛みはもとより大きな脚長差(足の長さの差)や強い関節可動域制限(動きの悪さ)が脊椎、膝関節に影響が生じ、日常生活に支障を来します。治療ではほとんどの場合、人工股関節置換手術がおこなわれますが、その手術難度は高く術後脱臼や骨折などの合併症率も高くなるため股関節外科専門医による手術治療が望まれます。
近年、コンピューター手術支援技術が進歩し人工関節手術分野で応用されており、当センターにおいてもコンピューター三次元術前計画を用いた人工股関節置換手術で高度変形や骨切り後の変形性股関節症に対する治療を行っています。

当センターでできる検査・治療

当センターで実施する人工股関節置換手術の特徴は、①コンピューター三次元術前計画ソフトウェアを用いた手術計画、② 術中透視装置を用いた仰臥位前方進入手術(DAA-THA)です。

①コンピューター三次元術前計画ソフトウェアを用いた手術計画
術前に撮影したCT検査データをもとにコンピューターシミュレーションをおこなうことで、患者さんひとりひとりに最適なインプラントタイプの選択とインプラント設置位置の計画が行えます。この術前計画は時間と手間を要しますが、手術後の股関節機能や人工関節の耐久性に影響する重要な準備となります。特に変形の強い関節症や骨切り手術後の股関節では多くのタイプから使用するインプラントを選び出す必要があるためこの三次元術前計画は非常に有効となります。

② 術中透視装置を用いた仰臥位前方進入手術(DAA-THA)
筋肉や腱を温存が可能な前方進入で手術を行うことで早期の回復、術後脱臼の危険性を低減することが可能となります。また仰臥位で術中透視装置を使用することで、三次元術前計画どおりの正確なインプラント設置が実現できます。

上記の技術を使用することで 「低侵襲で患者さんに最適かつ正確な人工股関節置換手術」 をこころがけています。
特に高度な変形や骨切り手術後の手術には有効となりますが、当センターで行う人工股関節置換手術では、全例にこれらの技術を使用しています。

当センターでの実績

2019年度

コンピューター三次元術前計画ソフトウェアを用いて手術計画を行い術中透視装置を使用し仰臥位前方進入で実施した人工股関節置換手術:109件

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