創傷ケアセンター

足に傷ができてなかなか治らない。ちょっとした傷なので大丈夫だと思っていたら次第に悪化してきた。
そのような傷を慢性創傷あるいは潰瘍、壊疽などと呼んでいます。
『創傷ケアセンター』とはそのような慢性の足の傷だけを治療する専門外来のことです。
足は人間にとってとても大事な部分ですが、意外と注意の払われない部分でもあります。
足潰瘍や壊疽といった病気は少ないのではと考えている方も多いかと思いますが、
厚生労働省の平成14年の統計から推測すると、足に潰瘍、壊疽などの病気のある方は全国で6万人、
そして足切断にいたる患者さんは全国で2万3千人いるといわれています。
創傷ケアセンターは足の傷を専門的に治療して、下肢大切断(膝下あるいは膝上切断)を回避することを大きな目的としています。
なぜなら、足の大切断の生命予後(手術後の生存期間)が肺がんに匹敵するほど悪いからです。
足の傷ができたら皆さんはどの診療科へ相談されますか。
怪我だから外科へいきますか。皮膚の傷だから皮膚科ですか。
実際、さまざまな診療科で足に病気のある患者さんに対応しているのが他の病院の現状です。
しかし、私たち日赤医療センターでは2005年からこのような足の傷を持つ患者さんに専門に対応できる窓口を開設しているのです。
どこの診療科を受診するか迷わずに創傷ケアセンターへご来院ください。
特に足の傷が3ヶ月以上治らない方は是非ご相談ください。
足の潰瘍をきたす疾患には大きく分けて6つあります。
まず、患者さんの病気がどのような原因で起こっているのかを確認することが重要です。
創傷ケアセンターでは患者さんの足を詳しく診察し、どのような原因でおこっている傷であるのかを見極めます。
この際に皮膚還流血圧(SPP)、レントゲン、CTアンジオ、MRIなどの機器を利用して検査を進めていきます。
特に、SPP検査は簡便かつ有用な検査で初診来院された患者さんに必ずチェックしています。
足の部分に血圧計のカフ(血圧測定の際にまきつける圧迫帯)とレーザーセンサーを取り付けて皮膚の血流を測定するもので、
痛みなどはなく20分ほどで終了します。この検査の値をもとに足への血液循環が良好か否かをチェックします。
足の血流が良好なら、感染症に対する抗生物質の投与や死んだ組織の除去手術(デブリードマン)などの適切な処置で
傷を治癒へ向かわせることは比較的容易です。しかし、足の血流の悪い状態があると傷は難治性となります。
閉塞動脈硬化症とよばれる状態では足へ血液を供給する動脈が狭窄、閉塞するために血流が不良となり、
足の色調も悪く、疼痛や潰瘍の悪化などが見られます。
このような難治性の傷に対しては、血流改善のためのカテーテル治療や血管バイパス手術が必要となりますので、
入院の上、循環器科や心臓血管外科にて治療を実施したうえで血流状態が改善してから傷の治療に移ります。
このような患者さんの割合は多く、センターを2007年10月までに受診された105名で検討すると
このような血流の悪い患者さんの割合は全体の43%を占めることが明らかになっています。
また糖尿病を持つ方も全体の63.8%と高い頻度となっており、血糖値の管理が重要な要素となる方もあります。
このような多専門医が一同に介したチーム医療を行うことで、治癒率も向上しています。
現在では大切断例は全体の5%前後まで低下しています。
無事傷が治癒した場合でも50%程度の方は3年以内の再発の可能性があります。
糖尿病などの自己管理と同時に、足の予防的フットケアにも努めなければなりません。
創傷ケアセンターでは専門の靴装具士によるインソールや靴の作製を行っております。
【診療をご希望の方へ】
●創傷ケアセンターへお電話ください。係りが診療予約をお取りします。
●外来日は毎週火曜日午後です。
●外来では米国で研修を受けた医師(皮膚科、整形外科、糖尿病内分泌科)と看護師が対応します。
●外来での検査、処置のあと次回外来を予約させていただきます。
●基本的に週1回、もしくは週2回のペースで通院いただき完治を目指します。
●場合により入院の上、検査・治療を行うこともあります。