日本赤十字社助産師学校
- 本校は、日本赤十字社医療センターに隣接する日本赤十字看護大学の6階にあります。同大学の5階には日本赤十字社幹部看護師研修センター、認定看護師研修施設があり、それぞれの専門分野を追求し学習を深めています。
このような恵まれた教育環境の中で、学生は助産師の専門分野である「助産とそのケア」を中心に学習しています。
なお、本校は平成21年度から専修学校として認可を受けております。

学校長 幕内 雅敏(まくうち・まさとし)
日本は今、産科医不足が大きな社会問題となっております。そこで注目されているのが助産師という職業です。助産師の仕事は、女性の妊娠、分娩、産褥の各期において、自らの専門的な判断と技術に基づき必要なケアを行うことです。妊娠期においては、妊婦さんの状態を十分に把握し一人一人に適切な保健指導を行う能力、分娩に際しては刻々と変化する経過を的確に判断し分娩介助をする能力、さらに産褥期には母親のお産からの回復や新生児の成長を助けるためのケアの能力が、助産師に求められるのです。
入学後の1年間は、これらの知識、技術を習得して助産師としての基礎を身につけるための期間ですので決して楽ではありません。それは、助産師の仕事が二つの命に直接関わるという点で、通常の医療よりも重い責任が伴うからです。さらに、これから成長していく児に障害を残さないための助産も大切なことです。
助産師の仕事は大変ですが、出産の瞬間に立ち会える喜びもまた大きなものです。将来は、助産師として活躍していただくことはもちろん、さらに助産学を発展させるべく日々勉強を重ね、日本のみならず世界の母子保健活動にも貢献されることを期待しております。
副学校長 近藤 良子(こんどう・りょうこ)
英語で助産師はMidwifeと呼ばれますが、本来は「女性と共にいる」という意味であることをご承知の方も多いと思います。文字通り、助産師は女性の傍らにいてケアを提供する存在と言えます。本校でも助産師としての基礎的な知識、技術を基盤に女性とその家族の意思を尊重し、女性の一生涯の健康を支援できる助産師育成をめざしています。また、折からの産科医療の危機的状況を再構築するために助産師への期待は非常に大きくなってきており、より一層、自律した助産師の存在が求められています。本校では、創設以来多くの自律した優秀な助産師を輩出してきました。平成21年4月1日には専修学校への昇格を果たし、より質の高い教育体制へと刷新したところです。女性や家族の人権擁護、倫理的配慮はもとより的確なフィジカルアセスメント能力が身につくよう演習を多く取り入れるなど自律した助産師の礎を築けるようカリキュラム編成しています。
助産師として本校卒業後は、主に各赤十字病産院、大学病院等に就職しますが、臨床経験を経た後に地域における母子保健活動、国内外の救援活動、教育機関等、女性とその家族への支援及びリプロダクティブヘルス分野で多岐にわたり助産師としての活動を展開しています。助産師としての基本的な知識、技術をじっくり習得し、将来的に国内外で幅広く活動したい方の入学をお待ちしております。

大正9年3月の赤十字連盟第一回総会の決議に沿って、日本赤十字社の社業に加えられた平時事業の一つである「母と子の保護」事業として、大正11年5月に産院並びに附属産婆養成所が開設され、助産師の育成が開始されました。
現在までに2,700余名の卒業生が、さまざまな分野で活躍しています。

教育理念・目的・目標・アドミッションポリシー
<教育理念>
赤十字の理念である人道と博愛を基調とし、豊かな人間性を育み、助産の専門性を深め、
将来的展望に立って広く社会に貢献できる人材を育成する。
<目的>
1.赤十字理念を理解し、国内外の社会に貢献できる助産師を育成する。
2.個々の人間性を尊重できる感性豊かな助産師を育成する。
3.実践能力を身に付けた責任感のある助産師を育成する。
4.人間の性および生殖にかかわる行動と生活の支援ができる助産師を育成する。
5.女性および母子を取り巻く国内外の社会現象を、敏感に捉えられる助産師を育成する。
<目標>
1.赤十字事業を理解した上で、国際的視野に立った助産師活動が実践できる。
2.対象とその家族の発達課題を理解し、根拠(evidence)に基づいた助産課程を遂行できる。
3.他職種と連携・協働しながら、個人及び社会に対し、地域の社会資源の活用や調整ができる。
4.自らの倫理観に基づき助産師活動ができる。
5.実践を通して助産観が構築できる。
6.人間の性および生殖、さらに性の多様性を理解し支援ができる。
7.生殖医療の発展にともない、生命倫理に関心をもち支援ができる。
8.女性の健康および権利に関する課題を明確にし、助産師活動ができる。
<アドミッションポリシー>
○人との協働を通じて学びあうことができる人
○女性と家族の権利を尊重したケアを実践していきたい人
→他者を尊重する姿勢(円滑な対人能力、アサーティブな自己表現)
→多面的な視点(幅広い人間性)
○助産師としての実践能力の基盤を修得したい人
→エビデンスを踏まえた知識・技術の提供(論理的思考過程)
→自主的な学習(自己学習)
○助産、リプロダクティブヘルスの実践家として国内外で活躍したい人
自己点検・自己評価
当校の自己点検・自己評価報告書を公表いたします。
実習施設
主な実習施設である「日本赤十字社医療センター」は、病床数708床の総合病院で、平成22年1月に新しい建物に移転したばかりです。周産期部門(3階の産科・小児保健外来、5階の周産母子センター)は、1階から専用のエレベーターでアクセスでき、一般の患者さんとは動線が分離されています。それはまるで、病院の建物の中に別の産院の建物があるかのような構造です。旧病院においても、周産期部門は病棟とは別の「健康棟」と呼ばれる建物に、外来・入院の両機能が集約されていました。このように、建物の設計ひとつにも現れている「母子本位」の考え方は、大正11年の「日本赤十字社産院」開設から88年にわたる歴史とともに、連綿と受け継がれているのです。
現在は、MFICU(母体・胎児集中治療室)6床、産科85床のベッド数があり、東京都の母体救命対応総合周産期母子医療センター(スーパー総合周産期センター)として、都内における周産期医療の中枢的な役割を果たしています。少子化の現在においても、平成21年度の分娩件数は2,503件にのぼります。さらに、新生児医療も充実しており、NICU(新生児集中治療室)15床、GCU(強化治療室・回復期治療室)40床と、都内屈指の規模を持っています。
また、母乳育児への取り組みが評価され、平成12年には東京都内で初めてWHO(世界保健機関)・UNICEF(国連児童基金)から「Baby Friendly Hospital(赤ちゃんにやさしい病院)」の認定を受けています。
日赤医療センターでは、240名を超える助産師がケアにあたっており、母子とその家族に、安心で快適な、満足していただける周産期医療を提供しています。
これらのことから、実習環境としては大変に恵まれているといえるでしょう。
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| LDRルーム(日赤医療センター) |
水中分娩室(日赤医療センター) |
教育課程
カリキュラムについて
カリキュラムは助産学概論、基礎助産学、助産診断・技術学、助産管理、地域母子保健、赤十字概論、看護研究等から構成され、人間の性と生殖に関する課題を中心に展開されます。講義・演習・実習等、充実した教育内容になっています。
<年間スケジュール>
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| 学生が母乳育児について説明している様子です。学生は、10名ずつグループに分かれ、各々3回ずつ母親学級を開催します。参加される妊婦さんは各グループ10名ほどです。 |
医療センターの師長・スタッフを講師に招き講義を受けます。 |
発表やプレゼンテーションをしながら、健康教育の技法も学びます。 |
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| 教師の指導のもと、ファントーム(人体模型)を使って技術演習を繰り返し行います。 |
入学後より各グループで研究を行います。結果をまとめて2月には発表会を行います。 |
一年の学びを振り返って
<保健所実習>
保健所実習では、地域における母子保健活動の実際を体験し学ぶことができました。助産師は女性の一生を支える職種であると思います。
病院で働く助産師が多い中、病院だけではなく地域での活動に実際に参加して、地域においても助産師の存在がいかに重要であるかということを実感しました。
62期生・中西
<助産所実習>
助産所実習では、外来での健診、助産所での分娩、入所中の褥婦さんと新生児のケアを体験します。場合によっては泊り込みで実習します。産婦さんが望む出産、その人らしい出産を実現するために、それぞれの生活に根ざした保健指導、個別性を考えじっくり関わります。また、それぞれの助産所実習での体験を学生同士で発表しあい、助産所で行われているケアを共有し、助産管理について学ぶ有意義な実習になっています。
62期生・兼松
<分娩介助>
分娩介助演習では、仰臥位、側臥位、四つん這い等のフリースタイル分娩の実際について学びます。先生や臨床スタッフの指導のもとで、分娩介助技術習得はもちろん、産婦さんへの精神的支援やご家族との関わりについても考え、学ぶことができます。また、臨地実習では、分娩介助をさせていただいた際に担当してくださった指導者さんとその都度振り返りをし、自分の学びを深めることができます。人生の中で、数回あるかないかの「出産」の場に立ち会えるのが助産師です。学生時代に出会った産婦さん、赤ちゃんへの感謝の気持ちを忘れず、産婦さんに寄り添う姿勢を大切にしていきたいと思います。
62期生・井澤
<母親学級>
日赤医療センターに受診されている妊婦さんを対象に、3回の母親学級を運営します。妊婦さんの持っている力を引き出す健康教育法や、相手に伝わるプレゼンテーションの工夫、グループ内の協力の大切さなど多くのことを学びました。また、3月には同窓会を開きます。
かわいい赤ちゃんの成長ぶりや、母親・父親になられた逞しい姿にお会いでき、ともに成長を実感することができました。
62期生・間所
卒業後の進路
卒業生は、赤十字病院をはじめ、全国の主要な医療機関に就職しています。
| 区分 |
平成20年 |
平成21年 |
平成22年 |
| 卒業生人数 |
39 |
40 |
40 |
| 就職 |
赤十字病院 |
23(58.9%) |
23(57.5%) |
27(67.5%) |
| 赤十字病院以外 |
16(41.0%) |
16(40.0%) |
13(32.5%) |
| 進学・その他 |
0 |
1(2.5%) |
0 |
<過去4年間の赤十字施設就職先一覧>
日本赤十字社医療センター、伊達赤十字病院、浦河赤十字病院、仙台赤十字病院、石巻赤十字病院、前橋赤十字病院、さいたま赤十字病院、深谷赤十字病院、成田赤十字病院、武蔵野赤十字病院、大森赤十字病院、葛飾赤十字産院、横浜市立みなと赤十字病院、秦野赤十字病院、富山赤十字病院、山梨赤十字病院、飯山赤十字病院、静岡赤十字病院、山田赤十字病院、大津赤十字病院、日本赤十字社和歌山医療センター、岡山赤十字病院、広島赤十字・原爆病院、松山赤十字病院、高知赤十字病院、沖縄赤十字病院
<就職支援>
本校では、学生への就職支援として入学後より随時面接を受け付け、就職相談にのっています。
7月には、全国の赤十字病院の担当者による就職説明会を開催しています。
取得資格
卒業時には、受胎調節実地指導員認定資格が取得できます。
また、助産師国家試験受験資格が得られ、合格すれば助産師免許を取得できます。
学費その他納付金
| 入学金 |
年額210,000円 |
| 授業料 |
年額500,000円 |
| 施設整備費 |
年額600,000円 |
| 年額合計 |
1,310,000円 |
奨学金案内
東京都看護師等修学資金制度
各赤十字病院施設からの奨学金制度(不定期)