胆管結石症

胆管結石症とは

総胆管は、肝臓と十二指腸をつないでいる管で、肝臓で産生された胆汁を十二指腸に流す役割をしています。そこにできるのが総胆管結石です。
胆嚢結石(いわゆる胆石症)は無症状が8割と言われていますが、胆管結石は有症状(急性胆管炎・胆石膵炎を発症)が高率であります。胆管炎の場合は容易に重篤化し敗血症へ移行したり、胆石膵炎では重症膵炎となると生命の危機に陥ることもあるため、無症状でも治療を検討する必要があります。
症状としては、腹痛(上腹部痛)・発熱・黄疸が多いですが、高齢者では症状が出にくく、いきなり意識障害を呈することもあります。早期に内視鏡治療を施行すれば、著明に改善が期待できる疾患です。
胆管結石には、胆嚢からの落下結石と胆管で形成された原発結石の2種類があり、前者の場合は胆管結石治療後に胆嚢摘出術が推奨されます。

胆石のできやすい人

・胆石の家族歴(遺伝性)がある
・脂質異常症
・減量ダイエット
・長期間の禁食(経静脈栄養)
・胃切除術後など迷走神経切除後

当センターでできる検査・治療

検査

・採血
・画像診断:腹部エコー、MRI(MRCP)、CT

上記検査で結石の有無が、はっきりしない時は超音波内視鏡(EUS)を行います。

治療

第1選択は内視鏡治療(内視鏡的逆行性膵胆管造影:ERCP)となります。
感染を伴っている時は、まずは内視鏡的胆道ドレナージを優先します。採石するためには胆管のしっかりした造影が必要になるため、感染時に施行すると感染胆汁を圧入することになり、血管へ細菌が押し込まれて菌血症・敗血症・肝膿瘍等を引き起こすリスクが高くなるためです。まずは感染胆汁を排出させることに主眼を置き、感染が落ち着いたところで採石を行います。

特殊な症例の治療

胃全摘後や胆管空腸吻合術後の症例に対しては、上記の側視鏡では乳頭に到達できないため、ダブルバルーン内視鏡を用いて処置を行います。場合によっては、120分以上治療を要することもあります。

当センターでの実績

2019年

ERCP総数:379件
(内訳 悪性腫瘍:144件 胆管結石:153件 その他: 82件)
初回ERCP時の急性膵炎発症率は、グローバルな統計で5~10%とされていますが、当センターではERCP後膵炎予防のためのさまざまな対策を講じており、年間2~3例にとどまっています。

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